子どもの本は買う?借りる?|学校司書ママの使い分けと「買う1冊」の決め方

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目次

こんな方におすすめの記事

  • 子どもの本を、買うべきか図書館で借りるべきか迷っている方
  • 本代がかさんできて、このままでいいのか不安になってきた方
  • 買った本を子どもが読んでくれず、もやもやしている方
  • 図書館をもっと上手に使いたいと思っている方
  • 本を選ぶのに疲れてきた方

わが家の本は、ほとんどが図書館の本です。

そのうえで、「月に1冊は本を買っていい」というルールにしています。漫画はなし。古本なら、何冊か買うこともあります。年間で3万円くらいでしょうか。

私は学校司書として働いていて、学校図書館に入れる本を年間1,000冊ほど選んでいます。つまり仕事では「買う側」にいて、家では「借りる側」にいる、ということになります。

両方をやってみて、はっきりわかったことがあります。買うか借りるかは、お金の話ではなく「その本と、どう付き合うか」の話だということです。

この記事では、その使い分けをお伝えします。絵本から児童書まで、小学生のお子さんがいる方に向けた内容です。


結論:基本は借りる。買うのは「今ほしい」と言った本

図書館の本が入ったかごと、数冊だけ並んだ本棚のあいだにすわる男の子

先に結論を書きます。

読む量は図書館で確保して、買うのは「子どもが今ほしいと言った本」「繰り返し読む本」「図書館にない本」の3つに絞る。これがわが家のやり方です。

いちばん大事なのは1つめです。子どもが「これ読みたい」と言ったときが、いちばん熱量が高い瞬間だからです。

借りるのが得意なこと、買うのが得意なこと

まず、それぞれが何を得意としているのかを整理しておきます。

借りる買う
得意なことたくさん読める/外れても痛くない/知らないジャンルに出会える/高い本も読める何度でも読める/読みたい瞬間に手が届く/子どものものになる
苦手なこと返却日がある/読みたいときに手元にない/人気の本は待つお金がかかる/置き場所がいる/外したときの痛手が大きい
向いている本はじめて出会う本・物語・シリーズの続き・季節の本・図鑑や専門的な本今すぐ読みたい本・繰り返し読む本・図書館にない本
ひとことで言うと出会うための手段付き合い続けるための手段

この表の最後の行が、いちばん言いたいことです。借りるのは出会うため、買うのは付き合い続けるため。役割がちがうので、そもそも比べるものではないんです。

そして出会いの数が先で、付き合う本はそのあとから決まります。順番を逆にはできません。

わが家のルールは「月に1冊」

細かいことを言うと、わが家のルールはこれだけです。

  • 月に1冊は買っていい
  • 漫画はなし
  • 古本なら、何冊か買うこともある

枠が決まっていると、子どもは真剣に選びます。「今月の1冊」をどれにするか考える時間そのものが、本を選ぶ練習になっています。

逆に、無制限に買っていいことにすると、たぶんこの真剣さは消えます。制限は、けちっているのではなく、選ぶ力を育てるための仕掛けです。


ぜんぶ買おうとすると、なぜ続かないのか

「本ならいくらでも買ってあげたい」という気持ち、よくわかります。おもちゃより本のほうが、お金を出しやすいという方は多いと思います。

ただ、全部買う方式には無理が出ます。理由は3つあります。

①金額が、思っているより大きい

児童書はだいたい1,200〜1,600円、絵本は1,400〜1,800円くらいが中心です。1冊なら気になりませんが、読むペースをかけ算するとこうなります。

読むペース年間の冊数1冊1,500円として
週に1冊約50冊約75,000円
週に3冊約150冊約225,000円
週に5冊約250冊約375,000円

次男は週に5冊ほど読みます。全部買っていたら年間37万円です。とても払えません。

そして、ここが大事なところなのですが、この金額を払えないことは、子どもの読書にとって何の問題にもなっていません。借りればいいだけだからです。お金の心配で読む量を減らすほうが、よほど問題です。

子どもがどれくらい読めば十分なのか、目安についてはこちらに書いています。

小学生の読書時間は何分が効果的?学力が伸びる目安を学校司書が解説

②置き場所が、先になくなる

ぎゅうぎゅうに詰まった本棚から、本を引き抜こうとしている男の子

お金より先に限界が来るのが、本棚です。

本が増えると、本棚は「詰まった状態」になります。そうすると出し入れがしにくくなり、子どもは本を手に取らなくなります。ぎゅうぎゅうの棚から1冊を抜くのは、大人が思うより面倒な作業です。

