先生に「話を聞いていない」と言われたら|集中力がないのではなく、条件がそろっていないだけです

うちの子、集中力がなくて|集中力がない子はいないと思います|学校司書が図書室で見ていること

先生に「話を聞いていないことがあります」と言われると、心配になりますよね。

でも、集中力がないのではなく、集中できる条件がそろっていないだけのことが多いです。教室では最後まで座っていられない子が、図書室ではじっと聞いている。そういう場面を何度も見てきました。

学校司書として毎週30人の聞き方を見ていて、聞けなくなる理由は3つだと思っています。3つとも、こちら側でそろえられる条件です。


目次

図書室では、その子も最後まで聞いています

前のめりの姿勢で、まっすぐ前を見て話を聞いている男の子

勤務校では、図書の時間が1年生・2年生と支援級に週1回あります。1クラス30人ほどに、10分から15分。マットの上に集まってもらって、絵が見える位置に座ってもらいます。

そこで毎週見ているのは、教室で「集中力がない」と言われている子が、最後まで聞いている姿です。すぐ立ち上がる子も、読み聞かせは楽しめます。

だとすれば、足りないのは集中力そのものではありません。その子が変わったのではなく、聞きたくなる条件がそろっているだけです。

この記事は小学校低学年〜中学年(1〜4年生)のご家庭に向けて、図書室でやっている条件の作り方と、家でできることをお伝えします。


聞けなくなる理由は、3つです

図書室の読み聞かせで、聞いている子・床を見ている子・隣をつつく子
理由何が起きているかできること
①最初を聞き逃した誰が出てきて、どこの話なのかがわからないまま進んでいる落ち着いてから読み始める
②途中でわからなくなった知らない言葉が続いて、意味がつかめなくなった学年に合った本を選ぶ
③楽しくない「つまんなそう」と思った時点で、聞くのをやめているその子が楽しめる本にする

とくに①は見落とされがちです。物語のはじめを聞けないと、前提がわからず、そのあとの内容がすぐにわからなくなってしまいます。ざわざわしたまま読み始めた日は、途中から立て直すことがほとんどできません。

②も、集中の問題に見えて、実は違います。知らない言葉が続いたところで視線が外れる子をよく見かけます。集中していないのではなく、わからなくなったから聞けなくなっているのです。聞いてわかる言葉を増やす話は読み聞かせで子どもの語彙力が伸びる理由|低学年・中学年の声かけと絵本選びのコツに書いています。

③は、大人でも同じです。興味のない会議で、姿勢よく座りながら別のことを考えた経験は、誰にでもあると思います。

迷子になった子は、この順番でサインが出ます

  • 床だったり、横だったり、違う方を見ている
  • 手や足を動かしだす
  • 友だちにちょっかいを出し始める

順番もだいたい決まっていて、視線がそれる、体が動く、隣にかまう、という流れです。ちょっかいまで行ったら、その子はもうかなり前から聞けていません。

ただし、行動に出る子もいれば、頭のなかで違うことを考え始める子もいます。じっと座っていても聞いていないことはありますし、体が動いていても聞いている子もいます。この順番は「そろそろ切りあげようかな」と読み手が判断するための目安で、動いている=聞いていない、ではありません。


家でできる、5つのこと

本の表紙を子どもたちに見せている学校司書と、視線を集める子どもたち

図書室で毎週使っている手です。家でもそのまま使えます。

① 読み始める前に、落ち着く

いちばん大事なのが、これです。最初に落ち着いて、聞く準備ができていること。ここができていないと、あとから立て直すのはとても難しいです。

誰が出てきて、どこの話なのか。そこを聞き逃すと、あとはずっと迷子です。ざわざわしたまま読み始めない。それだけで、その日の集中はかなり変わります。

② 表紙をしっかり見せる

ここで子どもの視線が全部本に集まります。「今からこれを読むよ」という合図になりますし、表紙から「どんな話だろう」と想像も始まります。いきなり1ページ目を読み始めるのとは、入り方がまったく違います。

