※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。紹介している商品・サービスは、私自身が良いと思ったものをお伝えしています。
こんな方におすすめの記事
- 子どもが突然泣き出したり、かんしゃくを起こしたりして困っている方
- 「どうしたの?」と聞いても「べつに」「わかんない」しか返ってこない方
- 怒りやイライラを乱暴な言葉や行動で表してしまうお子さんをお持ちの方
- 気持ちを言葉にする力を、日常の中で育てたいと思っている方
- 絵本を通じて、自然に感情教育ができたらと考えている方
「なんで急に泣き出したの?」
「また怒鳴ってしまった…どうしてそんなに荒れるんだろう」
「気持ちを聞いてもぜんぜん答えてくれない」
こんな場面に、日々こころをすり減らしているお父さん・お母さんは少なくありません。
でも、これは子どもが「扱いにくい子」だからではありません。気持ちをことばにする力——「感情の言語化」——がまだ育ちきっていないから起きていることが、ほとんどです。
この記事では、感情の言語化とはどういうことか、なぜそれが難しいのかをお伝えしながら、日常の中でできる関わり方と、この力を自然に育ててくれるおすすめの絵本をご紹介します。
「気持ちをことばにする」って、どういうこと?
感情の言語化とは何か
感情の言語化とは、自分が今どんな気持ちでいるかを、ことばで表すことができる力のことです。
「悲しい」「イライラする」「こわい」「恥ずかしい」——私たち大人は、こうした感情の名前をある程度知っていて、場面に合わせて使い分けています。
でも子どもは最初から、こんなにたくさんの感情語を持っているわけではありません。感情を表すことばは、経験と言語の両方が育つ中で、少しずつ身についていくものです。
なぜかんしゃくや乱暴が起きるのか
小さな子どもは、感情そのものはしっかり感じています。悔しい、悲しい、怖い、もやもやする……そういった気持ちは確かに体の中にあります。
でも、それをことばで表す手段がないとき、感情は”行動”として外に出てきます。
泣き崩れる、怒鳴る、物を投げる、叩く——これらはすべて、「ことばにできない気持ちが、体を通して出てきている」サインです。「悪い子だから」でも「わがままだから」でもありません。
だから、気持ちをことばにする力がついてくると、同じ場面でも「悔しかった」「一人でやりたかったのに」とことばで伝えられるようになり、乱暴な行動が少しずつ減っていきます。

「気持ちをことばにする」のが難しい3つの理由
① 感情の名前を知らない
「悲しい」はわかっても、「悔しい」「やるせない」「もどかしい」などのニュアンスは、経験を積みながら少しずつ覚えていくものです。知らないことばは、使えません。
② 気持ちとことばをつなぐ練習が少ない
「今どんな気持ちか」を言語化するには、自分の内側に注意を向ける習慣が必要です。でも日常の中で、意識的にそれを練習する機会はあまり多くありません。
③ 感情が高ぶると、ことばが出にくくなる
怒りや恐怖などの強い感情が湧いたとき、脳は「戦うか逃げるか」モードになり、冷静に言語化する機能が一時的に低下します。だからいちばん気持ちをことばにしてほしい瞬間に、いちばんことばが出てこないというジレンマが起きます。
感情の言語化を育てる3つの関わり方
① 感情の名前を「聞かせる」
「今、悔しかったんだね」「それはドキドキしちゃうよね」——子どもが感情的になっているとき、親がそっと感情の名前をつけてあげることを「感情のラベリング」と言います。
子どもに「悔しいってことばで言いなさい」と促すのではなく、まず親がことばをプレゼントすることが大切です。繰り返し聞くうちに、子どもはその名前を自分のものにしていきます。
② 穏やかなときに「気持ちの会話」をする
感情が高ぶっているときは言語化が難しいので、落ち着いているときに気持ちの会話を積み重ねることが土台になります。
「今日楽しかったことは?」「ちょっとモヤッとした場面ってあった?」——ごはんのとき、寝る前のひとときに、気持ちを話せる空間を作ってみてください。
③ 親自身がことばにする姿を見せる
「お母さん今日ちょっと疲れちゃってる」「これ見てほっとしたな」——親が自分の気持ちをことばにしている姿は、子どもにとって「感情をことばにしてもいいんだ」という許可になります。