図書室でも同じことが起きます。棚がいっぱいの列より、少し余裕がある列のほうが本は動きます。本は、量ではなく見えやすさで手に取られます。

③いちばん大きいのは「外れを引けなくなる」こと

これが3つのなかで、いちばん深刻です。

1,500円払って買った本を、子どもが3ページで閉じたとします。そのとき親は、こう言いたくなります。

「せっかく買ったんだから、読みなさい」

この一言が出た瞬間、その本は宿題になります。お金を払っているぶんだけ、親は子どもに「読ませたく」なってしまう。これは意志の弱さではなく、仕組みの問題です。

図書館の本なら、3ページで閉じても何も起きません。「合わなかったね」で返せばいい。子どもが自由に本を見限れる状態を保つことに、価値があります。それが、借りるという方法です。

読書が続かない子ほど、この「見限れる自由」が効きます。本が苦手なお子さんについては、こちらにくわしく書きました。

「本が苦手」「全然読まない」を卒業!読書が苦手な小学生が0冊から抜け出す7つのステップ


借りることの価値は「量」ではなく「失敗できること」

図書館のメリットとして、たいてい最初に挙がるのは「無料でたくさん読める」ことです。それはその通りなのですが、私がいちばん大きいと思っているのは、失敗が許されることのほうです。

借りた本の半分は、読まれずに返ってくる

図書館の書棚の前で、本を開いて首をかしげている女の子

学校の図書室でも、借りたけれど読まずに返す子はたくさんいます。

返却のときに「時間がなくて読めなかった、ごめんなさい」と言う子もいます。謝らなくていいんですよ、と毎回伝えています。読まずに返すのは失敗ではありません。

本を1冊持ち帰るというのは、それだけで「これを読んでみようと思った」という選択です。読まなかったとしても、選ぶという行為は起きています。そして選ぶ回数を重ねた子は、だんだん自分に合う本がわかるようになります。

選ぶ力は、外した回数でできている

表紙で選んで、開いてみて、思っていたのと違って、戻す。この繰り返しでしか「自分に合う本を選ぶ力」は育ちません。

大人でも同じだと思います。書店で何十冊も手に取ってきたから、今は表紙と数ページで見当がつく。子どもにも、その練習の回数がいります。

全部買う方式は、この練習の回数を減らしてしまいます。1冊が1,500円だと、親は慎重になり、選ぶのは親になり、子どもは渡されたものを読むだけになる。選ぶ経験を奪ってしまうことが、いちばんもったいない。

図書館にしか置いていない本が、たくさんあります

これは、あまり知られていないと思うので強くお伝えしたいところです。

書店の児童書コーナーに並んでいるのは、物語と図鑑が中心です。売れる本が並ぶのですから当然のことです。でも図書館には、あらゆる分野の知識の本があります。たとえば、こんなジャンルです。

分野こんな本があります
くらしの仕組み防災、下水道や電気などのインフラ
自然落ち葉だけをまとめた本、1つの生き物だけを深掘りした本
文化伝統工芸、歌舞伎、宗教
社会障がい、いろいろな仕事
ことば・表現詩、写真集
そのほか宇宙、料理、地図

しかもこれが児童書として作られているので、ルビがふってあったり、要点が短くまとめられていたりして、小学生でも読めるようになっています。一般書では難しすぎて手が出ない内容でも、児童書なら深められるんです。

正直に言うと、大人が読んでもとても勉強になるレベルの内容が、わかりやすくまとまっています。お子さんが何かに興味を持ったら、まず図書館で探してみてください。「そんな本まであるの」というものが、かなりの確率で見つかります。

たとえば花や植物に興味を持ったときの1冊については、こちらに書きました。

花の絵本おすすめ|本物の花を飾ると子どもの感性が育つ理由

見つからないときは、司書に聞いてください

棚を自分で探すのも楽しいのですが、「こういう本が読みたいけれど、うまく見つからない」というときは、カウンターで司書に聞いてください。これはレファレンスサービスといって、図書館の正式なサービスのひとつです。

司書の側の本音を書きます。レファレンスの相談が来ると、司書は気合が入ります。これこそが司書の仕事だと思っているので、遠慮していただく必要はまったくありません。

そして、その図書館に置いていない場合でも、レファレンスを通すとほかの図書館から取り寄せてもらえることがあります。「うちの図書館にないから買うしかない」と判断する前に、一度相談してみてください。

借りることの弱点と、その回避のしかた

もちろん借りることにも弱点があります。正直に書いておきます。

借りる弱点どうすればいいか
返却日がある読み切れなくても延長するか、返してまた借りればいい。「返却日までに読む」を目標にしない
読みたいときに手元にない次に行くまでのつなぎとして、家に数冊だけ「買った本」を置いておく
人気の本は待たされる予約を入れておく。待っている間はほかの本を読めばいい
汚す・なくすのが不安置き場所を1か所に決める。汚したら自分で直さずに、そのまま伝える
シリーズが揃っていない抜けている巻だけ買う。人気シリーズは古本でも見つかりやすい