このとき「今日のお話、最後にびっくりすることが起きるよ」と一言そえると、さらに効きます。聞く目的ができるからです。

③ ページはゆっくり、会話文の前に間を置く

「次はどうなるのかな」という気持ちが、ぐっと集中力を高めます。情報が次々と押し寄せるより、間があったほうが集中は高まります。

登場人物が誰かに質問した場面で、答えをすぐ読まずに2〜3秒だけ待つ。すると「どう答えるのかな」と思う時間が生まれ、その間に子どもは集中していきます。声を大きくしたり演技をしたりするより、この「間」のほうがずっと効きます。

④ 絵が見える位置に座らせ、画面を消す

絵が見えない位置にいる子は、聞けなくなります。当たり前のようですが、これが集中を切らす原因としてはいちばん多いかもしれません。家でも、子どもが絵をちゃんと見られる位置にいるか、一度確かめてみてください。

あわせて、テレビやスマホの画面が視界に入っていると、それだけで集中が分散します。読み聞かせの間は画面をオフにして、「声だけの空間」を作ってみてください。

⑤ 読み終えたら「一言」だけ

読み終えた後に長い質問をすると、それがプレッシャーになります。まずは親のほうが「お母さんはここが好きだったな」と一言。子どもが話したければ話すし、そうでなければそれでもいい。

「ちゃんと聞いてた?」の確認だけは、しないであげてください。聞く時間がテストの時間になってしまいます。

なお、同じ本を何度も「読んで」と持ってくるのは大歓迎です。先の展開がわかっているぶん、子どもは細部に注意を向けられます。1回目は筋を追うだけで精いっぱいだった子が、2回目3回目には絵の細かいところや言い回しに気づき始めます。


口をはさむ子も、ちゃんと聞いています

いつまでたっても読み聞かせに集中できていない気がする、という方へ。

読み聞かせの最中に、出てくる登場人物をからかう子がいます。「そんなこともわからないの」「おわったね」「そんなことあるわけないよ」。その態度に心配になることもあると思います。

支援級でも見られますし、1年生より2年生と、学年が上がるとこの傾向の子が出てきます。お話を外から眺められるようになったということでもあり、成長している側面があります。とはいえ、心配ですよね。静かに素直に聞けている子が、よく見えてしまいます。

でも、口をはさみながらも、ちゃんと聞いていませんか。

「もうあきた」と言いながら、ゴロンと寝ころびながら、実は聞いていることもあります。場面が変わって意外なことが起きると、パッと目を向けてきたりします。その瞬間があるということは、その読み聞かせはその子に届いています。

「静かに聞いて、お話を素直に受け取って、やさしい感想を持つ」という理想的な聞き方ではないかもしれません。それでも、そこに読み聞かせがある意味はあります。自分とは違う登場人物や状況に触れているからです。その本があったからこそ出たリアクションが少しでもあれば、その本と過ごした意味はあります。

ちゃんと聞いてくれないとイライラしたり、落ち込んだりするかもしれません。わたしもよくあります。それでも、子どもに届いていると信じていいと思います。

そわそわしたり、別のことを始めたりしても、それは集中力がないのではありません。今日はその本や時間帯が合わなかっただけのことも多いです。無理に続けず、また明日試してみてください。


低学年と中学年で、見え方が変わります

全身で反応する低学年の子と、静かに聞いている中学年の子

低学年(1〜2年生)は、見ればわかります。集中していれば前のめりになり、驚けば「えっ!」と声が出て、飽きてくると全然違う方向を見ています。体が本のほうを向いていれば、聞けています。

中学年以降は、静かになるぶんわかりにくくなります。派手なリアクションはなくなりますが、そのかわり最後まで聞ける集中力があります。

読み聞かせのときはツンとしていた子が、後になって「あの本はどこにありますか」と聞きにくることがあります。あのときちゃんと聞いていたんだな、と後からわかるのです。反応で測るのをやめる時期だと思ってください。


