「読み聞かせって、いつから始めればいいの?」
赤ちゃんを迎えたばかりの方も、小学生の親御さんも、一度は気になる問いだと思います。小学生の親御さんなら、こんな気持ちも一緒かもしれません。「小さいころにあまり読んであげられなかったけれど、今からでも間に合う?」
先に答えを書いておきます。読み聞かせは、いつから始めてもかまいません。0歳からでも、小学生になってからでも遅くありません。
2026年9月には、東京科学大学の研究グループが、この問いにかかわる研究結果を発表しました。小学1年生2,609人を調べたところ、「何歳から始めたか」よりも「何年続けたか」のほうが、子どもの育ちとの関係がはっきりしていたという内容です。
この記事では、研究の中身と読むときの注意点を整理したうえで、小学校の学校司書として、そして家で読み聞かせを続けている母親として、「始めどき」と「始めたあとの続け方」をお伝えします。
こんな方におすすめの記事
- 読み聞かせを何歳から始めればいいか知りたい方
- 小さいころに読み聞かせをしてこなかったことが気になっている方
- 「読み聞かせは早く始めるより長く続けるほうが大事」というニュースを見て、中身が知りたくなった方
- 小学生の子に、今から読み聞かせを始めたい方
結論:読み聞かせは「いつからでも」。大事なのは始めた時期より、続けた年数です
- 読み聞かせに「この年齢から」という決まりはない。0歳から始められるし、小学生からでも遅くない
- 東京科学大学の研究(2026年9月発表)では、続けた年数が長いほど、立ち直る力・思いやりの行動・読書習慣がよい傾向にあった
- 同じ3年間続けた子どうしで比べると、何歳から始めたかによる差ははっきりしなかった
- 研究で数えられたのは「週1回以上」の読み聞かせ。毎日でなくていい
「始めるのが遅かった」と悩むより、今日から始めて、細く長く続けるほうに気持ちを向けてください。それが、この研究から受け取れるいちばん大事なメッセージだと私は考えています。
東京科学大学の研究でわかったこと(2026年9月発表)
研究を行ったのは、東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 公衆衛生学分野の寺田周平助教、藤原武男教授らのグループです。論文は2026年8月25日に小児科学の国際誌「Pediatric Research」に掲載され、9月2日に大学から発表されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 東京都足立区の公立小学校全67校に通う小学1年生(6〜7歳)2,609人とその保護者 |
| 使ったデータ | 足立区が行った「子どもの健康・生活実態調査」(2024年度) |
| たずねたこと | 子どもが0歳から5歳までのそれぞれの年齢で、週1回以上の読み聞かせをしていたか。そこから「始めた年齢」と「続けた年数」を出した |
| 調べた子どもの様子 | レジリエンス(困ったことがあっても立ち直る力)、問題行動、向社会的行動(人を助けたり思いやったりする行動)、読書習慣。いずれも保護者の回答 |
| 考慮したこと | 保護者の年齢・学歴・世帯収入・家族構成など。さらに「一緒に遊ぶ」「料理をする」「学校の出来事を話す」といった、ほかの親子の関わり |
わかったことは、大きく3つです
まず前提として、この調査では0歳から読み聞かせを始めていた家庭が64%、0〜5歳のあいだに週1回以上の読み聞かせがなかった家庭が8%でした。
| わかったこと | |
|---|---|
| ① | 0歳から読み聞かせを受けていた子は、受けていなかった子に比べて、立ち直る力・思いやりの行動・読書習慣が高く、問題行動が少ない傾向があった |
| ② | 読み聞かせを続けた年数が長いほど、これらは全体としてよい傾向を示した。もっともよかったのは0歳から5歳まで6年間続けた子 |
| ③ | 一緒に遊ぶ、料理をする、学校の話をするといったほかの親子の関わりを考慮しても、関連は弱まりながら残った |
③は、個人的にとても大事な点だと思っています。読み聞かせをしている家庭は、ほかの関わりも多いのでは?と考えたくなりますが、それを差し引いても関連が残った。研究グループは、読み聞かせが、ほかの親子の活動だけではとらえきれない関わりを表している可能性を指摘しています。
「3年続けた子どうし」では、始めた年齢で差がはっきりしませんでした
「いつから?」という問いにいちばん直接こたえているのは、ここです。
