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「今日はママが入れてきて」。自分でできるはずのごはんのおかわりを、わざと頼んでくる。小学生になっても、子どもは甘えてきます。
それは愛情不足のサインではなく、「充電」です。家で甘えられるから、外でがんばれます。満たされると、子どもは自分から離れていきます。
この記事では、わが家と図書室で見ている小学生の甘え方と、甘えと甘やかしの境目、そして寝る前の絵本で「大好き」を届ける方法を、絵本9冊とあわせてお伝えします。

小学生の甘えは、愛情不足のサインではありません
「もう小学生なのに」「甘やかしすぎたかな」「もしかして愛情が足りていない?」。甘えてくる子を見て、そう心配になる方は多いと思います。
でも、小学生は家でも外でも、ずっと「がんばるモード」でいるわけにはいきません。学校で一日気を張ってきた子が、家で甘えてくるのは自然なことです。家では、甘えモードでいい。わたしはそう思っています。
甘えて満足そうにしている顔を見ると、ああ、この子にとって必要な時間なんだなと感じます。
気にしてほしいのは、甘えてくるかどうかより、甘えるときと、しっかりするときの両方の面があるかどうかです。両方あるなら、大丈夫です。
わが家の「甘えモード」は、夜にやってきます

わが家には小学6年生と4年生の男の子がいます。夜になると、甘えモードになることがあります。
- 座っていると隣に来て、くっついてくる。膝枕をしてくる
- いつもは自分で入れているごはんのおかわりを、「今日はママが入れてきて」
- 肩に手を置いて話してくる
おかわりは、面倒という気持ちもあると思います。でも「はい、どうぞ」と渡されて、何かをやってもらったという状況そのものが嬉しいのだと思います。肩に手を置いて話すときは、ちゃんと聞いてほしい、しっかり話したいときです。
そういうときは、背中をポンポンとたたきながら、そのままにさせておきます。甘えてくる場面は、これからどんどん減っていきます。だから、いまは可愛いなと思って受け取っています。
甘えと甘やかしの境目は、正直むずかしい

甘えたいから、何でもやってもらおうとするときもあります。「お茶いれて」「あれとってきて」「もー、何にもやりたくないよー」。どこまで応えるか、わたしも悩みます。
わが家でやっているのは、これくらいです。
| 子どもの様子 | わが家の応え方 |
|---|---|
| 隣に来てくっつく、膝枕 | そのまま受け取る。背中をポンポン |
| 「今日はママが入れてきて」 | ときどきは応える。やってもらえた嬉しさがある |
| 肩に手を置いて話してくる | 手を止めて、ちゃんと聞く |
| 「あわよくば」で何でも頼む | 「自分でやってね」 |
| 危ない甘え方(わざとぶつかる など) | 「それはやめてね」と伝える |
甘えはそのまま受け取る。「あわよくばやってもらおう」や、ただのわがままだと思うときは「自分でやってね」。線を引いているのは、そこだけです。
甘えるのはいいけれど、甘やかしはよくない。そのさじ加減は、小学生の子育て真っ最中のわたしにも、これという答えはありません。ただ、甘えるときとしっかりするときの両方があるなら、大丈夫だと思っています。
高学年になると、甘え方が変わります

高学年になって、いつでもどこでも甘えてくる、ということはなくなりました。外に出たら「外モード」になって、大人になってきたなと感じます。
ハグは照れるようになって、避けられます。ちょっと寂しい。それでも、ハイタッチはします。形が変わっただけで、つながりはちゃんと残っています。
甘えたいけど、そのまま甘えるのは恥ずかしい年ごろです。キッチンにいるとき、わざとぶつかって後ろを通っていったことがありました。くっつきたいけれど、くっつくのは恥ずかしかったのだと思います。ただ、体が大きくなってきて正直危ないので、「それはやめてね」とお断りしました。
この年ごろには、照れずに甘えられる「形」を用意してあげるとうまくいきます。ハイタッチ、頭にぽんと手を置く、並んで座る。そして、寝る前の絵本です。
図書室にも、甘えに来る子がいます

