すぐ怒る・泣く子の感情コントロール|学校司書が使う「気持ちの色」と「呼吸」——カラーモンスターとガストンの絵本

すぐ怒る・泣く子に、気持ちの色と呼吸で親子で気持ちをととのえる方法を紹介する記事のアイキャッチ
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目次

こんな方におすすめの記事

  • 思いどおりにならないと、すぐ怒ったり泣いたりしてしまう
  • 「どうしたの?」と聞いても「べつに」「わかんない」しか返ってこない
  • かんしゃくが起きたとき、どう声をかければいいかわからない
  • カラーモンスターやガストンの絵本が気になっていて、何歳から・どう使うのか知りたい

感情そのものをコントロールするのは、子どもにも大人にも難しいことです。でも、呼吸はコントロールできます。そして、うまく言葉にできない気持ちも、「色」でなら伝えられることがあります。

この「気持ちの色」と「呼吸」を、荒れる前に、絵本で親子で共有しておく。それが、すぐ怒る・泣く子と穏やかにつき合ういちばんの近道です。この記事では、学校司書として図書室で実際に使っている声かけと、そのもとになっている2つのシリーズ、カラーモンスターとガストンの絵本を紹介します。


図書室で「赤い気持ち?青い気持ち?」と聞く理由

図書室で本を借りられずに怒って泣きそうな女の子に、司書がしゃがんで赤いカードと青いカードを見せている

学校の図書室で、いちばんよく見るトラブルがあります。同じ本を、2人とも借りたい。自分が借りたかった本を、ほかの子が先に借りてしまった。そんなとき、怒って泣き出してしまう子がいます。

そういうとき、私は「赤い気持ち?青い気持ち?」と聞きます。すると、「赤!!」と返ってくることがあります。

「怒ってるの?」「悲しいの?」と聞くより、色のほうが、その子の今の気持ちに合っているのだと思います。自分の気持ちと、それを表す言葉が、まだくっついていない。そういう子には、言葉より色のほうがしっくりくるのです。

色で返ってくると、大人にもその子の気持ちがわかります。子どもも、わかってもらえたと感じます。それだけで、荒れていた場も、その子の気持ちも、一段階落ち着くことがあります。周りで見ている子たちも、「あの子は今、赤の気持ちなんだな」と理解しやすくなります。

そのうえで、それぞれの言い分をじっくり聞きます。「どちらも借りたいんだね」と確かめて、「じゃあ今回はじゃんけんにするのはどう?」と提案すると、解決できたりします。じゃんけんに負けた悔しさは残っていても、そこからさらに争うことはなくなります。状況は何も変わっていなくても、わかってもらえると、気持ちは落ち着くのです。

この「赤い気持ち?青い気持ち?」のもとになっているのが、絵本『カラーモンスター』です。一度この本を共有しておくと、日常生活でとても役に立ちます。とくに低学年の子や、気持ちを整理するのが苦手な子と関係を保つのに効きます。


すぐ怒る・泣くのは、気持ちと言葉がまだつながっていないから

腕を組んでそっぽを向く男の子の頭の上に、いろいろな色がからまったもやもやが浮かんでいる

子どもは、気持ちそのものはしっかり感じています。悔しい、悲しい、怖い、もやもやする。でも、それを言葉で表す手段がないとき、気持ちは泣く・怒鳴る・物を投げる・叩くといった行動として外に出てきます。わがままだからでも、悪い子だからでもありません。

学校で強く感じるのは、納得できない気持ちが、全部「むかつく」になっていることです。友だちにからかわれた、自分だけ先生に怒られた、ゲームを禁止された。起きたことも感じたことも違うのに、出てくる言葉は全部「むかつく」。そのまま心の中で「むかつく、むかつく」とくり返していると、落ち着くどころか、気持ちはどんどん強くなっていきます。

逆に、「からかわれて悲しかった」「自分だけ怒られて納得できなかった」と分けられると、気持ちは自分で扱えるものに変わります。ただ、いちばん言葉にしてほしい瞬間に、いちばん言葉が出てこないのが子どもです。だから、荒れていないときに、気持ちの「色」と「整え方」を渡しておくのです。


気持ちに「色」をつける:カラーモンスター

母親と女の子が、黄色・青・赤・黒・緑のびんに色の玉を分けて入れている

『カラーモンスター きもちは なにいろ?』(アナ・レナス 作/おおともたけし 訳/永岡書店)

いろいろな気持ちがごちゃまぜになって、自分でもよくわからなくなっているカラーモンスター。女の子が、その気持ちをひとつずつ色に分けて整理する手伝いをします。うれしいは黄色、かなしいは青、いかりは赤、ふあんは黒、おだやかは緑。

出版社の対象年齢は3歳以上で、世界で600万部をこえるシリーズの1作目です。文字が少なく、絵本としては幼い子向けに見えますが、図書室では小学生にも十分使えます。むしろ、気持ちが複雑になってくる小学生のほうが、「ごちゃまぜの気持ちを分ける」という体験が役に立つと感じています。

使い方のコツ:読んだあとに「今日のあなたの気持ちは何色だった?」と聞いてみてください。一度共有しておけば、荒れている場面でも「赤い気持ち?青い気持ち?」のひと言が通じるようになります。

シリーズの続き

日本語版には、学校生活の不安を扱った『カラーモンスター がっこうへいく』と、気持ちの手当てのしかたを扱った『カラーモンスター きもちの きゅうきゅうばこ』もあります。1作目で色の考え方に慣れてから読むと、つながりがわかりやすくなります。


