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こんな方におすすめの記事

- 小学校低学年〜中学年のお子さんに読み聞かせをしているご家庭
- 「読み聞かせって、結局どんな力がつくの?」と気になっている方
- 読み聞かせの効果について、いいことばかり書いてある記事に少し疑いを持っている方
- 読み聞かせ関連の記事を、どこから読めばいいか探している方
「読み聞かせで〇〇の力が育つ」という話は、たくさんあります。読解力、語彙力、共感力、自己肯定感、睡眠の質。どれも間違いではありません。
ただ、学校司書として毎週たくさんの子に読み聞かせをして、家では小学生の男の子2人に毎晩読んでいる立場から言わせていただくと、11の力のあいだには、はっきりした温度差があります。
結論:読み聞かせだけで育つものと、そうでないものがあります
この記事では、よく挙げられる11の力を「実感がある順」に並べ直します。そして後半では、「言われているほどではない」と正直に思っているものも、理由をつけてお伝えします。
効果を盛って書くほうが読まれるのは知っています。でも、期待した効果が出なくて「うちのやり方が悪いのかな」と思われるほうが、よほど困ります。
この記事は小学校低学年〜中学年(1〜4年生)のご家庭向けです。お子さんがすでに一人で読んでいる場合は、読書で育つ10の力のほうが合っています。
実感がある順に、6つ

まず、読み聞かせが本当によく効くと感じている力から並べます。順番は、図書室とわが家で見てきたものの手ごたえ順です。
| 力 | なぜ効くのか | |
|---|---|---|
| 1位 | 聞く力・集中力 | そこにいて、1つのことに集中する積み重ねになる |
| 2位 | 語彙力・表現力 | 子どもは真似が得意。新しい言葉は使いたがる |
| 3位 | 想像力・創造性 | 自分では思いつかない場面や展開の引き出しが増える |
| 4位 | 共感力・感情語彙 | 「よかったね」と思える経験をたくさん積める |
| 5位 | 親子の絆 | 自分のために時間をつくってもらえる10分になる |
| 6位 | メンタルの安定 | 散らかっていた意識が、1点に落ち着く |
1位|聞く力・集中力
いちばん確実に効くのが、これです。
そこにいて、1つのことに集中する。その積み重ねが、よく効きます。読み聞かせは、子どもが黙って相手の声だけを聞く時間です。ほかにやることがなく、刺激も1つしかない。この形の時間が、日常にはあまりありません。
そしてこれは、知識ではなく訓練で身につく力です。学校では「話している人のほうを向いて、黙ってしっかり聞く」ことを求められます。話の聞き方を知っているだけの子と、できる子の差は、経験の量です。
学年が上がると勝手に身についたように見えますが、そうではありません。積み重ねてきた子が、できるようになっているだけです。
くわしくは読み聞かせで「聞く力」と「集中力」が育つ理由に書きました。
2位|語彙力・表現力
これも、はっきり効きます。理由は単純で、子どもは真似が得意だからです。
新しい言葉を知ると、使いたがります。ちょっと背伸びした言葉ほど、使ってみたくなる。読み聞かせは、その「使ってみたい言葉」に出会う場所です。
しかも耳から聞くぶん、自分で読める本より2学年分くらい上の言葉に触れられます。文字を追う負担がないので、そのぶん難しい言葉を受け取れるのです。
くわしくは読み聞かせで子どもの語彙力が伸びる理由に書きました。気持ちを表す言葉に絞った話は「気持ちの言葉」が子どもの共感力を育てるにあります。
3位|想像力・創造性
読み聞かせは、自分では思いつかない場面や展開を、たくさん知る時間です。その積み重ねで、引き出しが増えていきます。
想像力があるかどうかは、意外なところに出ます。雲を1つ見て、いろいろ思い浮かべられる子は、インプットが多い証拠です。何も入っていなければ、雲は雲のままです。
この力のいいところは、生活そのものを面白くしてくれることです。同じ道を歩いていても発見できる子と、できない子がいます。その差は、頭の中にある引き出しの数です。
くわしくは読み聞かせで子どもの想像力と創造性を育てる方法に書きました。
4位|共感力・感情語彙
読み聞かせで選ばれる本は、ハッピーエンドになることが多いです。これは、共感力にとってとても都合がいいことです。
「よかったね」と思えること。これこそが共感力です。そして読み聞かせでは、その経験をたくさん積めます。
共感力というと「やさしさ」のことだと思われがちですが、少し違います。誰かの身に起きたことを、自分のことのように感じられるかどうかです。現実の場面だけでこれを育てようとすると、機会が限られます。物語なら、いくらでも経験できます。
くわしくは読み聞かせが「共感力」を育てる理由に書きました。
5位|親子の絆
これは、効果というより読み聞かせそのものの価値かもしれません。
親が自分のために時間をつくってくれて、声をかけてくれる。この時間は、子どもにとってとても大切です。
図書室で子どもたちと話していると、それがよくわかります。どんなに忙しくて、ほかの時間はほうっておかれていても、「読み聞かせの10分がとても好き」という子はたくさんいます。
大人になったときに子どもに残るのは、身についた力ではなく、あの10分のあたたかい時間の思い出だと思います。
読み聞かせを「遊びの時間」として楽しむ話は読み聞かせは親子の「遊び場」に書きました。
6位|メンタルの安定
何か1つに集中するということは、メンタルにとってとてもいいことです。
あっちこっちに行っていた意識を落ち着かせる。バタバタしていた感情から離れて、違う場所を経験する。これは大人にとっても効果があります。子どもにも同じように効きます。
学校でもよく聞く話があります。落ち着きのないクラスが、1日の初めに読み聞かせの時間をとったことで落ちついてくるというものです。個々の子に何かを教えたわけではなく、ただ全員で同じ物語を聞く時間をつくっただけで、空気が変わります。
くわしくは読み聞かせでメンタルが安定するに書きました。
正直に言うと、読み聞かせだけでは足りない5つ