図書室にも、くっついてくる子がいます。多いのは低学年で、抱きついてくる子もいます。
本を借りにではなく、ただ話しに来る子もいます。学校司書は、親でもなく、担任の先生でもない立ち位置なので、甘えやすいのだと思います。愚痴もこぼれます。
- 「次は算数だから、行きたくないよー」
- 「テスト、全然できなかった」
- 「疲れちゃった」
- 「お腹がすいて、やる気がでない」
ほかの子と話していると、「先生、こっち来て」と自分のほうに向けようとする子もいます。自分だけに注目してほしいのです。
学校では子どもとの体の接触は避けるところなので、ふいに抱きつかれたときは「お話し聞くよ」と、お話のほうに向かわせるようにしています。話しに来てくれるのは、大歓迎です。話して、ちょっとすっきりすることもあると思います。言いやすい場所で息抜きしてくれたらいいなと思っています。
家で話してくれない子への聞き方は小学生が学校のことを話さない理由|「覚えてない」と返す子が話し出す聞き方4つのコツに書いています。
愛情は、持っているだけでは伝わりません

「愛情不足」という言葉が気になった方へ。ここを読んでくださっている時点で、愛情が足りないわけがありません。ただ、子どもの心に積み上がるのは、親が持っている愛情の量ではなく、子どもが「受け取れた」と感じた分です。
毎日の世話は、どれも愛情です。でも、子どもの側にはこんなふうに届いていることがあります。
| 親がしていること | 子どもに届きやすい形 |
|---|---|
| 栄養を考えて食事を作る | 「好き嫌いしないで」と言われた |
| 忘れ物がないよう確認する | 「また忘れたの」と注意された |
| 宿題を見てあげる | 「ここ間違ってる」と直された |
| 早く寝かせようとする | 「早くしなさい」と急かされた |
| 絵本を1冊読む | 自分のために時間を使ってくれた |
上の4つが悪いわけではまったくありません。どれも必要なことです。ただ、それだけだと「大切にされている」という手ざわりが残りにくい。だから、確実に伝わる時間を、一日のどこかに1つだけ用意しておきたいのです。
寝る前の絵本は、ちょうどいい甘えさせ方

面と向かって「大好きだよ」と言うのは、照れくさいものです。子どもの側も、真正面から言われると茶化してしまいます。
絵本なら、書いてある言葉を読むだけで、子どもには親の声の「大好き」として届きます。「これは本に書いてあることだから」という逃げ道があるので、親も子も照れずにすみます。高学年の、甘えたいけど恥ずかしい子にも、ちょうどいい距離です。
しかも絵本は、毎晩くり返せます。「大好きだよ」を毎晩言うのはむずかしくても、同じ絵本を毎晩読むのは自然です。寝る前は1日の緊張がゆるむ時間なので、言葉がそのまま心の奥まで入っていきます。叱ってばかりの日でも、最後を「大好き」で締めくくれます。
寝る前の読み方のコツは小学生が寝ない夜に|「早く寝なさい」より効く、寝かしつけの読み聞かせ5つの工夫にまとめています。
今夜からできる4つのこと