論文の要旨によると、読み聞かせを続けた年数が同じ3年間の子どうしで比べると、何歳から始めたかによる違いははっきりしませんでした。早く始めた子の結果がよく見えるのは、そのぶん続けた年数も長くなるから、という面があるわけです。
研究グループはこの結果について、開始時期だけにこだわるのではなく、それぞれの家庭が無理のない形で読み聞かせを続けることの大切さを示しているとまとめています。あわせて、乳幼児健診や子育て支援の場で、家庭や地域が「続けられるように」支えていくことへの活用も期待されるとしています。
ニュースの見出しでは「早く始めるより長く続ける」とまとめられていました。ただ、0歳から始めた子の結果がよかったのも事実です。早く始められたなら、それはとてもいいこと。始められなかったなら、今から続ければいい。そう読むのが正確だと思います。
この研究を読むときの注意点
研究の結果は、書かれている以上に大きく受け取らないことも大切です。論文自身が、次のような注意点をあげています。
- ある一時点の調査なので、「読み聞かせのおかげで育った」とまでは言えない。読み聞かせを続けやすい家庭の事情が、結果に影響している可能性がある
- 対象は、保護者の学歴や世帯収入が比較的高い集団だった。ほかの地域や家庭にそのまま当てはまるとは限らない
- 小学1年生の時点で、保護者が0〜5歳のころを振り返って答えたものである
- 調べたのは0〜5歳の読み聞かせ。小学生になってから始めた場合は、この研究の対象に入っていない
ですから、「0歳から始めなかったから手遅れ」とも、「続ければ必ず〇〇が伸びる」とも読めません。研究グループは、子どもたちの追跡調査を進めて、長い目で見た関連も調べていく予定だとしています。
ほかの研究でも、「続けること」は見えています
2026年1月には、東北大学のグループが、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」から約3万6千組の親子のデータを分析した結果を発表しています。読み聞かせの頻度が高いほど、3歳の時点での発達の得点が、ことば・運動・社会性など5つの領域すべてで高い傾向がありました。1歳の時点で発達の遅れが疑われた子どうしで比べても、その後も高い頻度で読み聞かせを受け続けていた子は、頻度が低かった子より3歳時点の得点が高かったと報告されています。
こちらも観察研究なので、読み聞かせだけが理由だとは言い切れません。それでも、別々の研究が「1回の特別な読み聞かせ」ではなく「続いていく読み聞かせ」に目を向けているのは、覚えておいていいことだと思います。
学校司書として、この結果にうなずいた理由
研究は0〜5歳の話ですが、小学校の図書室にいる私にとっても、「続けた年数」という言葉にはうなずけるところがありました。
聞けるようになるのは、年齢ではなく「聞いてきた回数」です
私の勤務校では、1・2年生と支援学級に週1回、図書の時間があります。30人ほどがマットの上に上履きを脱いで座り、10〜15分の読み聞かせを聞きます。

学年が上がるにつれて、最後まで聞ける子も、聞いていられる時間も増えていきます。もちろん個人差はあります。ただ、それは年齢が上がって勝手に身についたように見えて、実際には、聞く経験を積み重ねてきたからこそだと感じています。
「話を聞くときは黙って相手のほうを見る」ということは、1年生でも知っています。でも、知っていることと、できることは違います。できるようになるまでには経験が要ります。読み聞かせは、その経験を毎回少しずつ足していく時間です。
そして、話を聞くのが苦手な子、すぐ立ち上がってしまう子でも、楽しい本なら最後まで聞けることはよくあります。集中力がない子がいるというより、楽しいから聞けるのです。だから、始めるのが小学生になってからでも、聞く経験はそこから積み上げていけます。聞く力と読み聞かせの関係は、先生に「話を聞いていない」と言われたらでくわしく書いています。
研究の基準は「週1回以上」。毎日でなくていいのです
この研究で「読み聞かせをしていた」と数えられたのは、週1回以上です。毎日かどうかは問われていません。
わが家も、今は毎日ではありません。週4日くらいです。習い事などで寝るのが遅くなる日はスキップしています。5分でも読めるのですが、週4日くらいが長く続けられるちょうどいい塩梅だと思って、ここに落ち着きました。
「毎日やらなければ」と思うと、できなかった日に「もうだめだ」となりがちです。回数の目標は低く置いて、そのかわり、やめない。続けた年数が大事なのだとしたら、そのほうがずっと理にかなっています。
わが家も1年ほど、読み聞かせを止めていました