ここからは、あまり書かれていない話をします。
残りの5つも、読み聞かせと関係はあります。ただ「読み聞かせをすれば身につく」と言われると、それは違うと思っています。どれも、読み聞かせ以外の要素のほうが大きい力です。
期待して続けて、効果が見えなくて「うちのやり方が悪いのかな」と思ってしまうくらいなら、先に知っておいていただくほうがいいと思うので書きます。
| 力 | 読み聞かせの役割 | 本当に効くもの |
|---|---|---|
| 読解力 | 土台はつくれる | 自分で読む練習 |
| 自己肯定感 | 評価されない10分をつくる | 生活全般の関わり |
| 道徳観・価値観 | 対話のきっかけになる | 大人との対話と経験 |
| 睡眠の質 | 入眠ルーティンの一部になる | 生活リズムと日中の運動量 |
| デジタルデトックス | 能動的に楽しむ経験になる | 家庭のルール作り |
読解力|土台にはなりますが、これだけでは育ちません
読み聞かせで、話の流れをつかむことはできるようになります。これは確かです。次にどうなるかを予測しながら聞く経験は、そのまま文章を追う力になります。
ただし、それは土台です。読み聞かせ単体で読解力がつくのは、正直むずかしいです。
読解力は、最終的には自分で読み解く力です。文字を目で追いながら、同時に意味を考える。この作業自体は、自分で読まないと練習になりません。読み聞かせは、そこへ向かうための助走です。
読み聞かせが読解力にどう効くのか、その仕組みと限界は読み聞かせが読解力を育てる理由にまとめました。
自己肯定感|生活全般のほうが、はるかに影響します
これは、はっきり書いておきたいところです。
自己肯定感には、その子のもともとの性格もあります。そして何より、生活全般が影響しやすい部分です。
読み聞かせを毎日していても、日常で否定されるようなことがあれば、自己肯定感は下がります。10分の読み聞かせは、残りの23時間50分に勝てません。
逆に言えば、読み聞かせは「評価されない時間」を1日に10分つくれるという点で意味があります。学校で一日中「できる・できない」を測られている子にとって、その時間があること自体は効きます。ただ、それだけで自己肯定感が育つとは言えません。
この力については、期待の持ち方も含めて読み聞かせが自己肯定感を育てる理由に書きました。
道徳観・価値観|大人との対話と経験が、どうしても要ります
道徳観を身につけるには、経験と時間がとても必要です。
物語を読んで、そこから何かを読み取り、自分ごととして考え抜く。これは、思っているよりずっと難しい作業です。読み聞かせただけで、そこまで到達するのは無理があります。
道徳観を育てるには、大人との対話と、実際の経験が必須です。読んだあとに話すこと。日常で似た場面が起きたときに、あの話とつなげること。そこまでやって、ようやく届きます。
とはいえ、その対話のきっかけとして絵本はとても優秀です。使い方は読み聞かせは「道徳の教科書」にまとめました。
睡眠の質|要因が多すぎて、これだけでは決まりません
睡眠の質には、たくさんの要因が関わってきます。
- 規則正しい生活になっているか
- 毎日のルーティンが決まっているか
- 体がちゃんと疲れているか
- その日をどう過ごしたか
読み聞かせだけで睡眠の質が保てるかというと、それは難しいです。日中ずっと家にいて体力が余っている日は、何を読んでも寝ません。
ただし、「読み聞かせが終わったら寝る」というルーティンの一部として使うのは、とても有効です。道具のひとつとして導入してください。
寝る前の読み方のコツは寝る前の読み聞かせが子どもの睡眠の質を高める理由に書きました。
デジタルデトックス|ルール作りのほうが、はるかに効きます
これがいちばん、期待とのズレが大きいところかもしれません。
読み聞かせを聞いてもらえるのは10分。長くて20分です。終わればデバイスに戻っていきます。読み聞かせで完全にデジタルから離れさせるのは、現実的ではありません。
これにはルール作りのほうが有効です。時間を決める、場所を決める、親も一緒に守る。そちらのほうがずっと確実に効きます。
ただ、読み聞かせには別の意味があります。受動的な刺激ではなく、能動的な刺激をする経験ができることです。
動画やゲームは、こちらが何もしなくても楽しませてくれます。読み聞かせは、自分から意味をつかみに行かないと楽しめません。
ここが大事なところで、受動的な刺激しか楽しめないと、欲し続けることになります。能動的に喜べるなら、空いた時間も自分で楽しめる。デジタルとの距離のとり方は、そこで決まってくると思っています。
置き換えの具体的な方法は読み聞かせがスクリーンタイムを自然に減らす理由に、ルールの作り方は「スマホ・ゲームの約束」を守らないのはなぜ?に書きました。
読み聞かせをされてきた子は、何が違うのか