1行目の「返却日までに読む」を目標にしない、というのは特にお伝えしたいところです。返却日を読書の締め切りにすると、読書が急に業務になります。返却日は本を返す日であって、読み終える日ではありません。


学校の図書室も、ぜひ使ってください

小学校の図書室のカウンターで、司書に本のことをたずねている男の子

公共図書館の話が続きましたが、もうひとつ、無料で本が借りられる場所があります。お子さんが毎日通っている学校の図書室です。

年間1,000冊を、その学校の子に合わせて選んでいます

私の仕事のひとつが、学校図書館に入れる本を選ぶことです。年間で1,000冊ほど選びます。

家庭で本を買うのと決定的に違うのは、1年生から6年生まで、全校の子どもが対象だということです。読める漢字の量も、話の難易度も、興味のあるジャンルもまったく違う。そこに学校の方針や、校外学習・運動会といった行事も重なります。考えることが本当に多岐にわたります。

選び方としては、何かに偏らないように、でも深く学びたい子の気持ちにもちゃんと応えられるように気をつけています。実際に買うのは、長く読まれている名作、人気シリーズ、話題の本、授業で使う本、リクエストが多い本などです。

「こんな本ありますか?」と聞いてください

学校図書館の本は、司書や司書教諭など、本を買うことに関わっている人がその学校の児童に合うように選んでいます。ですから、地域の図書館にはない本がそろっていることもあります。

お子さんに、こう伝えてみてください。「読みたい本があったら、図書室の先生に聞いてごらん」と。

「こんな本ありますか?」と聞いてもらえるのは、学校司書にとって嬉しいものです。それが仕事の醍醐味だと思っている人も多いと思います。一緒におもしろい本を探していきましょう。

リクエストを書いた子は、届く日を毎日待っています

私の図書室では、リクエストの用紙を置いています。

ネットで見つけた本、本屋で見た本、推しが紹介していた本、ほかの本の中で紹介されていた本、話題の本。出てくるものは本当にさまざまです。全部に応えられるわけではありませんが、なるべく応えるようにしています。

リクエストを書いた子は、その本が図書室に来る日をずっと待っています。「あの本、届いた?」と毎日のように聞いてきます。「届いたよ」と伝えると、やったーと言って本当に喜びます。読んだあとにも、たくさん話をしてくれます。

本人はすぐ読みたいのでしょうが、待っている間も、じつはいい時間なんだなと思います。

そして、その本は友だちに広がっていきます

いいのは、そのあとです。

好きな本を読んだ子が、ほかの子に「面白かったよ」と伝えることがあります。友だちに紹介された本は、「読んでみようかな」という気持ちになるようです。読んでみたら面白かった。そうなると、紹介した子とされた子の共通の話題になりますし、さらに輪が広がっていくこともあります。

これは、借りられる本ならではの強みです。

買うとなると、小学生は自分では買えません。読んでみたいのに読めない、ということが起こり得ます。友だちの「面白かったよ」を、その日のうちに受け取れる。借りられる環境があることは、それくらい大切です。


買う前に、子どもに聞いてみてください

書店で母親が差し出した本の表紙を、じっと見て考えている男の子

買う話に入る前に、どうしても書いておきたいことがあります。

昔の名作でも、今の子が読むとはかぎりません

選書をしていると、こういうことが起きます。

昔からある有名なシリーズを入れたのに、まったく動かない。親世代に流行っていた本、よく読まれていた本でも、今の子は読まないことがあるんです。新しく買ったので本自体が古びているわけではありません。表紙の印象だったり、物語の設定だったり、そういうところに面白みを感じていないようでした。

昔からの有名なシリーズは、図書室にも図書館にも本屋にもたくさんあります。ネットの「おすすめの本」でもよく紹介されています。でもたくさん置いてあることと、子どもが面白がることは、まったく別の話です。

だから、買う前には子どもに「これ、どうかな」と聞いてみることをおすすめします。子どもは表紙が好みでないというだけで、読む気が起こらないこともよくあります。子どもの本選びは、大人が思っているよりずっとシビアです。

逆に、大人が意外に思う本が大人気になります

反対の話もあります。

選書のときには、学校の先生方にも意見をうかがいます。その中には正直、「こんな本、誰が読むんだろう」と思うものもあります。ところが、その本が大人気になったりするんです。