偉そうに書いていますが、私自身、学校司書の仕事を始めてから1年くらい、家での読み聞かせを止めていました。新しい仕事と職場で余裕がなく、「また明日ね」と言っているうちに時間が経っていたのです。
再開したときは、「今日は読み聞かせするよ」と伝えただけです。子どもたちは「やったー」と言って、その日のうちに元どおりの読み聞かせの時間になりました。「なんで今さら?」とは聞かれませんでした。ブランクを気にしていたのは、親の私だけでした。そのときのことは読み聞かせが読解力を育てる理由にも書いています。

始めるのも、再開するのも、同じです。必要なのは理由の説明ではなく、「今日は読むよ」のひとことです。
年齢別:読み聞かせの始めどき早見表
「いつからでもいい」と言われても、実際にどう始めればいいかは年齢で変わります。目安を表にまとめました。本はどれも、長く読み継がれている定番です。
| 年齢 | 始めるときのポイント | 最初の1冊の例 |
|---|---|---|
| 0歳 | 意味が伝わらなくても大丈夫。声のリズムと、抱っこされて一緒に絵を見る時間そのものを楽しむ | 『いないいないばあ』(松谷みよ子 文/瀬川康男 絵・童心社) |
| 1〜2歳 | 短く、くり返しの多い本。同じ本を何度もせがまれたら、そのたびに読めば十分 | 『もこ もこもこ』(谷川俊太郎 作/元永定正 絵・文研出版) |
| 3〜5歳 | お話の筋を楽しめるようになる時期。少し長い物語も聞けるようになる | 『ぐりとぐら』(中川李枝子 作/大村百合子 絵・福音館書店) |
| 小学1〜2年生 | 自分で読めるようになっても、聞いてわかる話のほうがずっと広い。10分以内で最後まで面白い本から | 下の「小学生から始めるなら、この本から」で紹介 |
| 小学3〜4年生 | 絵本でも物語でもいい。「お話を聞く時間」を生活の中に置くことが先 | 同上 |
| 小学5〜6年生 | 毎日でなくていい。子どもが「読んで」と言った日に応じるだけでも、立派な読み聞かせ | 同上 |
赤ちゃんの場合、多くの自治体で、乳児健診などの機会に絵本を手渡す「ブックスタート」という取り組みが行われています。案内があれば、それを最初の1冊にするのもいい始め方です。今回の研究グループが「乳幼児健診などへの活用」を期待しているのも、こうした場で読み聞かせが続くよう後押しすることを想定したものです。

どの年齢でも、どの本を選ぶかより、最初の1冊を「楽しかった」で終えることのほうがずっと大事です。
小学生から始めるときのコツ5つ
ここからは、このブログの読者に多い「小学生になってから始める・再開する」ご家庭に向けて書きます。わが家での失敗も、正直に入れておきます。
① 最初の1冊は「最後まで面白がれる長さ」にする
内容がいいからと、学年に合わない長い本を選んでしまったことがあります。絵本でも、読み聞かせると20分を超えるものがあります。途中で「まだー」と飽きられてしまいました。
始めたばかりのころは特に、最初から最後まで面白がれる長さの本を選んでください。10分以内が目安です。長さの考え方は読み聞かせは1日何分すればいい?にまとめています。

② 読む時間を、生活の流れの中に置く
わが家の読み聞かせは、寝る前に布団の上で、1回に1冊、10分ほどです。「もう寝る時間だよ」→歯みがき→寝室で読み聞かせ→「おやすみ」が、いちばん典型的な流れでした。
「時間があったら読もう」だと、時間はまず出てきません。歯みがきのあと、のように「何かのあと」に置くと、考えなくても始まります。寝る前の読み聞かせについては小学生が寝ない夜に|「早く寝なさい」より効く、寝かしつけの読み聞かせ5つの工夫でくわしく書きました。
③ 途中で「わかった?」と聞かない
読み聞かせの途中で「今のところ、わかった?」と聞いてしまったことがあります。子どもは「わかったよ!」と少しイライラした様子で、話の流れも止めてしまいました。
それからは、子どもを信頼して、質問してこなければそのまま読むようにしています。始めたばかりの時期は特に、「確かめられる時間」ではなく「ただ楽しい時間」にしておくことが、続くかどうかを分けます。
④ 本を選ぶ手間を減らす
読み聞かせが続かない理由のひとつは、「今日は何を読もう」を毎回考える負担です。
今のわが家は、絵本ではなく昔話の本を読んでいます。「日本の昔話」のように1冊に20話ほど入っている本なら、1話ずつ読んで1冊で1か月もちます。毎回選ばなくていいだけで、続けるのがぐっと楽になりました。昔話の本の選び方は読み聞かせで子どもの語彙力が伸びる理由で紹介しています。

⑤ 疲れた日は「短い本を5分」でいい