絵本は「感情教育」の最強の入口
感情の言語化を育てるうえで、絵本はとても強力なパートナーです。
理由は3つあります。
感情の名前に自然に出会えること。 ストーリーの中で主人公が怒ったり、悲しんだり、不安になったりする場面を通じて、「あ、これが『こわい』ってことなんだ」と体感しながらことばを覚えられます。
安全な距離で感情を体験できること。 自分のことだと直視しにくい感情も、キャラクターを通してなら「わかる、わかる」と受け取れます。
親子の会話のきっかけになること。 「ガストンはどんな気持ちだと思う?」「カラーモンスターの気持ち、何色に見えた?」——絵本が自然な感情の対話を生んでくれます。
今回は、感情の言語化にとくにおすすめの2つのシリーズをご紹介します。
『カラーモンスター きもちは なにいろ?』——気持ちを「色」で整理する
作:アナ・レナス 訳:おおともたけし 出版社:永岡書店
どんな絵本?
気持ちによって体の色が変わる「カラーモンスター」が主人公。今日の気分はいろんな色がごちゃまぜになって、自分でもよくわかりません。そこへ女の子が来て、気持ちをひとつひとつ色別に整理していく手伝いをしてくれます——「うれしい」は黄色、「かなしい」は青、「いかり」は赤、「ふあん」は黒、「おだやか」は緑。
この絵本で育つ力
感情に”名前と色”をつけることで、抽象的な気持ちが見えるものになります。
「ごちゃごちゃしていた気持ちが、整理できた」という体験は、子どもに「気持ちはコントロールできるんだ」という感覚を与えてくれます。混乱したとき、「今の気持ちは何色?」と聞き合えるような、親子の共通言語にもなります。
全世界で600万部を超えるシリーズ第一作。シリーズには『がっこうへいく』『きもちのきゅうきゅうばこ』など、場面に合わせた続編もあります。
読み聞かせのひと工夫
読んだあとに「あなたの気持ち、今日は何色だった?」と聞いてみてください。絵本の色と照らし合わせながら、子どもが自分の気持ちをことばにするきっかけになります。
『ガストンのきぶんをととのえるえほん』——気持ちを「呼吸」でととのえる
作:オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ 訳:垣内磯子 出版社:主婦の友社
どんな絵本?
フランスの乳幼児セラピストが考案したシリーズ。主人公はたてがみの色が気持ちで変わるユニコーンの子ども・ガストン。怒りたくなったとき、悲しくなったとき、怖くなったとき——そんな扱いにくい感情を、具体的な呼吸法を使って自分でととのえる方法を教えてくれます。
シリーズには「おこりたくなったらやってみて!」「かなしくなったらやってみて!」「こわくなったらやってみて!」など、感情別に8冊が揃っています。世界75カ国で翻訳されたロングセラーです。
この絵本で育つ力
「感情があること」を認めたうえで、「どうととのえるか」を教えてくれるのが、このシリーズの最大の特徴です。
怒りを「悪いもの」として抑えるのではなく、「雷雲が来た、追い出そう」という言葉で、感情と自分を少し切り離して見ることができます。深呼吸という今すぐできる具体的な方法がついているので、絵本を読んだその日から実践できるのも魅力です。
かんしゃくが多いお子さん、感情の波が大きいお子さんにとくにおすすめです。
読み聞かせのひと工夫
絵本の中の呼吸法を、読みながら一緒にやってみてください。「やってみて!」というタイトル通り、体で体験することで記憶に残ります。「怒りそうになったら、ガストンみたいにしてみようか」と、日常の場面でさっと思い出せるようになります。
映画で「感情の世界」を体験する——『インサイド・ヘッド』シリーズ
絵本で感情のことばを育てたら、今度は映画でその世界を「体験」してみませんか。
ディズニー&ピクサーの『インサイド・ヘッド』シリーズは、感情教育の観点からも世界中で注目されてきた作品です。人の頭の中にいる感情たち——ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、イカリ、ビビリ——が擬人化されて登場し、11歳の少女ライリーの心の動きをリアルに描いています。
「悲しいって、悪いこと?」「怒りって、必要なの?」——大人でもはっとするテーマを、子どもにわかる形で見せてくれる作品です。
1作目:感情をもつことの意味を知る
『インサイド・ヘッド』(2015年)は、第88回アカデミー賞®長編アニメーション賞を受賞した傑作。「カナシミは、必要なのか?」という問いが、感情のすべてを肯定することの大切さを伝えてくれます。
小説版(ディズニーアニメ小説版)は、小学校中学年からひとりで読むことができます。