読み聞かせ以外の場面にも、聞く力は出ます

教室で先生の指示を聞いている子と、もう机の上の物に手をのばしている子

図書室で|返事の途中で「わかった」と行ってしまう

探している本の場所を聞きに来る子がいます。「廊下側の本棚の、いちばん下の段にあるよ」と言おうとしているのに、「廊下側の本棚」だけ聞いて出発してしまう。

本棚にはたどり着けても「いちばん下」がわからないので、そこで探し回ることになります。最後まで聞くのは、行儀の問題ではありません。最後まで聞いたほうが、自分が早く目的にたどり着けます。子どもにそう伝えると、案外すんなり通ります。

図書室で|説明の途中で「前も聞いた」

図書の時間に、図書室での過ごし方や本の扱い方を説明することがあります。ルールが乱れてきたときには、前に話したことをもう一度話すこともあります。

すると、「前も聞いた」「こういうことでしょ」と言って、そこから聞かなくなる子がいます。話のさわりだけで、中身を決めてしまうのです。「自分には関係ない」と思っているのかもしれません。

でも、同じ話に見えても確認することは大事ですし、途中から新しい話になることもあります。決めつけてしまうのは、最初から最後まで聞くことに、まだ慣れていないからだと思います。先生がクラス全体に話しているときの様子を見ていると、ここは聞ける子と聞けない子がはっきり分かれます。

家庭で|頼みごとができたら、聞けています

朝に「今日、学校からこれを持って帰ってきてね」と伝えて、本当に持って帰ってきたとき。これはけっこう高度なことをしています。朝に聞いた指示を受け取り、学校にいるあいだ頭のどこかに置いておき、帰るときに思い出して実行する。

ずっと覚えている必要はありません。必要なときに思い出せればいいのです。

家庭で|返事はするのに、入っていないとき

動画を見ていたり、ゲームをしていたりするときです。「はーい」「わかった」と返事はします。それなのに、あとで話すと「聞いてないよ」と言われます。

耳に音は入っているけれど、内容は入っていない。大事な話をするなら、画面を止めてからにしてください。返事があることは、聞いた証拠になりません。画面から離れにくいときの声かけは動画やゲームをやめられない小学生|「やめなさい」より効く切り替え方を学校司書が解説にまとめています。

逆に、都合の悪い話を「はいはい」と流されても、聞いてはいます。何日か経ったあとに「こうすればいいんでしょ」と、話した内容を言ってきたりします。その場の反応で判断しないほうがよさそうです。


「発達の心配」が頭をよぎったら

先生に言われたあと、「もしかして」と検索した方もいると思います。ここは正直に書きます。

学校司書なので、診断に関わることは言えません。そのうえで、図書室で子どもたちを見ていて思うのは、「聞けない」の中身は子どもによってまったく違うということです。条件がそろえば聞ける子もいれば、条件をそろえても難しさが残る子もいます。

目安になるのは、次の3つだと思います。

  • 家でも学校でも、同じことが続いている(場所や相手が変わっても変わらない)
  • 本人が困っている(忘れ物が続く、叱られることが増えている、友だちとうまくいかない)
  • 学年が上がっても、変わっていかない

この3つが重なるようなら、一人で抱えずに担任の先生、スクールカウンセラー、市区町村の相談窓口に話してみてください。相談することは、お子さんを何かに当てはめることではありません。合う関わり方が早く見つかれば、いちばん楽になるのは子ども本人です。

合わないと感じたら、相談する人を変えてください

大変ですが、いろいろな人に聞いてみることをおすすめします。

相談窓口に行って、わかってくれる人に当たればすごく良いです。でも、「何でそんなことを言うんだろう」と、ただ悲しくなって帰ってくることもあります。学校の先生もいろいろな方がいます。根は優しいけれど言葉が強かったり、「そのうちどうにかなりますよ」という答えだったり。相性もあります。今求めている答えと違うな、と思うこともあるでしょう。

