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「ゲームは1時間まで、って決めたのに全然守らない」
守られない原因のほとんどは、ルールの「内容」ではなく「作り方」にあります。子どもが決める側に入っていない約束は、だいたい崩れます。
この記事では、そのまま書き写して使えるルールの例を先に置きます。そのあとに、守られる約束の作り方と、破られたときの対応をお伝えします。
そのまま使える「わが家の約束」の例

そのまま書き写して、紙に貼れる形にしました。全部を採用しないでください。3〜5個だけ選ぶのが、続けるコツです。
低学年(1〜2年生)の例
- ゲーム・動画は、1日ぜんぶで45分まで
- 宿題と、あしたの準備がおわってからつかう
- つかう場所はリビング。じぶんの部屋にはもっていかない
- タイマーは自分でセットする。鳴ったら、その場で終わり
- ごはんの時間になったら、とちゅうでもやめる
中学年(3〜4年生)の例
- 平日は1時間、休日は2時間まで(動画・ゲーム・タブレットの合計)
- 夜8時以降は使わない。充電はリビングでする
- 区切りのいいところまでやりたい日は、始める前に「あと何分ほしいか」を言う
- 課金はしない。ほしいものがあるときは相談する
- 使っていい時間が終わったら、自分で親に「終わったよ」と声をかける
高学年(5〜6年生)の例
- 1日の時間は自分で決めて、朝に宣言する(守れなかった週は、次の週は親と決める)
- 寝る1時間前には画面を見るのをやめる
- 知らない人とのやりとり・写真の送信はしない。困ったことが起きたら怒られずに相談できる
- 課金・アプリの追加は、必ず前もって相談する
- 家族といるときは、おたがいに画面を見ない時間をつくる
決めておくと迷わない8つの項目
「何を決めればいいか」で迷ったら、この表から3〜5個を選んでください。
| 決めること | 書き方の例 |
|---|---|
| 時間の長さ | 「1日ぜんぶで◯分まで」「平日◯分・休日◯分」 |
| 時間帯 | 「夜8時以降は使わない」「寝る1時間前にやめる」 |
| 順番 | 「宿題と明日の準備が終わってから」 |
| 場所 | 「リビングで使う」「充電はリビング」 |
| 終わり方 | 「タイマーは自分でセット」「終わったら声をかける」 |
| お金 | 「課金はしない」「ほしいときは前もって相談」 |
| 言葉づかい | 「対戦で興奮しても、乱暴な言葉は使わない」 |
| 体のこと | 「30分使ったら15分休む」「画面から30cm以上離す」 |
紙に書くときの形(そのまま写せます)
子どもが守ることだけを並べた紙は、長続きしません。おうちの人が守ることも、同じ紙に入れてください。
| わが家の約束(◯月◯日) | |
| わたしが守ること | ① ② ③ |
| おうちの人が守ること | ① ② |
| うまくいかなかったとき | 取り上げずに、その日のうちに話し合う |
| 見直す日 | ◯月◯日(1か月後) |
| サイン | 子ども / おうちの人 |
書いたら、冷蔵庫や部屋の目立つ場所に貼っておきます。「自分たちで作った」という感覚が残るので、言い争いが減ります。
時間の目安は「1日2時間」。ただし出どころを知っておく
よく言われる「1日2時間まで」は、日本小児科医会が2004年に出した提言で、テレビもゲームもスマホも含めたすべてのメディアの合計についての目安です。
ときどき「WHOが2時間と言っている」と紹介されますが、WHOの2019年のガイドラインは5歳未満が対象で、小学生は対象に入っていません(2歳未満は画面を見せない、2〜4歳は1日1時間以内、という内容です)。
つまり、小学生の「正解の時間」は決まっていません。2時間はあくまで話し合いの出発点です。学校がタブレットを配っている今は、勉強で使う時間をどう数えるかも決めておくと、もめずにすみます。
なぜ「決めたルール」は守られないのか

守れないのは、やる気がないからでも、だらしないからでもありません。子どもの側から見ると、こう感じていることが多いです。
- 「どうしてここで終わりにしなきゃいけないの?」
- 「自分は何も言えなかった」
- 「どうせ言っても変わらないし…」
小学生は「自分で決めたい」「納得したい」という気持ちが育ってくる時期です。大人が一方的に決めたことに反発するのは、むしろ自然なことです。
そのうえ、ゲームやスマホは大人でもやめられないように作られています。「もうちょっとだけ」に抗うのは、子どもにはもっと難しい。うまくいかないのは、お子さんのせいでも、あなたのせいでもありません。
守られる約束の作り方(4ステップ)
① 話し合いの場を、前もって設ける
「ちょっと話したいことがあるんだけど、今夜ごはんの後でいい?」とあらかじめ時間を取るだけで、受け取られ方が変わります。取り上げた直後や、叱っている最中に決めた約束は残りません。
② 先に子どもの話を聞く
ルールを出す前に、まず子どもに話してもらいます。
- 「ゲームや動画って、どんなときが一番楽しい?」
- 「やめるときって、どんな気持ちになる?」
- 「もし自分でルールを決めるとしたら、どうしたい?」
「区切りのいいところまでやりたい」「ボスを倒してからやめたい」など、子どもなりの理由がわかると、ルールの作り方が変わります。時間だけでなく「区切り」で決める手もあるからです。
③ 親の気持ちは「私は」で伝える
| 言いがちな言い方 | 「私は」に変える |
|---|---|
| 「あなたはいつも約束を守らない」 | 「約束の時間になっても終われないと、私は心配になる」 |
| 「ゲームばかりしてダメな子ね」 | 「ゲームが長くなると、宿題や睡眠のことが心配で…」 |
| 「何度言ったらわかるの」 | 「同じことを伝え続けると、私も正直しんどくなってしまって」 |
「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じている」と言うと、子どもが身構えずに聞けます。
④ 一緒に書き出して、サインをする
上の「わが家の約束」の形に、子どもの字で書いてもらいます。書く人が子どもだと、守られ方が変わります。
「おうちの人へのお願い」も聞いてください
「じゃあ、大人にしてほしいことは何?」と聞くと、こんな答えが返ってきます。
- 「大きな声で怒鳴らないでほしい」
- 「やってないって決めつけないでほしい」
- 「できたときはちゃんと褒めてほしい」
- 「急に取り上げるんじゃなくて、一言声をかけてほしい」
- 「自分のスマホもずっと見てるじゃん、って思ってる」
最後のひとつは、ちょっとドキッとしますよね。どちらか一方だけが守らされる関係にしないことが、いちばん効きます。
守れなかったときの対応