- 名前を入れて読む。絵本の「きみ」「あなた」を、お子さんの名前に置き換えます。恥ずかしければ最後の1ページだけで十分です
- 読み終わったら「ぎゅっ」。照れて逃げる子には、ハイタッチ、頭にぽん、手をにぎる。体で伝わる合図がひとつあれば十分です
- 子どもが選んだ本を否定しない。「また同じ本?」は言わずに、黙って読む。好きなものを受け入れてもらえること自体が、甘えを満たします
- 読み終わりに一言だけ。「お母さんも、〇〇のことこれくらい好きだよ」。絵本の余韻に乗せると、ふだん言えない言葉がするりと出ます
「大好き」の場面で茶化してくるのは、照れ隠しです。ちゃんと自分に向けられた言葉として届いている証拠なので、ひるまずに読み続けてください。
「大好き」を伝える絵本9冊
| 本 | こんな子に | 目安 |
|---|---|---|
| ①ぎゅっ | 抱っこをせがむ子 | 低学年 |
| ②だいすき ぎゅっ ぎゅっ | ぎゅっを習慣にしたい親子 | 低学年 |
| ③どんなに きみが すきだか あててごらん | 「好き」を体で伝え合いたい子 | 低学年 |
| ④ちょっとだけ | 下の子がいて、甘えたいのをがまんしている子 | 低〜中学年 |
| ⑤ちびゴリラのちびちび | 「大きくなったら変わる?」と不安な子 | 低〜中学年 |
| ⑥あなたがだいすき | 学校で嫌なことがあった日に | 低〜中学年 |
| ⑦ずーっと ずっと だいすきだよ | 「大好き」を言葉にする大切さを伝えたいとき | 低〜中学年 |
| ⑧きょうもうれしい | 「べつに」しか言わない子 | 低学年 |
| ⑨ちいさなあなたへ | 甘えが減ってきた高学年と、親自身に | 中学年〜 |
①『ぎゅっ』
ジェズ・オールバラ 作・絵(徳間書店)
散歩中のおさるのジョジョは、動物たちが「ぎゅっ」としているのを見て、お母さんに会いたくなります。言葉がほとんどない絵本です。
こんな子に:抱っこをせがむ子。読み終わりに、そのまま「ぎゅっ」ができます。
②『だいすき ぎゅっ ぎゅっ』
フィリス・ゲイシャイトー、ミム・グリーン 文/デイヴィッド・ウォーカー 絵/福本友美子 訳(岩崎書店)
朝ごはんのあと、本を読んだあと、おさんぽのあと。うさぎの親子が、一日のあちこちで何度も抱きしめ合います。
こんな子に:「読み終わりにぎゅっ」を習慣にしたい親子。照れくさがりでも、絵本のせいにして抱きしめられます。
③『どんなに きみが すきだか あててごらん』
サム・マクブラットニィ 文/アニタ・ジェラーム 絵/小川仁央 訳(評論社)
チビウサギとデカウサギが、腕を広げたり跳んだりして「大好き」の大きさをくらべ合います。最後は、月まで届くくらいの大好き。
こんな子に:言葉より体で伝えたい子。読みながら一緒に腕を広げてみてください。
④『ちょっとだけ』
瀧村有子 作/鈴木永子 絵(福音館書店)
赤ちゃんが生まれて、お姉ちゃんになったなっちゃん。ママに甘えたいのを「ちょっとだけ」がまんして、自分でやってみます。最後に、ママに甘える場面があります。
こんな子に:下の子がいて、甘えたいのをがまんしている子。がまんしている上の子の気持ちに、親のほうが気づかされる本です。
⑤『ちびゴリラのちびちび』
ルース・ボーンスタイン 作・絵/いわたみみ 訳(ほるぷ出版)
森のみんなに愛されているちびゴリラのちびちび。ある日、ぐんぐん大きくなりはじめます。もう「ちび」ではなくなっても、みんなの気持ちは変わりません。
こんな子に:大きくなることに少し不安がある子。「ちびちび」をお子さんの名前に置き換えて読むと、そのまま自分の話になります。
⑥『あなたがだいすき』
鈴木まもる 作・絵(ポプラ社)
動物の親が、小さな子をすっぽり包みこむ絵が続きます。文章はとても短く、あなたが大好き、いつでも守ってあげる、とまっすぐに伝えます。
こんな子に:学校で嫌なことがあった日に。短いので、親が疲れている日でも読めます。
⑦『ずーっと ずっと だいすきだよ』
ハンス・ウィルヘルム 作・絵/久山太市 訳(評論社)
一緒に育った犬のエルフィーが、年をとって死んでしまいます。でも男の子は、毎晩「ずーっと、ずっと、だいすきだよ」と言っていたので、少しだけ救われました。小学1年生の国語の教科書にも載っている絵本です。
こんな子に:「大好き」を言葉にする大切さを伝えたいとき。ペットとの別れが出てくるので、読む前に一度目を通しておくと安心です。
⑧『きょうもうれしい』
えがしらみちこ 作・絵(理論社)
朝ごはんのにおいから、おふとんの心地よさまで。男の子が一日の中で見つけた、たくさんの「うれしい」を描いた絵本です。
こんな子に:「学校どうだった?」に「べつに」しか返ってこない子。読み終わりに「今日のうれしいは何だった?」と聞いてみてください。
⑨『ちいさなあなたへ』
アリスン・マギー 文/ピーター・レイノルズ 絵/なかがわちひろ 訳(主婦の友社)
親から子へのメッセージを、詩のようにつづった絵本です。生まれた日から、子どもがやがて自分の道を歩き出す日まで。
こんな子に:甘えてくる場面が減ってきた高学年の子と、読んでいる親自身に。甘えてくるいまの時間が、いつか終わることに気づかせてくれます。
よくある質問
まとめ
- 小学生の甘えは、愛情不足のサインではなく「充電」。家で甘えられるから、外でがんばれます
- くっつく、膝枕、話を聞いてほしいは、そのまま受け取る。「あわよくば」には「自分でやってね」
- 甘えるときとしっかりするときの両方があれば、大丈夫
- 高学年は照れる。ハイタッチや寝る前の絵本など、照れずに甘えられる形を用意する
- 愛情は、持っているだけでは伝わらない。確実に伝わる時間を、一日に1つだけ
甘えてくる場面は、これから少しずつ減っていきます。今夜、1冊だけ。読み終わったら、ぎゅっ、でもハイタッチでも。
自信をなくしている子に読みたい絵本は、自己肯定感が育つ絵本10選|「どうせ無理」と言う子に学校司書が渡している本にまとめています。
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