「本はよく読んでいるのに、話す言葉は『やばい』と『うざい』ばかり」
「けっこう分厚い本も読んでいるのに、テストの記述問題は空欄のまま返ってくる」
そんなちぐはぐさに、首をかしげたことはありませんか。
「本をたくさん読んでいる子は言葉が豊かだ」——これは、まちがいではありません。学校の図書室で子どもたちを見ていても、よく読む子のことばの手持ちは、やはり多いと感じます。
ただ、もう少し正確に言うとこうなります。読書は語彙を増やす最短ルートだけれど、読めば自動的に増えるわけではないということです。同じ量を読んでいても、ことばがどんどん積み上がっていく子と、そうでもない子がいます。
この記事では、読書で語彙力が伸びる仕組みと、伸びていないときに何が起きているのか、そして家庭でできる小さな関わり方を、学校司書としての目線からお伝えします。
おもに一人読みをしている中学年〜高学年(3〜6年生)のお子さんをお持ちの方に向けた内容です。まだ読み聞かせが中心のご家庭は、読み聞かせで語彙力が伸びる理由(低学年・中学年向け)のほうが役に立つと思います。

こんな方におすすめの記事
- 本は読んでいるのに、語彙が増えている実感がない方
- 子どもが知らない言葉を読み飛ばしているようで気になる方
- 語彙力ドリルを買うべきか迷っている方
- 読書を「ことばの力」につなげる関わり方を知りたい方
- 国語の記述やテストの点に、読書がなかなか結びつかないと感じている方
「本を読んでいるのに語彙が増えない」は、気のせいではありません

読書と語彙力の関係は、たしかに深いものです。けれど「読書量さえあれば語彙は勝手に増える」と考えていると、どこかで期待とのずれが出てきます。
図書室で子どもたちを見ていると、同じくらい借りているのに、ことばの伸び方がまるでちがうということが起こります。冊数ではないのです。何を、どう読んでいるかで、ことばの入り方は変わります。
ざっくり分けると、こういうちがいです。
| 語彙が増えていく読書 | あまり増えない読書 |
|---|---|
| 知らない言葉が、少しだけ混じっている本を読んでいる | すらすら読める本しか読んでいない |
| 物語・説明文・伝記など、いろいろな種類を行き来している | 同じシリーズ・同じ作者だけを何十冊も読んでいる |
| 読んだあと、誰かに内容を話している | 読み終わってそのまま次の本へいく |
| 会話文だけでなく、地の文(描写)も読んでいる | セリフだけを拾って先へ進んでいる |
| 気になった言葉を、たまに聞いてくる | わからない言葉があっても、まったく話題に出ない |
右側にたくさん当てはまったからといって、心配しなくて大丈夫です。この差は、本の選び方と、読んだあとのほんの少しの会話で埋められます。この記事の後半で、そのやり方をお伝えします。
そもそも「語彙力」は、知っている言葉の数ではありません

語彙力というと、「知っている言葉がいくつあるか」という数の話に聞こえます。でも実際に子どもたちを見ていると、語彙力とは、知っている言葉の量と、それを使いこなせる度合いのかけ算だとわかります。
たとえば「うれしい」。この言葉を知らない小学生はいません。でも「感激する」「胸が躍る」「じーんとする」「照れくさいけどうれしい」まで使い分けられるかどうかは、子どもによって大きく差が出ます。この差が、そのまま作文や記述問題の差になって現れます。
「知っている」には3つの段階がある
ひとくちに「その言葉を知っている」といっても、実際には次の3段階に分かれています。
| 段階 | 子どもの状態 | 見分け方 |
|---|---|---|
| ① 見たことがある | 文字面には覚えがあるが、意味は説明できない | 「聞いたことはある」と言うが、そこで止まる |
| ② 意味がわかる | 読んでいて意味は取れる。文脈があれば理解できる | 読書中に立ち止まらない。でも自分では使わない |
| ③ 自分で使える | 話すとき・書くときに、その言葉が出てくる | 作文や会話に、ふっとその言葉が現れる |
ここが大事なところです。読書が強力に効くのは、①から②への引き上げです。読めば読むほど、「意味がわかる言葉」はどんどん増えていきます。
