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こんな方におすすめの記事

- 「読書と学力は関係ない」という話を聞いて、本当のところが知りたい方
- 本はよく読んでいるのに、成績にあまり出ていないと感じている方
- 算数の文章題や理科・社会の教科書でつまずいていて、読む力が原因か気になっている方
- 勉強と読書、どちらに時間を使えばいいか迷っている方
先に答えを書きます。読書と学力には、関係があります。本をよく読む子ほど、語彙や読解のテストの点が高い。これは国内の研究で何度も確かめられています。
ただし、「本を読めば成績が上がる」とまでは言えません。研究でわかっているのは「読む子ほど点が高い」というところまでで、読み方によっては、たくさん読んでいても成績にはあまり出てきません。
学校司書として図書室で子どもたちを見ていても、同じことを感じます。毎週たくさん借りていくのに、テストの点にはつながっていない子もいます。この記事では、「関係はある。でも半分だけ」の中身を、研究と教科書の難しさ、図書室で見ている子どもの様子から説明します。
読書と学力は関係ない?——研究でわかっていること

本をよく読む子ほど、語彙と読解の点が高い
小学1〜6年生992人を調べた研究では、読書量が多い子ほど語彙力と文章を理解する力が高いという結果が出ています(猪原敬介ら、2015年、『教育心理学研究』63巻3号)。文部科学省が委託した静岡大学の調査研究(平成21年度)でも、読書活動と国語・算数の学力調査の結果に関連が見られました。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の調査では、小3・小6では、読書時間が長い子ほど語彙力の得点が高い傾向でした(子どもの生活と学びに関する親子調査、2025年10月発表)。
「関係がある」と「読めば上がる」は、別の話です
ここがいちばん誤解されやすいところです。研究が示しているのは、「よく読む子」と「点が高い子」が重なっているということです。本を読んだから点が上がったのか、もともと言葉が得意な子が本を好きになったのか。そこまでは、この種の調査だけでは区別できません。
おそらく、両方が起きています。読める子は本が楽しいのでたくさん読み、たくさん読むのでさらに読めるようになる。読書と学力は、どちらか一方が原因というより、ぐるぐる回りながら一緒に伸びていく関係だと考えるのが自然です。
だから「関係ない」とまでは言えません。でも「読ませれば上がる」と期待すると、がっかりすることになります。大事なのは、その回転がちゃんと回る読み方になっているかです。
時間の長さについて
「1時間以上読むと逆効果」という話を見かけることがありますが、これは中学3年生・高校3年生の読解力についての結果です(同じベネッセと東京大学の調査。5〜15分・30分の層が高く、0分と1時間以上の層が低かった)。小学生の語彙力では、長く読む子ほど点が高いという結果でした。小学生のうちは、時間の長さを心配するより、毎日少しでも本にふれることを大事にしてください。目安のくわしい話は小学生の読書時間は何分が効果的?学力が伸びる目安を学校司書が解説にまとめています。
文部科学省の全国学力テスト(2023・2025年度)を分析した猪原敬介氏によると、小学6年生では、平日の読書時間が「まったくしない」から「10〜30分」になると、国語も算数も成績が約7ポイント上がっていました。一方で「10〜30分」から「1〜2時間」に増やしても、上がるのは2〜3ポイントほど。いちばん大きな差がつくのは、読まない子が少し読むようになるところです(東洋経済オンラインに掲載された抜粋)。
本を読む子の授業がわかりやすいのは、教科書が「読む力」を前提にしているから