気持ちを「呼吸」でととのえる:ガストン

父親と男の子が床にあぐらをかき、おなかに手をあててゆっくり息をはいている

『おこりたくなったら やってみて!』(ガストンのきぶんをととのえるえほん/オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ 作/垣内磯子 訳/主婦の友社)

たてがみの色が気持ちで変わる、ユニコーンの子ども・ガストンが主人公です。怒りたくなったとき、ガストンが呼吸で気持ちをととのえる方法を、絵本を読みながら一緒にやってみる形になっています。フランスの乳幼児セラピストが考えたシリーズで、出版社の対象年齢は3歳以上。「かなしくなったら」「こわくなったら」「やきもちやいたら」など、気持ちごとに全8冊あります。

呼吸だけ実践してみるのでもかまいません。呼吸は本当に大事です。気持ちが荒れているとき、人は呼吸が速くなったり、息をとめていたりします。呼吸と気持ちはつながっているのです。

感情をコントロールするのは難しくても、呼吸はコントロールできる。これは、大人も使えるテクニックです。感情のコントロールのしかたやアンガーマネジメントは、とても大事なことなのに、方法を教えてもらう機会はほとんどありません。だからこそ、絵本をきっかけに一度親子で共有しておくといいと思います。

使い方のコツ:読みながら、絵本の中の呼吸を親子で一緒にやってみてください。体で覚えておくと、怒りそうになったときに「ガストンみたいに、ふーってしてみようか」と、日常の場面でさっと思い出せるようになります。


どっちから読む? 2つのシリーズのちがい

カラーモンスターガストン
できるようになること気持ちに色と名前をつける気持ちを呼吸でととのえる
向いている子「べつに」「わかんない」が多い子、気持ちがごちゃごちゃになりやすい子カッとなりやすい子、泣き出すと止まらない子
日常で使うひと言「赤い気持ち?青い気持ち?」「ガストンみたいに、ふーってしてみよう」
対象年齢(出版社)3歳以上3歳以上
冊数日本語版は3作気持ちごとに全8冊

迷ったら、カラーモンスターで「気持ちの色」を共有してから、ガストンで「整え方」を足す順番がおすすめです。「今は赤い気持ちだね。じゃあ、ふーってしてみようか」とつなげられるようになります。


親子で共有しておくコツ——荒れる前に、荒れたときに

寝る前にベッドで、母親が子どもに絵本を読み聞かせている

① 落ち着いているときに読んでおく

絵本は、かんしゃくが起きてから読むものではありません。穏やかな日の寝る前などに、ふつうの読み聞かせとして読んでおきます。色や呼吸が「親子の共通の言葉」になっていることが大切です。

② 荒れているときは、言葉を求めない

「なんで泣いてるの!」「ちゃんと言いなさい」と言葉を求めると、子どもはますます追い詰められます。気持ちがあふれているときは、「赤い気持ち?」と色だけ聞くか、一緒に呼吸をするだけで十分です。

③ 落ち着いたら、気持ちの名前をそっと渡す

嵐が過ぎたら、「さっきは悔しかったんだね」「びっくりしちゃったね」と、親が気持ちの名前をつけてあげてください。色から言葉へ、少しずつつないでいきます。場面ごとの声かけは気持ちを表す言葉 一覧|低学年・中学年の小学生に渡したい感情の言葉と、「嫌だ」しか言わない子への渡し方にまとめています。

④ 言えたら、喜ぶ

「赤って教えてくれたね」「ふーってできたね」「悲しいって言えてよかった」。気持ちを伝えられた瞬間をひとつずつ認めることが、次への自信になります。

よくある質問

カラーモンスターとガストンは何歳からですか?小学生には幼くないですか?

どちらも出版社の対象年齢は3歳以上ですが、小学生にも使えます。図書室では、低学年を中心に、気持ちを整理するのが苦手な子にとくに効くと感じています。読むのは一度きりでもかまいません。大事なのは、色と呼吸を親子の共通の言葉にしておくことです。

高学年でも使えますか?

呼吸のほうは、高学年でも大人でも使えます。絵本を読むのを嫌がる年齢なら、絵本は親が読んでおいて、「怒りそうなときは、ゆっくり息を吐くといいらしいよ」と方法だけ伝えるのでもかまいません。

かんしゃくがひどくて、発達が心配です。

絵本は助けになりますが、それだけで抱えこまないでください。学校の先生やスクールカウンセラー、地域の子育て相談など、相談できる先はたくさんあります。相談先の選び方は先生に「話を聞いていない」と言われたら|集中力がないのではなく、条件がそろっていないだけですの「発達の心配が頭をよぎったら」にも書いています。


まとめ:「気持ちの色」と「呼吸」を、荒れる前に共有しておく

  • すぐ怒る・泣くのは、気持ちと言葉がまだつながっていないから
  • 言葉にできない気持ちも、「赤い気持ち?青い気持ち?」なら答えられることがある
  • 感情はコントロールできなくても、呼吸はコントロールできる。大人も使える方法
  • 気持ちに色をつけるならカラーモンスター、呼吸でととのえるならガストン
  • 絵本は荒れてから読むのではなく、落ち着いているときに親子で共有しておく

今夜の読み聞かせで、どちらか1冊を開いてみてください。「今日の気持ちは何色だった?」から始めてみませんか。

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この記事を書いた人

小学校で学校司書をしています。毎日子どもたちと図書室で過ごす中で感じること——それは言葉を育てることの大切さです。
読み聞かせ・読書・親子の会話・AI時代との向き合い方など、ご家庭でできる「ことば育て」のヒントを発信しています。
難しいことは何もありません。毎日少しの積み重ねで、子どもの言葉はぐんぐん育ちます。

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