一方で、②から③——つまり「自分で使える言葉」になるには、読書だけでは足りません。その言葉を実際に使う場面が必要だからです。
「本をよく読むのに、話す言葉は幼いまま」に見えるとき、その子の中では②が着々と積み上がっています。まだ外に出てきていないだけです。語彙は、たまってから出てくるまでに時間差があります。
語彙力そのものが子どもの何を左右するのかについては、小学生の語彙力の増やし方で詳しくまとめています。
会話だけでは、一生出会えない言葉があります

読書が語彙力に効く、いちばん大きな理由はここにあると思っています。
家庭でどれだけ豊かに会話をしていても、日常会話の中には、まず出てこない種類の言葉があります。書き言葉の語彙です。
| 場面 | 日常会話で使う言い方 | 本の中にしかない言い方 |
|---|---|---|
| 困っている | どうしよう、こまった | 途方に暮れる/立ち尽くす/なすすべがない |
| うれしい | やった、うれしい | 胸が高鳴る/こみ上げる/晴れやかな気持ち |
| こわい | こわい、やばい | 身がすくむ/背筋が冷たくなる/おそるおそる |
| 少しだけ | ちょっと | かろうじて/わずかに/ほんのりと |
| 説明する | ふつうは、だいたい | 一般に/およそ/たとえば〜のように |
右の列の言葉を、家族の会話で使う人はまずいません。使ったら少し照れくさいくらいです。つまりこれらは、読書でしか手に入らない語彙ということになります。
そして厄介なことに、学校の教科書もテスト問題も、この右側の言葉で書かれています。国語だけではありません。理科の説明文も、社会の資料も、算数の文章題も、すべて書き言葉です。
「話すのは上手なのに、テストになると点が取れない」という子のつまずきは、内容がわかっていないのではなく、問題文の言い回しでつまずいていることが少なくありません。読書量が学力に効くと言われるのは、この部分が大きいのだと感じています。
本は好きなのに国語のテストだけ点が伸びない、というお子さんについては、「本は読むのに国語が苦手」の原因と対策もあわせてご覧ください。
読書で語彙力が伸びる4つの理由

① 意味だけでなく「使う場面」ごと覚えられるから
辞書で言葉を調べると、意味はわかります。でも、その言葉をどんなときに使うのかまでは、なかなか伝わってきません。
「途方に暮れる」を辞書で引くと、「どうしてよいかわからなくて困る」と出てきます。これを読んで、明日から使える子はまずいません。
けれど物語の中でなら話は別です。主人公が知らない町で迷子になり、あたりはどんどん暗くなって、頼れる人もいない——そこで「途方に暮れた」と書かれていれば、その言葉は意味ではなく、感覚として入ってきます。
| 辞書やドリルで覚えた言葉 | 物語の中で出会った言葉 | |
|---|---|---|
| 覚えているもの | 意味の説明 | 意味+場面+そのときの気持ち |
| 思い出すきっかけ | 「なんだっけ」と探しにいく | 似た場面に出会うと勝手に浮かぶ |
| 使えるまでの距離 | 遠い(使い方がわからない) | 近い(使いどころを知っている) |
| 忘れやすさ | テストが終わると抜けやすい | 物語ごと記憶に残る |
ドリルが無駄だという話ではありません。ドリルは②「意味がわかる」までを速く進めてくれる道具で、読書はそこに場面と気持ちをくっつけてくれる、と考えると使い分けがはっきりします。
② 同じ言葉に、何度も出会えるから
ことばは、一度出会っただけでは自分のものになりません。
一回見ただけの言葉は、頭の中でふわっとしたまま、たいてい消えていきます。何度もちがう場面で再会して、はじめて輪郭がはっきりしてくるのです。
読書を続けていると、この再会が自然に起こります。ある本で見た「ためらう」に、別の本の別の場面でまた出会う。三度目には、もう立ち止まらずに読めるようになっています。
この「再会」を意図的に作るのは、実はとても難しいことです。ドリルでは同じ言葉が何度も出てくることはありませんし、会話で計画的に使うのも不自然になります。読書だけが、労力ゼロでこの再会を大量に起こしてくれます。
だからこそ、冊数よりも「続いていること」のほうが、語彙にはずっと効きます。月に10冊読んで半年空くより、週に1冊が一年続くほうが、ことばは積み上がります。