ここまで力ごとに見てきましたが、図書室で見ていていちばんはっきり感じる違いは、実は2つだけです。
一人読みへの移行が早い
読み聞かせをたくさんされてきた子は、本は楽しいものという前提を持っています。
だから「自分でも読んでみたいな」と漠然と思っていて、読めそうなものを進んで手に取ります。抵抗感がないぶん、移行がなめらかです。
そして、いままで大人にしてもらっていたことを自分でもできると知ると、大人になったような、誇らしい気持ちがわくようです。その顔を何度も見てきました。
話が聞ける
読み聞かせは、自分は黙って相手の声を聞く時間です。この時間を積んでいる子は、友だちが話しているときも聞いていられます。
自分がたくさん話してしまっているときも、「今は聞く時間だよ」と言うと、よくわかります。経験があるからです。言葉の意味を説明しなくても、体で知っています。
やめたあとも、残ります

いつか読み聞かせをやめる日は来ます。そのとき、育ったものは消えてしまうのでしょうか。
一度育ったものは残ります。目に見えてわからなくても、その子自身が忘れてしまっても。
しばらく読み聞かせから離れて、自分でも読んでいない子が、図書室で読み聞かせをしてもらった本を見つけて「なつかしい!」と言うことがよくあります。そして、読んでみようと借りていく子も多いのです。
それは、読み聞かせが楽しい思い出として残っている証拠です。力として測れなくても、本のほうへ戻ってくる道が、その子の中に残っています。
学年別・どの力が動きやすい時期か

| 学年 | 動きやすい力 | 読み方の目安 |
|---|---|---|
| 低学年(1〜2年) | 聞く力・語彙力・想像力 | 絵本を1冊5〜10分。同じ本の繰り返しも大歓迎 |
| 中学年(3〜4年) | 共感力・想像力・語彙力 | 章のある本を1章ずつ。「続きはまた明日」で区切る |
| 高学年(5〜6年) | 親子の絆・メンタルの安定 | 続けられていれば十分。やめどきは子どもが決める |
高学年の欄が「続けられていれば十分」なのは、控えめに書いているわけではありません。この時期になると、力を育てるより、時間があること自体に意味が移っていきます。
ちなみにわが家は、上の子が小学6年生、下の子が小学4年生ですが、いまも続けています。2人一緒に読むので、どちらの本を先に読むかで喧嘩になる日もあります。我慢したほうには、次の日に先に読む。そんなふうにしながら、なんとか続いています。
どの力が動くかは、選ぶ本で変わります

