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こんな方におすすめの記事
- 子どもの説明が「主語がない」「話が長い」で、何の話かわからないことが多い
- 学校であったことを聞いても、話があちこちに飛んでしまう
- 発表や作文で、自分の考えをうまく伝えられないようだ
- 家庭でできる、伝える力のトレーニングを知りたい
説明が苦手な子に足りないのは、話す力よりも「相手が何を知らないか」に気づく力です。言葉の数が少ないわけでも、頭の回転が遅いわけでもありません。自分の頭の中にある場面を、相手も知っているつもりで話してしまうのです。
だから直し方もシンプルです。「相手は知らない」という前提に立って、足りないところを足す練習をすればいい。この記事では、よくある3つの型と、家庭でできる練習、練習に使える本を紹介します。
図書室のカウンターでわかる「伝わる説明」

学校司書をしていると、本を探してほしいと頼まれることがよくあります。そのときの言い方に、説明する力の差がはっきり出ます。
たとえば、次の2人です。
「馬の絵本はありますか?」と聞く子。
「国語の教科書で馬が出てくるお話を読んだのですが、その絵本はありますか? 白い馬が出てくるお話です」と言える子。
どちらも探しているのは同じ『スーホの白い馬』です。でも、こちらに伝わるのは後者だけです。
後者の子が、特別に難しい言葉を使っているわけではありません。使っているのは「教科書」「白い馬」といった、誰でも知っている言葉ばかりです。ちがうのは、相手が何を知らないかをわかったうえで、必要なことを足せているところです。
説明が上手な子は、言葉をたくさん知っている子ではなく、この「足す」ができる子です。そしてこれは、練習で身につきます。
説明が苦手な子によくある3つの型
説明がわかりにくいときは、たいてい次の3つのどれかです。お子さんの話し方に近いものを探してみてください。
| 型 | よくある話し方 | 足りないもの | 家でのひと声 |
|---|---|---|---|
| ① 主語がない | 「ねえ、取られたんだよ」 | だれが・何を | 「だれが?」 |
| ② 話が長い | 朝から起きたことを順番に全部話す | いちばん言いたいこと | 「ひとことで言うと?」 |
| ③ 前提を飛ばす | 相手が知らない友だちや場所の名前が、説明なしで出てくる | 相手が知らない情報 | 「それ、だれ(どこ)?」 |
どの型も、子どもの頭の中では場面がはっきり見えています。見えているから、言わなくても伝わると思ってしまう。3つとも、根っこは同じ「相手は知らない」に気づけていないことです。
ひと声は、ひとつだけにしてください。「だれが?いつ?どこで?それで?」と続けて聞くと、説明より尋問になってしまいます。話し終わったあとに、足りないところをひとつだけ聞き返す。それだけで、次からその子は自分で足すようになっていきます。
家庭でできる、伝える力のトレーニング4つ
① 「ひとことで言うと?」から始める
話が長くなる子には、先に結論を言う練習が効きます。「今日いちばんおもしろかったことを、ひとことで言うと?」と聞き、そのあとで「どうして?」と理由を聞く。結論→理由の順番に慣れると、発表や作文でも話が散らかりにくくなります。
② 読んだ本のあらすじを30秒で話してもらう
聞く側は「その本を知らない人」のつもりで聞きます。登場人物の名前が説明なしで出てきたら「それ、だれ?」とだけ聞いてください。本のあらすじは、相手が知らない世界を言葉だけで伝える、ちょうどいい練習台です。
③ 遊びのルールを家族に説明してもらう
お子さんが知っていて、家族が知らないゲームやスポーツのルールを説明してもらいます。「相手は知らない」がはっきりしているので、何を足せばいいかに自分で気づきやすい練習です。途中で口をはさまず、最後まで聞いてから「ここがわからなかった」と伝えるのがコツです。
④ 絵や写真を言葉だけで説明する
1枚の絵を子どもだけが見て、それを言葉で説明し、親が見ずに描いてみます。「上のほうに」「左に」「大きな」といった位置や大きさの言葉が足りないと、まったくちがう絵になります。ゲーム感覚で、説明に必要な情報に気づけます。下で紹介する『お絵かき作文ドリル』は、この練習がドリルになった本です。
読書が「説明する力」を育てる理由
本の書き手は、読者が目の前にいないので、相手が知らないことを全部言葉で説明しています。物語なら場面や人物の気持ちを、説明文なら順序や理由を、言葉だけで伝えています。本をたくさん読んでいる子は、その「足し方」の見本に、毎日ふれていることになります。
これは、文字のやりとりでも同じです。LINEやメッセージ、学校のタブレットでのやりとりには、表情も声のトーンも乗りません。「ありがとう」の一言でも、笑顔で言われるのと、伏し目がちに言われるのとでは意味がちがいますが、文字になるとその違いは消えて、残るのは言葉だけです。
だから文字のやりとりでは、言葉そのものの正確さが問われます。言いたいことを誤解なく伝えられるか。相手の文章から、言葉の裏にある気持ちを読み取れるか。本で「言葉だけで伝える」見本にふれておくことは、これからの子どもにとって、ますます大事になると思います。