③ 知らない言葉に、安心して出会えるから
会話の中で知らない言葉が出てきたとき、子どもはその場で処理しなければなりません。聞き返すのは恥ずかしいし、話は止まらずに進んでいきます。結局、わかったふりをして流すことになります。
本なら、そうはなりません。読書は、立ち止まっても誰にも迷惑をかけない、唯一のことばの練習場です。
前のページに戻ってもいい。辞書を引いてもいい。前後の流れから「たぶんこういう意味だろう」と当たりをつけて、そのまま進んでもいい。この「当たりをつける」経験こそが、後で効いてきます。知らない言葉に出会ったときに固まらない子は、たいていこの練習を大量にしています。
④ 感情とセットで記憶に入るから
物語を読んでいるとき、子どもは主人公と一緒にどきどきしたり、悔しくなったりしています。
そのときに出てきた言葉は、感情のラベルとして記憶されます。「あのとき主人公が感じていた、あの気持ち」に名前がついた状態です。
これは学習として覚えた語彙とはまったく別の入り方をします。だから、読書で覚えた気持ちの言葉は、自分がその気持ちになったときに出てきやすいのです。
気持ちを表す言葉そのものの増やし方は、感情語彙を育てる親の声かけにまとめました。「嫌だ」しか言わないお子さんには、こちらのほうが直接効くかもしれません。
それでも語彙が増えない子に、起きていること

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
「たくさん読んでいるのに、ことばが増えている感じがしない」というとき、だいたい次の5つのどれかが起きています。どれも子どもが悪いのではなく、読書のしかたが少し偏っているだけです。
| 起きていること | 親から見えるサイン | できる手当て |
|---|---|---|
| ① 知らない言葉を完全に素通りしている | 分厚い本をものすごい速さで読み終える | 読んだあとに内容を聞いてみる |
| ② 同じシリーズばかり読んでいる | 何十冊読んでも、出てくる言葉の種類が変わらない | 「これが好きなら」と近い作風の別作家を混ぜる |
| ③ 会話文が中心の本ばかり | セリフだけ拾って、地の文を飛ばしている | 描写の多い本を1冊だけ並べておく |
| ④ 読んだあと、誰とも話していない | 本の話題が家庭でまったく出ない | 感想ではなく「どんな話だった?」と聞く |
| ⑤ 読んだことにしている | 借りてくるが、内容を聞くと答えられない | 難しすぎる本になっていないか見直す |
② の「同じシリーズだけ」は、いちばん気づかれにくい
図書室でよく見かけるのが、このパターンです。お気に入りのシリーズを1巻から順に読み進めていて、貸出カードには何十冊も並んでいる。読書量としては申し分ありません。
ただ、同じ作者が同じ設定で書いている本は、使われる語彙もほとんど同じです。5巻目からあとは、新しい言葉との出会いがほとんど起きていない、ということが起こります。
だからといって「そればかり読まないの」と止めるのは、いちばんもったいない対応です。シリーズを読み切る力は、それ自体が大きな財産だからです。
やるとしたら、止めるのではなく、隣に置く。「これが好きなら、たぶんこれも好き」という一冊を、本棚のよく見えるところに置いておくだけで十分です。読むかどうかは子どもに任せます。
③ の「地の文を飛ばす」は、語彙に直結する
物語には、セリフ(会話文)と、それ以外の描写(地の文)があります。
そして書き言葉の語彙は、ほとんどが地の文の側に入っています。「うるさいな!」というセリフからは新しい言葉は増えませんが、「ぶっきらぼうに言い放って、そのまま背を向けた」という一文には、いくつも入っています。
速く読む子ほど、地の文を飛ばしてセリフだけを追いがちです。ストーリーは追えるので、読書としては成立しています。ただ、ことばの面では半分しか受け取っていません。
これを直そうとして「ちゃんと読みなさい」と言っても、まず効きません。効くのは、音読です。声に出すと地の文を飛ばせないので、1ページだけでも読んでもらうと、その子がどう読んでいるかがすぐわかります。