たとえば、生き物そのものの図鑑ではなく、生き物の「持ち方」の図鑑。子どもたちは興味津々でした。本で読んだことを、みんなに教えてあげる子もよく出てきます。

先生は子どもをよく見ているのですよね。さすがだなと思います。そして、この手の本は書店ではまず出会えません。ここでも図書館が効いてきます。


それでも「買ったほうがいい本」があります

ここまで借りることをすすめてきましたが、買うべき本は確かにあります。判断のサインは5つです。

買うサインなぜ買うのか
子どもが「今読みたい」と言ったいちばん熱量が高い瞬間。冷めないうちに渡したい
繰り返し読んでいるその子の心に残り続ける1冊になる
図書館に置いていない読みたいのに読めない状態を放置しない
図鑑・辞典など「引く」本読む本ではなく道具。手元にないと使えない
贈りものにする持っていること自体に意味がある

①子どもが「今読みたい」と言ったとき

これがいちばん大事なサインです。

読みたいと思ったときが、いちばん熱量が高い瞬間です。その気持ちが冷めないうちに読んだほうがいい。とくに、読書習慣がまだついていない子や、本に苦手意識がある子は、すぐ読ませたほうがいいと思っています。

ここで、正直な話を書きます。

本は安い買いものではないので、「古本屋に行けば安いかも」「ネットで探せばもっと安いかも」という気持ちは、親には必ず芽生えます。私もよく思います。新品なら1,500円、古本なら300円。この差はとても大きい。

でも、そこはぐっと大人の事情を抑えて、熱量の高い本は買ってあげてほしいんです。いつもでなくてかまいません。ふだんは図書館でいい。でも、ここぞという時は、子どもの未来への投資だと思ってください。

②繰り返し読んでいる本

夜の子ども部屋。ベッドのそばの台に絵本が置かれている

何度も読み返している本は、買ってしまっていいと思います。

繰り返し読んだ本は、その子の心に残り続けます。成長とともに内容を忘れてしまっていても、ふとしたときに思い出すことがある。それはたいてい、家に置いてあって、よく目にして、よく読んだ本です。

寝る前に読む絵本も、この仲間です。毎晩の習慣にするものは、手元にないと崩れます。図書館の本でまわしていると「今日の分がない」という日が必ず出ますし、一度途切れると再開するのはけっこう大変です。

同じ本を毎晩読むことになっても大丈夫です。寝る前に求められているのは新しい物語ではなく、いつもの声といつもの流れだからです。

寝る前の読み聞かせが子どもの睡眠の質を高める理由【親子時間の新習慣】

③図書館に置いていない本

図書館にもそれぞれ買う基準があって、予算にも限りがあります。とくに児童書は、読みたくても置いていないジャンルがあります。

  • ゲームを小説化したもの
  • 児童文庫(レーベルもの)
  • 高学年に人気の恋愛もの

わが家の例を挙げると、長男(6年生)はモンスターハンターが好きなのですが、よく使う図書館には関連の小説が1冊もありませんでした。児童書のものも一般書のものも出ているのに、です。読みたがっていたので、買いました。

ほかに買ったものも、だいたい同じ理由です。歴史の一般書、武将の相関図が載っている本。どれも図書館にはそろっていなくて、本人がほしがったものです。

逆に、物語は同じものを2回読むことがないので、図書館で借りています。ここは、はっきり分けています。

次男(4年生)に買ったのは、かわいい犬のイラストで描かれた日本史の本でした。長男の影響で歴史に興味が出てきたけれど、かわいいイラストならわかりそうだと本人が思ったようです。それとハリー・ポッター。図書館にもあるのですが、人気ゆえに汚れていたり、シリーズがそろっていなかったりしたので、古本できれいなものを買いました。

④図鑑・辞典など「引く」本

図鑑や辞典は、読む本ではありません。知りたくなった瞬間に開く道具です。

「この虫なんだろう」と思ったその場で開けるから意味があるのであって、3日後に図書館で借りてきても、そのときにはもう興味は別のところに移っています。道具は、必要な瞬間に手元にあってはじめて道具になります。

ただし全巻セットで揃える必要はありません。その子が今いちばん興味を持っている1冊から始めれば十分です。広く浅く見たいだけなら、図書館の図鑑コーナーのほうが種類が豊富です。

どんな図鑑や辞典を選べばいいかは、こちらでくわしく紹介しています。

小学生の語彙力を伸ばす本おすすめ12冊|学年別の選び方を司書ママが解説

⑤贈りものにする本

誕生日やクリスマスの本は、読ませるための本ではありません。持っていること自体に意味があります。

選び方のコツは、そのとき子どもがはまっていることに、近いものを選ぶことです。

わが家でうまくいったのは、輪ゴムにはまっていた時期でした。『わゴムはどのくらいのびるかしら?』(マイク・サーラー 作/ジェリー・ジョイナー 絵/岸田衿子 訳・ほるぷ出版)と『わたしのわごむはわたさない』(ヨシタケシンスケ・PHP研究所)を渡したら、喜んでよく読んでいました。