読書と学力がつながる理由は、いくつもあります。語彙が増える、集中して読み続けられる、知っていることが増える。読書で育つ力の全体像は本を読む子と読まない子、何がちがう?|学校司書が図書室で見ている読書の効果にまとめました。ここでは、学力にいちばん直接かかわる話をひとつだけします。教科書そのものの難しさです。
オンライン読書教育のヨンデミーが、小学校の教科書の文章の難しさを「ヨンデミーレベル(YL)」という独自の物差しで分析しています。数字が大きいほど文章が難しく、子どもの読む力も同じ物差しで測れます(YLについてはヨンデミーレベル(YL)とは?学年とズレて当たり前な理由を司書ママが解説でくわしく説明しています)。
| 学年 | 子どもの読む力 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小1 | 11〜32 | 18 | 18 | ― | ― |
| 小2 | 17〜37 | 22 | 30 | ― | ― |
| 小3 | 22〜42 | 30 | 30 | 30 | 30 |
| 小4 | 27〜46 | 35 | 35 | 35 | 42 |
| 小5 | 31〜50 | 42 | 35 | 35 | 42 |
| 小6 | 34〜53 | 48 | 42 | 42 | 48 |
意外だったのが算数です。小学2年生の時点で、算数の教科書(YL30)は国語の教科書(YL22)を上回っています。「うちの子は算数が苦手」の正体が、計算ではなく文章だった——ということが起こり得るわけです。
そして小学4年生の社会。教科書はYL42ですが、4年生の子どもの読む力はYL27〜46です。読む力がYL27の子にとっては、15も上の文章ということになります。ヨンデミーの分析でも、小4の社会は3分の2以上の子にとって難しいレベルという結果でした。
国語には読解の授業があり、先生が読み方をていねいに教えてくれます。でも算数・理科・社会に、それはありません。だから読む力の差がいちばん出るのは、むしろ国語以外の教科なのです。
ヨンデミーはこれを「学習の基礎体力」と呼んでいます。読む練習を重ねると文字の解読が自動化されて脳に余裕が生まれ、その余裕を「考える」「想像する」に回せるようになる、という説明です。包丁と同じで、最初は手元に全神経を使うけれど、慣れれば献立や味付けまで考えられるようになる——読むことにも、同じ段階があります(ヨンデミー公式note「地頭の9割は読む力」)。
授業がわかりやすくなるのは、急に頭がよくなったからではありません。読むことに使っていた力が、空いたからです。
本は読んでいるのに、成績に出ない4つのパターン

図書室で見ていると、よく読んでいるのに学力にはつながっていない子には、いくつかの共通点があります。当てはまるものがないか、見てみてください。
① 物語しか読んでいない
物語を読むときは、気持ちや場面を追いかけます。テストや教科書で求められるのは、説明文の読み方——情報と理由の筋道をたどる読み方です。この2つは別の技術なので、物語をたくさん読んでいても、説明文が苦手なままの子がいます。「国語の物語文は得意なのに説明文が苦手」「理科や社会の教科書が頭に入りにくい」という場合は、ここを疑ってください。

説明文に慣れるには、子ども新聞が手軽です。見出しで要点、本文で事実と理由、という形が毎日くり返されるので、読み方が自然に身につきます。読売KODOMO新聞(週刊・月550円)は絵やマンガが多く、説明文に慣れていない子でも入りやすい新聞です。朝日小学生新聞(日刊・月2,500円)は、毎日読む習慣がついてきた高学年向きです。物語と新聞の組み合わせ方は本は読むのに国語が苦手な小学生|説明文でつまずく原因と、子ども新聞での伸ばし方に書きました。
読売KODOMO新聞
朝日小学生新聞
② やさしい本や同じシリーズばかりをくり返している

好きなシリーズを読み続けるのは、悪いことではありません。ただ、知らない言葉にほとんど出会わない本だけを回していると、量のわりに語彙は増えません。図書室でも、毎週たくさん借りていくのに、話す言葉があまり変わらない子がいます。少しだけ背伸びした本を1冊まぜるだけで、出会う言葉の数が変わります。声のかけ方は図書館で「いつも同じ本」しか借りない子|学校司書が見ている理由と声かけのコツと本を読んでも語彙力が上がらない小学生|増えない子に起きていることと、家庭でできる5つのことにまとめています。
③ 読んではいるけれど、中身を受け取っていない
会話文だけを拾って地の文を飛ばしている子、ページをめくるのが目的になっている子もいます。こういう読み方だと、読んだ冊数は増えても、読む力は育ちにくいです。「どんな話だった?」と聞いて答えが出てこないときに、どう見ればいいかは本は読むのに「忘れた」と言う子|学校司書が見ている読書のサインと聞き方のコツに書きました。問いつめるより、聞き方を変えるほうが効きます。
④ まだ「成績に出る前」の段階にいる
読書の効果には時間差があります。言葉は、見たことがある→意味がわかる→自分で使える、の順に育ち、読書が効くのは最初の2つまでです。読んでいるのに増えていないように見える時期は、たいてい、たまっている途中です。テストの点で毎月確かめようとすると、ここで読書をやめさせてしまうことになります。
学力につながる読書の3つの条件