⑤ の「読んだことにしている」を責めない
難しすぎる本を借りてきて、読み切れないまま返す。これはよくあることです。表紙が好きだった、友だちが読んでいた、親がすすめた——理由はいろいろあります。
ここで「読んでないでしょ」と言ってしまうと、次からは読める本ではなく、怒られない本を選ぶようになります。それが読書量の減少につながっていく姿を、何度も見てきました。
返す本の中身は聞かなくて大丈夫です。読み切れなかった本があってもいい、というほうが、結果的に長く読み続けられます。
そもそも読書が続いていない、というお子さんには、読書が苦手な小学生が0冊から抜け出す7つのステップのほうが先です。語彙の話は、読む時間ができてからで間に合います。1日にどのくらい読めばいいのかの目安は、小学生の読書時間は何分が効果的?にまとめています。
読み飛ばしは、止めなくて大丈夫です
「知らない言葉を読み飛ばしているみたいで気になります」——これは本当によく聞くお悩みです。
結論から言うと、読み飛ばしは止めなくていい、というより、止めてはいけません。
知らない言葉が出てくるたびに立ち止まって辞書を引いていたら、物語はぶつ切りになります。3ページ読むのに30分かかれば、その本はまず読み終わりません。読み飛ばして完読するほうが、丁寧に読んで途中でやめるより、ことばは増えます。前に書いたとおり、語彙は再会の回数で決まるからです。
そもそも、飛ばしているように見えて、子どもの頭の中では前後の流れから意味を推測しています。この推測こそが語彙の育つ現場です。
気にするとしたら、読み飛ばしそのものではなく、飛ばす言葉が多すぎないかのほうです。目安として、1ページに知らない言葉が5つも6つも出てくる本は、その子には少し早すぎます。逆に1ページに1つも知らない言葉が出てこない本ばかりだと、語彙はほぼ増えません。
1ページに1〜2語くらい知らない言葉がある本。これがいちばんことばが伸びる状態です。
この感覚は、認知科学の研究者も同じことを言っています。今井むつみ先生(慶應義塾大学名誉教授)は、読解力と語彙についてこう話しています。
まずは自分が心地よく読めるレベルで、内容的にも楽しめるものを、たくさん読む。簡単でもいいんです。心地よく読めるものにたくさん触れることで、必ず読解の流暢性と語彙力が上がります。
出典:今井むつみ先生も選書を即購入! 「好きなものを読む」のススメ|ヨンデミタイムズ
「簡単でもいいんです」とはっきり言ってもらえると、少し肩の力が抜けます。今井先生は逆に、知らない言葉だらけの本を読む負担も指摘しています。文字を追っても意味がわからないので、一文のなかの知っている言葉だけを拾う読み方になってしまう、と。この状態では、新しい言葉に出会っても記憶には残りません。
語彙を増やしたいときほど、難しい本に手を伸ばしたくなります。でも順番は逆です。心地よく読める本をたくさん読んだ先に、読める本の幅が広がります。背伸びは、そのあとで少しだけ混ぜれば十分です。
読書を語彙につなげる、家庭でできる5つのこと

どれも、特別な時間を作らずにできることばかりです。全部やる必要はありません。ひとつだけ選んでください。
① 読んだあとに「好きな言葉、あった?」と聞いてみる
「どんな話だった?」より、ずっとハードルの低い質問です。あらすじを説明する必要がないので、子どもが答えやすいのです。
「なんか、かっこいい言い方だった」「この言葉、変じゃない?」——そんな小さな反応で十分です。一度でも口に出した言葉は、②「意味がわかる」から③「自分で使える」に一歩近づきます。
「べつに」と返ってきても気にしないでください。聞かれたことで、次に読むときに少しだけ言葉に目が向きます。それで目的は果たしています。
② 辞書は「引かせるもの」ではなく「置いておくもの」
辞書は、リビングの手が届くところに出しっぱなしにしておきます。本棚にきれいにしまうと、まず使われません。
大事なのは、引くように言わないことです。「調べてごらん」と言われて引く辞書は宿題になりますが、気になったときに自分で開く辞書は遊びになります。
いちばん効くのは、親が引いている姿です。テレビを見ていて「これどういう意味だっけ」と大人が辞書を開くと、子どもはのぞきにきます。