「輪ゴムが好きだから、輪ゴムの本」。それくらい直球でいいんです。むしろ「これを読んでほしい」と思って選んだ本のほうが、外れます。

もうひとつ、贈りものならではの方法として、その子の名前が入ったオーダーメイドの絵本という選択肢もあります。物語の中に自分の名前が出てくる本は、当然ながら図書館では借りられません。「持っていることに意味がある」を、いちばん素直に形にしたものだと思います。


本の種類別・買う/借りるの使い分け

迷ったときの目安として、種類別に整理しました。

本の種類おすすめ理由
物語・児童書(はじめて読むもの)借りる合うかどうかは読んでみないとわからない。同じ物語を2回読む子は多くない
知識の本(防災・インフラ・伝統文化など)借りる書店にはほとんど並ばない。図書館の得意分野
寝る前の絵本買う毎晩使う。返却日と相性が悪い
繰り返し読む絵本買う2回目以降に見えてくるものがある。手元に置く価値が高い
図鑑・辞典・地図帳買う読む本ではなく引く道具。その場で開けないと意味がない
ゲームのノベライズ・児童文庫・恋愛もの買う図書館にほとんど入っていない
シリーズもの(ハマり中)買い足す勢いを止めない。抜けている巻だけでもいい。古本も有効
シリーズもの(様子見)借りる1巻を借りて、続きを催促されたら買いに切り替える
学習漫画借りる冊数が多く単価も高い。図書館・図書室が充実している分野
季節の本借りる読む時期が限られる。翌年また借りればいい
プレゼントの本買う贈りものは、所有できることに意味がある

季節の本を「借りる」にしているのは、軽く見ているからではありません。むしろ逆で、季節の本は今読むことにこそ意味があります。ただ、読める時期が短い。図書室でもクリスマスの本は、クリスマス以外の時期にはほとんど借りられません。1年のうち1か月しか出番のない本を買い揃えていくと、本棚がすぐにいっぱいになってしまいます。

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学年によって、重心は少しずつ移っていきます

学年重心この時期に意識したいこと
低学年(1〜2年)買う:借りる=3:7読み聞かせ用の絵本が手元にあるといい。繰り返し読む本が生まれやすい時期
中学年(3〜4年)買う:借りる=2:8読む量が一気に増える。図書館を主戦場にする。図鑑や辞典を1冊買うならこのあたり
高学年(5〜6年)買う:借りる=2:8好みがはっきりしてくる。図書館にないジャンルを読みたがるようになるので、買う本の中身が変わる

比率そのものは目安なので、あまり気にしないでください。大事なのはどの学年でも借りるほうが多い、という点です。

中学年で、借りる子と借りない子に分かれることがあります

ひとつ、気をつけたい時期があります。

学校によっては、低学年のうちは時間割の中に「図書の時間」があり、ある学年からそれがなくなります。これは学校によってさまざまで、図書の時間がない学校もあれば、3年生以降もある学校もあります。お子さんの学校がどうなっているかは、一度確認してみてください。

お伝えしたいのはここからです。本を借りることが全部子どもまかせになる環境では、読む子と読まない子にはっきり分かれます。これは実際に図書室で起きていることです。

家で本を買い与えていると、この変化に気づきにくいんです。家に本があるから読んではいるけれど、自分で本を借りに行く力は育っていない、ということが起こります。時間割から図書の時間が消えたら、一度お子さんと図書館に行ってみてください。

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図書館を、もう少し使い倒すために

①予約は便利。でも、棚を見て回る時間も大切にしてください

図書館の書棚の通路で、思いがけない本を見つけて見上げている女の子

予約をすると、借りたい本をピンポイントで、探し回らずに借りられます。これは大きなメリットです。家で決めて予約しておけば、図書館では受け取って帰るだけで済みます。

ただ、それだけにしてしまうのはもったいない。図書館を見て回る時間は、子どもにとってむしろ大切な時間だからです。

理由ははっきりしています。予約は、知っている本にしかできません。でも本棚には、思ってもいなかった出会いがあります。知らなかったけれど、面白そうな本がそこにある。自分で発見することは、子どもにとって喜びにもつながります。

館内に30分いること自体は、小学生ならそこまで大変ではありません。静かな場所では静かにできる年齢になっています。予約で確実に手に入れる本と、棚で見つける本。両方あるのがいちばんいいと思います。

②貸出の条件は、思っているより緩いかもしれません

「1人5冊まで」くらいだと思っている方が多いのですが、実際はかなり違います。参考までに、私が使っている図書館はこうです。

項目私の使っている図書館の場合
貸出冊数制限なし
貸出期間2週間
延長ほかの方の予約が入っていなければ、さらに2週間。手続きはネットでできる
子ども用のカード何歳でも作れる