とくに説明文は、「まず結論、次に理由、最後にまとめ」という伝え方の型そのものです。説明文の読み方は本は読むのに国語が苦手な小学生|説明文でつまずく原因と、子ども新聞での伸ばし方に、読解力の育て方は小学生の読解力の鍛え方|「読解力がない?」のサインと家庭でできること・おすすめドリル6選に、読書で育つ力の全体像は本を読む子と読まない子、何がちがう?|学校司書が図書室で見ている読書の効果にまとめています。
伝える力・説明する力を伸ばす本
家庭での練習に使える本を、目的別に選びました。書名・出版社・内容は、出版社の案内と国立国会図書館の書誌で確認しています。
| こんなときに | 本 | 目安 |
|---|---|---|
| ゲーム感覚で「説明に足りない情報」に気づかせたい | 『お絵かき作文ドリル』基礎編 | 中学年 |
| 説明の順序や質問のしかたを、きちんと学びたい | 『こども話し方教室』 | 中学年〜高学年 |
| 「なんか」「やばい」ばかりを、具体的な言葉にしたい | 『こども言語化大全』 | 低学年〜高学年 |
| 自由研究や発表をまとめて伝えたい | 『小学生からはじめる 伝える力が身につく本』 | 高学年 |
| 言いかえの言葉を増やしたい | 語彙力・言い換え・読解力の図鑑シリーズ | 中学年〜高学年 |
『お絵かき作文ドリル 基礎編』(坂本聰 著/朝日学生新聞社)
「絵を見て、文で説明する」問題と、「文を読んで、絵にする」問題を、1日1問ずつ解いていくドリルです(全26問)。上の練習④と同じで、説明に足りない情報があると、絵がまったくちがってしまうことを、自分で体験できます。表紙には「小学校中学年のお子さんと保護者向け」とあり、親子で答え合わせをしながら使う形です。続編に、地図や間取り図、グラフの説明まで広がるチャレンジ編もあります。
『こども話し方教室 なぜ「相手に伝わる話し方」が大切なのかがわかる本』(三森ゆりか 監修/バウンド 著/カンゼン)
物事を説明するときの順序、質問するときの話し方、発表のしかたなど、場面ごとに「相手に伝わる話し方」を学べる本です。監修は、言語技術教育の三森ゆりかさん。この記事でお伝えしてきた「伝える相手は自分ではなく他人」という考え方が、本の芯になっています。2024年刊で、小学校中学年〜高学年向けです。
『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(山口拓朗 著/ダイヤモンド社)
ベストセラー『言語化大全』の著者による、子ども向けの実践書です。マンガと言葉のゲームで、語彙力・具体化力・伝達力を育てます。「なんか」「すごい」「やばい」で済ませてしまう子が、具体的に言いかえる練習に向いています。
『小学生からはじめる 伝える力が身につく本 −プレゼンテーション−』(山崎紅 著/日経BP)
調べたことや体験したことを整理して、人にわかりやすく伝えるまでを、親子で学べる本です。話の組み立て方、資料の作り方、発表のしかたまで書かれているので、自由研究の発表や、学校のプレゼンを控えた高学年に向いています。
『「12歳までに知っておきたい語彙力・言い換え・読解力」図鑑シリーズ』(齋藤孝 著)
日常でよく使う言葉から豊かな表現まで、言いかえの言葉を増やせる図鑑シリーズです。説明のとき、同じ言葉ばかりになってしまう子の「言葉の引き出し」を増やしてくれます。
親が読んでおきたい1冊
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子 著
全国の中高生を対象にした読解力調査をもとに、文章を正確に読む力の大切さを書いた本です。子どもに読ませるというより、親が「読む力・伝える力がなぜ大事か」を納得するための1冊です。AI時代に読書が必要な理由は
本選びに迷ったら:ヨンデミーという方法

説明する力は、本の中の「足し方」の見本にたくさんふれるほど育ちます。ただ、その子がおもしろいと思えて、少しだけ難しい本を選び続けるのは、司書の私でも簡単ではありません。ヨンデミーは、AIが読書記録をもとに、その子に合った本を提案し続けてくれるオンラインの読書習い事です。わが家で兄弟で使った感想は【小5・小3の兄弟で1年】ヨンデミーの口コミ・評判|本が苦手な次男の変化と、一度やめた長男が戻った理由にまとめています。
よくある質問
まとめ:説明する力は「相手は知らない」に気づく力
- 説明が苦手な子に足りないのは、言葉の数より「相手が何を知らないか」に気づく力
- よくある型は、主語がない・話が長い・前提を飛ばすの3つ
- ひと声は「だれが?」「ひとことで言うと?」「それ、だれ?」のどれかひとつだけ
- 家庭では、結論から話す・本のあらすじ・遊びのルール説明・絵の説明で練習できる
- 本の書き手は、相手が知らないことを全部言葉で足している。読書は説明の見本にふれる時間
今日の夕ごはんのとき、「今日いちばんおもしろかったこと、ひとことで言うと?」から始めてみてください。
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