③ 子どもが本で覚えた言葉を、大人が使い返す
子どもがふと難しい言葉を使ったとき、いちばんやってしまいがちなのが「そんな言葉どこで覚えたの」という反応です。悪気はなくても、子どもには「変なことを言った」と伝わります。
そのかわりに、その言葉を、少しあとで大人のほうが使ってみてください。「さっき言ってた『ためらう』、お母さんも今ちょっとためらってる」くらいで十分です。
自分の使った言葉が家族の会話に採用された、という経験は、子どもにとってかなり嬉しいものです。そして、その言葉は完全に③「使える言葉」になります。
④ 少しだけ背伸びした本を、混ぜておく
すらすら読める本は、安心して読めるので子どもが自分で選びます。だから家庭でやることは、その逆側を少しだけ足すことです。
ポイントは「混ぜる」であって「入れ替える」ではないことです。読みやすい本を取り上げて難しい本だけにすると、読書そのものが止まります。9割は好きな本、1割だけ背伸び、くらいがちょうどいいバランスです。
どんな本を混ぜればいいのかは、小学生の語彙力を伸ばす本おすすめ12冊で、学年別に具体的な作品を挙げています。
⑤ 読書以外の入り口も、少しだけ用意する
語彙は、読書だけで育てなければいけないものではありません。会話・新聞・図鑑・辞典と、入り口は複数あったほうが速く育ちます。
とくに子ども新聞は、物語では出てこない「社会のことば」を運んできてくれます。物語をよく読む子ほど、抽象的な言葉や時事の言葉が手薄になりがちなので、相性がいい組み合わせです。
読書以外の方法もまとめて知りたい方は、小学生の語彙力の増やし方|家庭でできる4つの方法をご覧ください。
声かけのちがいを、並べてみると
| つい言ってしまう声かけ | 言いかえると |
|---|---|
| 「どんな話だったか説明して」 | 「好きな言葉、あった?」 |
| 「わからない言葉は調べなさい」 | (辞書を出しておくだけ・何も言わない) |
| 「そんな言葉、どこで覚えたの」 | 「その言い方いいね」+あとで自分も使う |
| 「もっと難しい本を読みなさい」 | 「これも好きかも」と1冊置いておく |
| 「今月何冊読んだ?」 | 「今読んでるの、おもしろい?」 |
つい、やってしまいがちな逆効果の関わり方
よかれと思ってやったことが、ことばの成長を止めてしまうことがあります。よくあるものを並べておきます。
| やってしまいがちなこと | 子どもに起きること | かわりにできること |
|---|---|---|
| 知らない言葉が出るたびに意味を確認する | 読書が勉強になり、本を開かなくなる | 1冊に1語、気になった言葉を聞く程度にする |
| 読み終わるたびに感想を求める | 「聞かれるから読みたくない」になる | 子どもが話しはじめたときだけ聞く |
| マンガや図鑑を取り上げる | 読む総量が減り、語彙も減る | 並行して物語も置いておく |
| 学年より上の本を押しつける | 読んだふりを覚える | 好きな本9割+背伸び1割にする |
| 語彙ドリルだけで済ませようとする | 意味は覚えるが、使える言葉にならない | ドリルは読書の補助として使う |
| 読んだ冊数を数えて比べる | 薄い本ばかり選ぶようになる | 冊数ではなく続いていることを見る |
ひとことでまとめると、読書を評価の対象にしないことです。評価が入った瞬間に、子どもは点を取りにいく読み方をはじめます。それは、語彙がいちばん増えない読み方です。
学年別・語彙の育て方の目安

同じ「読書で語彙を育てる」でも、学年によって力の入れどころが変わります。
| この時期に増える語彙 | 家庭でできること | |
|---|---|---|
| 低学年 (1〜2年生) | 耳から入る言葉・様子を表す言葉 | 一人読みが始まっても読み聞かせは続ける |
| 中学年 (3〜4年生) | 気持ちの言葉・場面を描く言葉 | 描写の豊かな物語を混ぜる/読んだ話を聞く |
| 高学年 (5〜6年生) | 抽象的な言葉・社会のことば | 説明文・ノンフィクション・新聞を足す |
低学年のうちは、一人で読める子でも、耳から入る語彙のほうがまだ多い時期です。読み聞かせをやめる必要はありません。むしろ、自分では読めない少し難しい本を読んであげられる、貴重な時期です。くわしくは読み聞かせで語彙力が伸びる理由をご覧ください。