条件は自治体によって違うので、お住まいの図書館で確認してみてください。それでも「もっと借りていいんだ」と気づくだけで、通う回数を減らせます。1回の来館で2〜3週間ぶんをまとめて借りてしまえばいいんです。

そして、子ども本人のカードで借りるというのは、思っている以上に効果があります。自分の名前のカードを出して、自分で選んだ本を借りる。これは「本を与えられる」から「本を借りに行く」への切り替わりです。

③汚してしまったら、何もせずに伝えてください

子どもが本を汚したり破いたりしてしまうことは、よくあることです。

「本は大切に。みんなの本だから、汚したり破いたりしないようにしようね」という説明はしていただいたうえで、それでもそうなってしまったら、そのまま伝えてください。正直に言ってもらうのがいちばんです。直せるものは直していきますし、図書館の側も慣れています。

困るのは、よかれと思っての補修です。セロハンテープで貼らないでください。時間が経つと劣化して、かえって直しにくくなります。本には本のための修復ツールがあるので、何もせずに持ってきていただくのがいちばん助かります。

④「借りてこないで」と言われている子もいます

図書室には、家の人から「本を借りてこないで」と言われている子が、たまにいます。

理由はいろいろです。小さい子がいる、ペットを飼っている、汚すリスクが気になる。返却期限までに用意するのが負担、ということもあります。どれも、ご家庭の事情としてよくわかります。

そういう子には、こう伝えています。「図書室に読みに来ていいよ。借りてもいいけど、教室のロッカーに入れておいて、空いた時間に読んでもいいよ」と。

家が反対しているときに無理に持ち帰らせると、矛先が子どもに向いてしまうかもしれません。家に持ち込まなくても、本を読む方法はあります。

⑤置き場所を決めておく

借りる運用でいちばん困るのは、返却時に本が見つからないことです。

わが家は、図書館の本はリビングのソファの横に置いた箱、買った本は子どもの横の本棚、絵本はベッドのそば、と場所を分けています。借りた本が箱に戻っていれば、返却日にあわてなくて済みます。

置き場所を分けるのは、管理のためだけではありません。買った本と借りた本は役割が違うので、置く場所も違っていいんです。

家に本がある子は、本との距離が近い

最後に、買うことの意味について、図書室で感じていることを書きます。

家に本がある子は、本との気持ちの距離感が近いです。知らない本でも「とりあえず読んでみようかな」と気軽に手に取り、気軽に借りていきます。

ここが大事なところだと思っています。家に本を置く意味は、読む冊数を増やすことではありません。本を身近なものにしておくことです。だから、そんなにたくさんはいらないんです。

ちなみに、図書室で自分の持っている本を見つけた子は「これ、家にあるよ」と教えてくれます。持っているのにまた借りる子は、あまりいません。その代わり、友だちにすすめる子はいます。同じ作者の別の本をすすめると、借りていくこともあります。


買った本を、子どもが読まないとき

いちばんつらいのは、良かれと思って買った本が読まれないときだと思います。

私にもあります。

三国志の本を、まったく読まなかった話

長男は戦国時代が好きでした。だったら三国志も楽しめるのではないかと思って、児童書の三国志を買ったんです。

読みませんでした。「なんか違う」と言って。

絶対好きだと思うのに、という気持ちはずっとありました。せっかく買ったのだから、とりあえず読んでみればいいのに。暇だーって言ってるなら読めばいいのに。——正直、そう思っていました。

読んだのは、映画を見たあとでした

床に置かれたままだった本に、そっと手をのばしている男の子

その本は、後になって読みました。

きっかけは映画の「キングダム」です。映像を見て感動していたので、これは中国のお話で、中国では戦国時代がずっと続いてきた歴史があるんだよ、と説明しました。そうしたら興味を持って、あの三国志の本を読み始めたんです。

ここから思うことがあります。その話を好きになる素質があっても、親がすすめたときには、ささらないことが多いんです。

親以外のどこかから刺激を受けて興味を持ったことのほうが、子どもには強く残るし、本にもつながっていく。そう感じています。

もちろん、読まないままの本もあります。じいじが買ってくれた本があるのですが、申し訳ないことに全然読みませんでした。あれは図書カードのほうがよかったかもしれません。

読まれないときにできること

やりがちなこと代わりにできること
「買ったんだから読みなさい」と言う何も言わずに、目につく場所へ移す
面白さを説明して説得するその本につながる映画・番組・出来事のほうを一緒に見る
読んだか毎日確認する何か月でも放っておく。時期が来ると急に読み出すことがある
処分する・隠す本棚の目線の高さに、表紙が見えるように置き直す
もう本は買わないと決める次は「子どもがほしいと言った本」だけを買うルールに変える