どんなに工夫しても、守れない日は来ます。そのときの対応が、次に効いてきます。
| やりがちな対応 | 子どもの中で起きること |
|---|---|
| すぐに取り上げる | 「どうせ取られる」→ 隠れてやるようになる |
| 「だから言ったでしょ」を繰り返す | 「どうせわかってもらえない」→ 話し合いに乗らなくなる |
| 罰として他の楽しみも制限する | 「もっとひどくなった」→ 反発だけが残る |
代わりに、この3つの順番で。①まず親が落ち着く ②事実と気持ちを短く伝える(「15分過ぎているよ。お母さんは心配した」) ③「次はどうする?」を一緒に考える。長い説教より、短い言葉のほうが届きます。
ちょっとのオーバーは、見逃していい
正直な話をします。わが家はゲーム「45分まで」の約束ですが、こっそり50分にしていることがあります。タイマーを自分でセットしているので、少し伸ばせてしまうのです。
毎回指摘して怒っていると、子どもは「どうせバレる」「隠れてやろう」になります。少しのオーバーは見逃して、明らかな違反(1時間以上超える、宿題をせずに夜中までやる)のときだけ話し合う。この線引きのほうが、長い目で見るとうまくいきます。
「だいたいできてる」を認めることが、続ける力になります。
続けるための3つの工夫
タイマーは、子どもがセットする
同じタイマーでも、親がセットするか子どもがセットするかで違います。自分でセットすると「止められた」ではなく「自分で決めた通りになった」と感じます。残り時間が目で見えるタイマーだと、なお切り替えやすくなります。
守れた日を、目に見える形にする
カレンダーにシールを貼る、マグネットを動かす。低学年ほど、この「できた」の積み重ねが効きます。
「1か月で見直す」と最初に決めておく
「このルールはずっとこう」ではなく、最初から見直す日を決めておくと、子どもの抵抗感が下がります。週に一度、5分の「今週どうだった?」「来週はどうしたい?」でも十分です。
なお、頭ではわかっていてもやめられないのは、時間を管理する脳の部分がまだ育っている途中だからでもあります。「できて当然」と思わないほうが、親も楽になります。やめられない子への声かけは動画やゲームをやめられない小学生|「やめなさい」より効く切り替え方を学校司書が解説にまとめています。
よくある質問

まとめ
- ルールは3〜5個だけ。時間・時間帯・順番から選ぶ
- 子どもが守ることとおうちの人が守ることを、同じ紙に書く
- 「1日2時間」は日本小児科医会の目安。小学生の正解の時間は決まっていません
- 決める前に、まず子どもの話を聞く。親の気持ちは「私は」で伝える
- ちょっとのオーバーは見逃す。明らかな違反のときだけ話し合う
- 取り上げるなら、先に約束に書いておく
- 1か月後に見直す日を決めておく
「なんでできないの!」と怒鳴ってしまった夜があっても、それは真剣に向き合っている証拠です。今夜は、紙を1枚用意するところから始めてみてください。
参考にしたい本
子どもと一緒に読む
『スマホをひろったにわとりは』ニック・ブランド 著/いしだみき 訳(マイクロマガジン社)
「スマホ」という言葉を一度も使わずに、スマホ依存やSNSの危うさが伝わる絵本です。主人公は、光る小さな箱を拾ったにわとりのポップコーン。箱に夢中になるうちに、農場の仲間のことを顧みなくなっていきます。
読み終えたあとに「ポップコーンはどうすればよかったと思う?」と聞いてみてください。大人が「スマホはダメ」と言うより、ずっと深いところに届きます。親が読んでもドキッとする場面があります。
親の関わり方を学ぶ
『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』天野ひかり 著
親子の対話をスムーズにする言い換えが豊富です。「私は」で伝える練習のヒントになります。
『怒らない技術』嶋津良智 著
感情的になりそうな場面で、親自身の心をどう整えるか。「落ち着いてから話す」を実践するための一冊です。
スマホと脳のことを知る
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン 著
スマホが集中力・睡眠・メンタルに与える影響を解説した世界的ベストセラー。「なぜ制限が必要なのか」を親が納得するための一冊です。
『スマホはどこまで脳を壊すか』榊浩平 著
脳科学の知見から、スマホが子どもの発達に与える影響をわかりやすくまとめた新書です。
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