2作目:「シンパイ」という感情と向き合う
『インサイド・ヘッド2』(2024年)では、思春期を迎えたライリーの中に新たな感情「シンパイ」が登場。アニメーション映画史上歴代No.1の大ヒットを記録した続編です。
「シンパイ」は、心配・不安・マイナス思考を担う感情。でも、実はそれが自分を守るための感情でもあるという描かれ方が、子どもにとってもとても大切なメッセージになっています。「心配するのは、悪いことじゃないんだ」と気づかせてくれる作品です。
小説版は、小学校中学年から読めます。

映画を「感情の学びの場」にする見方
映画を観ながら、こんな声かけをしてみてください。
- 「今、ヨロコビはどんな気持ちだと思う?」
- 「カナシミが来たとき、ライリーはどうなった?」
- 「シンパイって、あなたの中にもいると思う?」
物語を通じて感情を語り合うことは、まさに感情の言語化そのものです。映画が終わったあとの「どうだった?」という会話が、子どものことばをぐっと豊かにしてくれます。
「今日の気持ち、何色?」——家庭でできる感情言語化の習慣
絵本を読むだけでなく、日常の小さな習慣が感情の言語化を育てます。いくつかご紹介します。
「気持ちのひとこと日記」
寝る前に、その日の気持ちをひとことだけ書く習慣。「楽しかった」だけでなく、「ちょっとドキドキした」「なんかもやもやした」など、細かい感情のことばを引き出すきっかけになります。絵でも、一言でも大丈夫です。
「今日のベスト・モヤモヤ」を話す時間
夕食やお風呂の時間に、「今日のいちばんよかったこと」と「今日のちょっとモヤっとしたこと」を話す習慣をつくってみてください。ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情にも”ことばの器”を作ることが大切です。
カラーモンスターの「気持ちカード」を使う
カラーモンスターの色(黄・青・赤・黒・緑)を参考に、家族で「今日の気持ちは何色?」と問いかけあう習慣をつくる家庭もあります。ことばにしにくいときも、色を選ぶだけなら取り組みやすいのがポイントです。
かんしゃくが起きてしまったとき——親の関わり方
感情の言語化の力は、一朝一夕では育ちません。その過程で、かんしゃくや泣き崩れの場面はどうしても起きます。そんなとき、親にできることをお伝えします。

感情が高ぶっているときは「ことばを求めない」
「なんで泣いてるの!」「ちゃんと言いなさい」——気持ちが溢れているときに言語化を求めると、子どもはますます追い詰められます。まず嵐が過ぎるのを待つことが、最初のステップです。
落ち着いたら「感情の名前」をそっと渡す
嵐が収まったあと、「さっきは悔しかったんだね」「あれはびっくりしちゃったね」と、親が感情の名前をつけてあげてください。責めるのではなく、「あなたの気持ちをわかろうとしている」というメッセージを届けることが大切です。
できたときは「ことばで言えたね」と喜ぶ
「怒りたいのを、ちゃんとことばにしてくれたね」「悲しいって言えてよかった」——気持ちをことばにできた瞬間を、ひとつひとつ肯定してあげることが、次のことばへの自信につながります。
まとめ:「気持ちのことば」が、子どものことばを豊かにする
感情の言語化は、単なる「感情コントロール」の話ではありません。
自分の内側に気づく力、それをことばで表す力、相手に伝える力——これらはすべて、子どもの「ことばの力」そのものです。
かんしゃくや乱暴な行動は、「ことばになれなかった気持ちのSOS」。その気持ちに名前をつけてあげる経験を積み重ねることで、子どもは少しずつ「気持ちをことばにできる人」になっていきます。
絵本は、そのための最高の入口です。今夜、カラーモンスターやガストンと一緒に、「今日の気持ちは何色だった?」と話してみませんか。

子どものことば・コミュニケーション・読書の力を育てるヒントを発信しています。
他の記事もぜひご覧ください。

コメント