疲れすぎて、今日はスキップしようと思った夜がありました。すると子どもが「読んでー!!」とごねて機嫌が悪くなり、かえって大変になってしまいました。
あとから思えば、短い本を5分、ただ読めばよかったのです。完璧な読み聞かせを1回するより、短くても途切れないほうが、子どもにとっても親にとっても楽です。どうしても気が重い日の考え方は読み聞かせがしんどい・めんどくさい夜に|がんばらずに続けるための9つのQ&Aにまとめています。
小学生から始めるなら、この本から
図書室の読み聞かせで実際に反応がよかった本から、始めやすいものを学年別に選びました。どれも、読み手の上手・下手に左右されにくい本です。

| 学年 | 本 | 始めやすい理由 |
|---|---|---|
| 1〜2年生 | 『だめよ、デイビッド!』(デイビッド・シャノン 作/小川仁央 訳・評論社) | 短く、ページをめくるたびに笑いが起きる。ふだん「だめ」と言われていることを、絵本の中なら怒られずに楽しめる |
| 1〜2年生(慣れてきたら) | 『王さまと九人のきょうだい』(君島久子 訳/赤羽末吉 絵・岩波書店) | 10分を超える長さでも、低学年が最後まで楽しめる。そっくりのきょうだいが特技でピンチを切り抜けていく爽快さがある |
| 3〜4年生 | 『1つぶのおこめ さんすうのむかしばなし』(デミ 作/さくまゆみこ 訳・光村教育図書) | かけ算を知っている学年ほど「おー」「そんなに!」と驚く。知っていることと、イメージできることの違いに気づける |
| 3年生以上 | 昔話の本(1冊に何十話も入っているもの) | 1話が短く、選ぶ手間がない。口で語り継がれてきた話なので、ただ読むだけで子どもを引きつける。絵の助けがないぶん、低学年より3年生以上向き |
| 5〜6年生 | 『100万回生きたねこ』(佐野洋子 作・講談社) | 名前は知っていても中身を知らない子が多い。後半はじっと聞き入り、読み終わると深い沈黙が生まれる |
学年ごとの本の選び方や、ほかにどんな力とつながるかは、読み聞かせで育つ11の力で紹介しています。
「いつまで続けるか」は、始めたあとに考えれば大丈夫です
「いつから」を調べている方は、たいてい「いつまで」も気になっています。続けた年数が大事なのだとすると、なおさらです。
私は、少なくとも小学3年生までは続けてほしいとお伝えしています。子どもが望むなら、その先も。わが家は長男が6年生、次男が4年生の今も、週4日ほど昔話を読んでいます。自分で読めるようになったことは、読み聞かせをやめる理由にはなりません。
やめどきのサインや、「もういい」と言われたときの対応は、読み聞かせはいつまで続ける?にまとめています。自分で読むほうへの移り方は、読み聞かせから一人読みへをどうぞ。
よくある質問
まとめ
読み聞かせに「この年齢から」という決まりはありません。0歳から始められるし、小学生からでも遅くありません。
2026年9月に発表された東京科学大学の研究では、何歳から始めたかより、何年続けたかのほうが、子どもの育ちとの関係がはっきりしていました。研究には注意点もありますが、「始めるのが遅かった」と悩むより、今日から始めて続けるほうに目を向けていい、ということは言えそうです。
- 始めどきは「気づいた日」。0歳でも小学生でもいい
- 研究の基準は週1回以上。毎日でなくていい
- 最初の1冊は、最後まで面白がれる長さにする
- 「歯みがきのあと」のように、生活の流れの中に置く
- 途中で「わかった?」と聞かず、ただ楽しい時間にする
- 疲れた日は短い本を5分。やめないことがいちばん大事
一度止まっても、「今日は読むよ」のひとことで再開できます。今夜の1冊が、続いていく読み聞かせの1日目です。
参考資料:Terada S, Yamaoka Y, Isumi A, Fujiwara T. Timing and duration of early-childhood shared reading and resilience, behavior problems, and reading habits. Pediatric Research(2026)/リセマム「読み聞かせ、早く始めるより『長く続ける』が重要…東京科学大が研究成果」(2026年9月8日)/東北大学プレスリリース「絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与えることを解明」(2026年1月9日)
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