もうひとつ効くのは、1〜2章だけ読み聞かせてあげることです。自分で開くには重たい本でも、声で入り口まで連れていってもらえると、そこから先は自分で進める子がいます。

読み聞かせは、低学年で終わるものではありません。自分で読める本より難しい内容を受け取れるのが、読み聞かせだけが持っている力です。高学年でも十分に効きます。

読み聞かせはいつまで続ける?目安は小3・やめどきのサインを学校司書が解説


本当の負担は、お金ではなく「選ぶこと」かもしれません

ここまで「借りるほうを軸にしましょう」と書いてきましたが、借りる運用には、ひとつだけ大きな弱点があります。

親が、本を選び続けなければならないことです。

私も自分で探していた頃は、こんなことをしていました。

  • ネットで「花 絵本」のように検索して候補を探す
  • 見つけた本が図書館にあるかを、蔵書検索で確認する
  • なければ、また検索に戻る

これを毎週やっていました。せっかく見つけたのに図書館に置いていない、というのがいちばん徒労感がありました。読み聞かせ用にと思って借りたら、絵本ではなく児童書だったこともあります。

そして年数を重ねると、もうひとつの壁が来ます。子どもの既読が増えて、「それ知ってるから、他のがいい」と言われることが多くなるんです。選ぶ難易度は、続けるほど上がっていきます。

本代を節約できても、この作業が毎週のしかかってくるなら、続きません。親の負担が大きい仕組みは、どんなに正しくても続かないんです。

読み聞かせそのものがしんどくなってきた方へのQ&A記事の中にも、「本を選ぶのが面倒」という項目を入れています。

読み聞かせが面倒…疲れたあなたへ。気楽に続けるためのQ&A

選ぶところだけ、任せてしまう方法

わが家がこの問題をどう解決したかというと、選ぶところを任せてしまいました。

使っているのはヨンデミーです。AIが、その子にぴったりの本を選んでくれるサービスです。読める難易度と好みに合わせて選んでくれるので、親はもう本を探さなくてよくなります。

ミニレッスンや、読んだ本が見える化される機能もありますが、いちばん大きいのは「本を選んでくれること」です。

そしてこの記事の文脈でありがたいのが、図書館と連携していることです。登録した図書館で借りられる本を優先しておすすめしてくれるので、私がずっと悩まされてきた「見つけたのに図書館にない」が起きません。さらに2026年7月からは、おすすめの本をまとめて自動で予約してくれる機能も始まりました。

つまり、探す・予約するが消えて、受け取って渡すだけになります。本代はかからないまま、いちばん重い作業だけがなくなる形です。

「選ぶ」だけは、少し事情が変わりました。2026年8月21日の選書リニューアルで、次に読む1冊を決めるのは子ども自身になったからです。ヨンデミーが3冊の候補を出し、その中から本人が選びます。親から消えるのは本を探す手間で、選ぶ楽しさのほうは子どもに残る形です。

この記事で書いてきた「買う1冊は本人に決めさせる」という話と、根っこは同じだと思っています。自分で選んだ本は、読みたい気持ちが違います。

自動予約の設定方法と、実際に使ってみてどう変わったかはこちらに書きました。

ヨンデミーの「図書館自動予約」を使ってみた|設定方法と、本の準備がラクになった話

30日間の無料体験があり、自動課金もありません。本を買うか借りるかで迷っている段階なら、まず「選ぶ手間」のほうを減らしてみるのも一つの方法だと思います。

▼ヨンデミー公式サイト(30日間無料・自動課金なし)はこちら

ヨンデミーを兄弟で使った正直レビューはこちら

料金や兄弟で使ってみた話など、ヨンデミー全体のレビューはこちらにまとめています。

ヨンデミーの口コミ・評判と料金|司書ママが兄弟で体験した正直レビュー


よくある質問

子どもの本は、年間どれくらい買うのが普通ですか?