高学年になると、物語だけでは届かない領域が出てきます。「傾向」「影響」「一方で」といった、意見や説明のための言葉です。この抽象語彙は、説明文やノンフィクションを読まないとほとんど増えません。中学以降の教科書は、この言葉でできています。
読書がどんなことばの力につながっていくのかを整理した記事として、読書が育てる「言語力」とは?と読書で学力が伸びる理由もあります。
語彙力を育てる読書のお供に、1冊だけ
読書で出会った言葉を確かなものにするには、言葉そのものを扱う本——語彙力図鑑・ドリル・国語辞典——を1冊、読書のとなりに置いておくのが効きます。
ただし、そろえる必要はありません。まず1冊なら、小学生向けの国語辞典です。読書の量がある子ほど、読んでいる途中で「なんだろう」と思った瞬間に手を伸ばせる場所に辞書があるかどうかで、伸び方が変わります。
図鑑・ドリル・辞典・まんが・物語まで、小学生向けの本を12冊タイプ別に比較したものを小学生の語彙力を伸ばす本おすすめ12冊にまとめました。学年別の選び方と、買ったあとに語彙が定着する読み方もあわせて書いています。
語彙は、読み続けた子にだけ積み上がります
ここまでいろいろ書いてきましたが、いちばん大切なことがひとつ残っています。
読書は、好きな本でなければ続きません。そして、続かなければ語彙は増えません。
この記事で書いてきた「再会が語彙を作る」という話は、裏を返せば、途切れたところで積み上がりも止まるということです。どんなに良い本を選んでも、読まれなければ意味がありません。
とはいえ、その子にぴったりの一冊を選び続けるのは、かなり難しいことです。学校司書として毎日本を見ている私でも、目の前の子に合う本を当てるのは簡単ではありません。好みも、読める長さも、その時期の気分も、一人ひとりちがうからです。
そこで選択肢のひとつになるのが、ヨンデミーです。
ヨンデミーは、AIがお子さんの好みや読書のレベルに合わせて「ぴったりの本」を選んでくれるオンラインサービスです。「何を読めばいいかわからない」「図書館に行っても選べない」という悩みを、一冊ずつの提案でやさしく支えてくれます。
読書習慣のきっかけづくりに、無料体験から試してみてください。
ヨンデミーを兄弟で使った正直レビューはこちらわが家で兄弟に使ってみた正直な感想は、ヨンデミーの口コミ・評判と料金|司書ママが兄弟で体験した正直レビューに書いています。合う子と合わない子がいるので、そちらも読んでから判断してみてください。
読書と語彙力についてよくある質問
まとめ
読書が語彙力を育てるのは、偶然ではありません。理由をもう一度並べておきます。
- 意味だけでなく「使う場面」ごと覚えられる
- 同じ言葉に、何度も出会える
- 自分のペースで、知らない言葉と向き合える
- 感情とセットで記憶に入る
そして、増えていないように見えるときは、たいてい次のどれかです。同じシリーズばかり読んでいる、地の文を飛ばしている、読んだあと誰とも話していない。どれも、少し混ぜる・少し聞く、で変わります。
それから、これがいちばん大事なことですが——語彙は、たまってから出てくるまでに時間がかかります。今日読んだ本の言葉が口から出てくるのは、半年後かもしれません。話す言葉が変わらないからといって、何も入っていないわけではないのです。
「うちの子、語彙が少ないかも」と感じたとき、特別な教材の前に、まず一冊の本を、手の届くところに置くこと。それがいちばんの近道だと思っています。
増えた語彙は、そのまま文章を読み取る力の土台になります。語彙と読解力のつながりは小学生の読解力のつけ方に、読み聞かせから一人読みへの移行については小学生が「自分から本を読む子」になる関わり方にまとめています。
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このブログでは、読み聞かせや読書をはじめとする日常の中でできる「ことばを育てるヒント」をお届けしています。ほかの記事もぜひのぞいてみてください。

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