ここまでをまとめると、学力につながるかどうかは「どれだけ読んだか」より、どんな本を、どう読み続けたかで決まります。司書として子どもたちの読書を見てきて、条件は3つだと感じています。
| 条件 | なぜ大切か |
|---|---|
| ① 面白いと思える本 | 読む意欲がなければ続かない。楽しいから続けられる |
| ② 少しだけ難しい本 | 知らない言葉・新しい考えに出会うことで語彙力・思考力が伸びる |
| ③ 継続して読み続ける | 効果は積み重ねによって現れる。単発では力にならない |
この3つがそろったとき、読書と学力の回転がいちばんよく回ります。いちばん難しいのは②の「少しだけ難しい」の見きわめで、ここは親にとっても司書にとってもむずかしいところです。
本選びに困ったら——ヨンデミーという方法
私自身、学校司書として「あと一冊が見つからなくて読書が止まってしまう」子を何人も見てきました。本の前で立ち止まって、結局何も借りずに帰ってしまう——そういう子ほど、実は本が嫌いなわけではないのです。
ヨンデミーは、子どもの読書記録をもとにAIが「ちょうどいい一冊」を提案してくれるオンラインの読書習い事です。上の3つの条件のうち、いちばん難しい「少しだけ難しい」の調整を、読んだ本の感想から続けてくれます。
中学受験塾の浜学園は、2025年8月から小学1年生のマスターコースで読書アプリ「ヨンデミー」を必修にしています。導入4か月の分析では、週4日以上活用した層で国語の偏差値が平均4ポイント上がったと報告され、1年間ではのべ993人で81,293冊、約5億文字が読まれました。
公表された保護者の声も、具体的な変化でした。「1日1冊読むようになり、公開テスト・復習テストが10〜15点上がった」(小1)、「公開学力テストで国語が満点だった」(小3)。保護者は、勉強の時間を増やしたのではなく、家で読む本が増えた結果だと受け止めていました。(出典:浜学園×ヨンデミー 1年間の成果)
塾での学習と組み合わせた結果なので、読書だけの効果を切り分けたものではありません。それでも、ちょうどいい本を毎日読む仕組みがあると、学力の土台に届きやすいことはよくわかる事例です。
わが家で兄弟で使ってみた感想と、良かったこと・困ったことは【小5・小3の兄弟で1年】ヨンデミーの口コミ・評判|本が苦手な次男の変化と、一度やめた長男が戻った理由にまとめています。
よくある質問
まとめ:関係はある。でも、読み方しだい
- 読書と学力には関係がある。本をよく読む子ほど、語彙と読解の点が高い
- ただし研究でわかっているのは「重なっている」まで。「読めば上がる」とは言い切れない
- 教科書は「読む力」を前提に書かれている。算数は小2で国語より難しく、社会は小4で多くの子の読む力をこえる
- 成績に出ない原因は、物語だけ・やさしい本のくり返し・中身を受け取っていない・まだ時間差の途中、のどれかが多い
- 学力につながるのは「おもしろい×少しだけ難しい×続けられる」本
「本を読めば頭がよくなる」と期待して読ませるより、その子がおもしろいと思える、少しだけ難しい本をきらさないこと。遠回りに見えて、それがいちばん学力につながる近道だと思います。
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