11の力を並べてきましたが、1冊の本がぜんぶを動かすわけではありません。本によって、動く力が違います。
図書室で読んできたなかから、それがはっきり出る2冊を挙げます。
『王さまと九人のきょうだい』──聞く力が伸びる本
読み聞かせのなかでは長いお話です。10分を超えます。それでも低学年が最後まで持ちます。
見た目がそっくりな九人のきょうだいが、それぞれの特徴を使ってピンチを次々に乗り越えていく。この爽快さで、子どもは長さを気にしなくなります。ちょっとありえない特徴なのも、楽しめる理由です。
「長い本はまだ早い」と思われがちですが、そうではありません。最初から最後まで面白がれるかどうかが基準です。面白ければ、低学年でも10分は聞けます。
『一つぶのおこめ』──想像力が動く本
お米の数が毎日2倍になっていく、算数のお話です。
1×2=2、2×2=4、4×2=8。九九はもちろんできますし、何桁でも続けて言える子もいます。では、それを30日繰り返したら? ものすごい数になります。
読んでいると「おー」「そんなに!」と声が上がります。この本が教えてくれるのは、知っていることと、イメージできることは違うということです。
想像力とは、まさにこの差のことです。計算はできても、その大きさが頭に浮かばない。浮かぶようになるには、こういう経験が要ります。
1日の読み聞かせにどれくらい時間をかければいいかは読み聞かせは1日何分すればいい?に、続けるのがしんどいときは読み聞かせが面倒…疲れたあなたへにまとめました。
よくある質問
まとめ

- よく効くのは、聞く力・語彙力・想像力・共感力・親子の絆・メンタルの安定の6つです
- 読み聞かせだけでは足りないのは、読解力・自己肯定感・道徳観・睡眠の質・デジタルデトックスの5つ。どれも読み聞かせ以外の要素のほうが大きく効きます
- 図書室で見ていていちばんはっきりする違いは、一人読みへの移行が早いことと、話が聞けることです
- やめたあとも残ります。「なつかしい」と言って本を手に取る子を、何度も見てきました
- そして力を育てようとすると、たいてい逆効果になります。夢中が先です
11の力をぜんぶ狙う必要はありません。というより、狙わないほうがうまくいきます。
今夜も一冊、面白そうな本を開いてみてください。それで十分です。
読み聞かせをもっと楽しくしたい方へ──司書ママおすすめの3冊
「効果はわかった、でももっと上手く読んであげたい」「どんな本を選べばいいか迷っている」という方に向けて、学校司書として多くの本と向き合ってきた私がおすすめする親御さん向けの読み聞かせ実践書を3冊ご紹介します。 子どもに読む本ではなく、読み聞かせをする側の親が手に取る本です。コツを少し知るだけで、子どもの反応が変わったり、自分自身が読み聞かせをもっと楽しめるようになったりします。📗 『読み聞かせは魔法!』吉田新一郎 著(明治図書)
📘 『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方・選び方』仲宗根敦子 著(PIE International)
📙 『子どもが夢中になる絵本の読み聞かせ方』景山聖子 著(廣済堂出版)
| タイトル | こんな方に | 特徴 |
|---|---|---|
| 読み聞かせは魔法! | 効果・理論を深く知りたい方 | 日本・海外の比較、対話型の実践ヒント |
| 子どもの脳と心がぐんぐん育つ | 科学的根拠が欲しい方・本選びに迷う方 | 脳科学監修、絵本リスト120冊付き |
| 子どもが夢中になる絵本の読み聞かせ方 | 読み方のコツを知りたい方 | 声の専門家のノウハウ、絵本リスト85冊付き |
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