決まった数はありません。参考までに、わが家は「月に1冊」というルールにしていて、年間3万円くらいです。少なく感じるかもしれませんが、読む量は図書館で確保しているので何の問題もありません。冊数より大事なのは、買う枠を決めておくことです。枠があると、子どもは「今月の1冊」を真剣に選びます。

図書館で借りた本を、子どもが読まずに返してしまいます

そのままで大丈夫です。学校の図書室でも、借りたけれど読まずに返す子はたくさんいます。本を1冊選んで持ち帰った時点で「これを読んでみようかな」という選択は起きているので、そこは失敗ではありません。読まずに返せることこそ、借りるという方法の強みです。ここで「せっかく借りたのに」と言ってしまうと、次から本を選ぶこと自体をためらうようになります。

汚したり破いたりしそうで、図書館の本を借りるのが不安です

借りて大丈夫です。子どもが本を扱えば、多少のことは起こります。もし汚してしまったら、自分で直そうとせずに、そのままカウンターへ持っていって伝えてください。セロハンテープでの補修だけはしないでください。時間が経つと劣化して、かえって直しにくくなります。本には本のための修復ツールがありますし、図書館の側も慣れています。心配なら、家の中で本を置く場所を1か所に決めておくと事故がぐっと減ります。

買った本ばかり何度も読んで、新しい本を読みません

止めなくて大丈夫です。同じ本を繰り返し読むのは、その子にとってその本が「安心して戻れる場所」になっているということです。繰り返し読んだ本は、大人になっても心に残ります。新しい本を読ませたいときは、今読んでいる本を取り上げるのではなく、図書館で借りた本をそっと近くに置いておくだけにしてください。時期が来れば自分から手を伸ばします。

読みたい本が図書館に置いていません

まずカウンターで相談してみてください。レファレンスサービスを使えば、ほかの図書館から取り寄せてもらえることがあります。学校の図書室に置いてある場合もあるので、お子さんから司書に聞いてもらうのも早いです。それでも手に入らないジャンル(ゲームのノベライズ、児童文庫、高学年向けの恋愛ものなど)は、図書館にほとんど入っていないことが多いので、そこは買う対象だと考えていいと思います。

中古やフリマアプリで買うのはどうですか?

いい方法です。わが家も古本はよく使います。とくに人気シリーズは古本で見つかりやすく、図書館の本が汚れていたりシリーズが揃っていなかったりするときの受け皿になります。気をつけたいのは2点。絵本には大型版・ボードブック・新装版など複数の版があるので、読み聞かせに使うなら大きさを確認すること。もうひとつは、書き込みや落丁がある場合があることです。ただし、子どもが「今読みたい」と言った本については、古本を探して待たせるより、新品でもすぐ渡すほうがいいと思っています。

誕生日やクリスマスに本を贈っても喜ばれますか?

喜ばれます。コツは、そのとき子どもがはまっていることに近い本を選ぶことです。「読ませたい本」ではなく「今おもしろがっていることの本」にしてください。書店に一緒に行って選ばせるのもおすすめです。買ってもらえるというのは、子どもにとって嬉しいものです。スーパーなどでは「ダメ」と言われることが多いですから。そのとき何冊でもOKにせず、1冊などに限定してください。欲しい本が何冊かあるなかで「どれにしようかな」と考えている顔は、本当に楽しそうです。

学校の図書室は、親が関われるものですか?

直接は難しいですが、お子さんを通じて関われます。「読みたい本があったら図書室の先生に聞いてごらん」と伝えるだけで十分です。学校図書館の本は、その学校の子どもに合うように選ばれているので、地域の図書館にない本がそろっていることもあります。リクエストを受け付けている図書室も多く、入った本を子どもが待っている時間そのものが、いい時間になります。


まとめ

買うか借りるかで迷ったときは、この順番で考えてみてください。

  • 読む量は借りて確保する。出会いの数がすべての土台
  • 買うのは「今読みたい」と言った本。熱量が冷めないうちに渡す
  • 繰り返し読む本・図鑑・図書館にない本も、買っていい
  • 買う前に「これ、どうかな」と子どもに聞く。大人の名作リストは当てにならない
  • 図書館にしかない本がある。見つからないときは司書に聞く
  • いちばんの負担はお金ではなく「選び続けること」。ここは仕組みで減らせる

本を買うことは、子どもへの愛情の表し方のひとつだと思います。だから「買わないほうがいい」と言われると、少し寂しい気持ちになるかもしれません。

でも、子どもにとっていちばん嬉しいのは、本を買ってもらうことではなく、自分が読みたいと思った本にすぐ手が届くことです。それが図書館の本でも、月に1冊の本でも、変わりません。

そして、選び抜いて残った1冊は、その子のとびきりの1冊になります。それが自分のものになるというのは、いい経験だと思います。

読書で何が育つのかを知っておくと、目の前の1冊に一喜一憂しなくて済むようになります。よかったらこちらもどうぞ。

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子どものことば・読書・表現の力を育てるヒントを発信しています。

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この記事を書いた人

小学校で学校司書をしています。毎日子どもたちと図書室で過ごす中で感じること——それは言葉を育てることの大切さです。
読み聞かせ・読書・親子の会話・AI時代との向き合い方など、ご家庭でできる「ことば育て」のヒントを発信しています。
難しいことは何もありません。毎日少しの積み重ねで、子どもの言葉はぐんぐん育ちます。

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