そういうときは、相談する人を変えてみてくださいね。担任の先生より教頭先生のほうが話しやすければ、そうして大丈夫です。

わかってくれる人は必ずいます。1人で出会うのは難しいかもしれませんが、複数の人に会っていくと、会えます。

そして、どちらの場合でも読み聞かせはやめなくて大丈夫です。評価されない、楽しいだけの時間は、どの子にも必要です。


わが家では、ふざけだしたら「おしまいにするよ」

布団の上でふざけ合う男の子二人と、本を閉じてあきれている母親

きれいごとだけでは終わらないので、わが家の話も書いておきます。男の子2人なので、2人でふざけだしたり、片方が飽きてちょっかいを出して喧嘩が始まったりすることもあります。

そういうときは、「おしまいにするよ」と言います。それで収まるなら進めますし、おさまらないようなら、その日はおしまいです。

途中でやめることに、罪悪感を持たなくて大丈夫です。集中が切れた状態で最後まで読み切っても、何も入りません。「今日はここまで」で終われることのほうが、次の日につながります。


聞く練習は、5分から

リビングの床で、薄い絵本を一冊だけ広げて読んでいる母親と子ども

読み聞かせが聞く練習になるのは、声だけで話を追いかけるからです。映像とちがって、場面は子どもが自分で組み立てるしかありません。この「音から意味をつくる」作業が、先生の説明を聞く力とそのままつながります。

ただし、最初から30分は無理です。5分からで大丈夫です。

段階時間の目安やること
はじめ5分短い絵本を1冊。最後まで聞けたらそれで大成功
慣れてきたら10分1冊をゆっくり。「もっと」と言われたら次の段階へ
低学年の目安10〜15分絵本1〜2冊。切れたら無理に続けない
中学年の目安15〜20分章立ての本を1章ずつ。「続きはまた明日」で区切る

もうひとつ大事なことがあります。つまらないものに集中していくことも、難しいのです。「集中力をつけるために少し難しい本を」と考えたくなりますが、逆効果です。楽しめない本では、集中の練習そのものが始まりません。

最後に、ハードルをひとつ下げておきます。授業1時間まるまる集中している子は、いません。集中したり、ちょっとお休みしたりしながら過ごしています。大事なことが聞けていれば、それで十分です。


よくある質問

先生から「話を聞いていない」と言われました。うちの子は集中力がないのでしょうか。

集中力がない子は、いないのではないでしょうか。教室では聞けない子が、図書室では最後まで聞いているという場面を何度も見てきました。足りないのは集中力そのものではなく、集中できる条件です。楽しめる時間の中でなら、その子も集中できます。

じっと座っていれば、聞けていると考えていいですか?

そうとは限りません。行動に現れる子もいれば、頭のなかで違うことを考え始める子もいます。逆に、体が動いていても聞いている子もいます。姿勢ではなく、読み終えたあとの反応で見てあげてください。

途中でふざけ始めたら、最後まで読み切るべきですか?

やめて大丈夫です。わが家では「おしまいにするよ」と言って、収まるなら進め、おさまらなければその日はおしまいにしています。集中が切れた状態で読み切っても、何も入りません。途中でやめられることのほうが、次の日につながります。


まとめ

目をとじて耳をすませ、頭の中に世界を思い描いている子ども
  • 集中力がないのではなく、集中できる条件がそろっていないことが多いです
  • 聞けなくなる理由は3つ。最初を聞き逃した/わからなくなった/楽しくない
  • 読み始める前に落ち着く。物語のはじめを聞き逃すと、あとはずっと迷子になります
  • 表紙を見せる、ページはゆっくり、会話文の前に間、絵が見える位置、画面は消す
  • 読み終わりは一言だけ。「ちゃんと聞いてた?」は聞かない
  • 口をはさむ子も、寝ころんでいる子も、聞いています。理想的な聞き方でなくて大丈夫です
  • 心配が続くときは、担任やスクールカウンセラーに相談していい。合わないと感じたら、相談する人を変えて大丈夫です
  • 5分から。授業1時間まるまる集中している子はいません

「集中力がない」と言われると、その子の性質のように聞こえてしまいます。でも図書室で見ているかぎり、条件がそろえば、どの子も聞けています。

今夜、5分だけ。絵が見える位置に座って、表紙を見せるところから始めてみてください。


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この記事を書いた人

小学校で学校司書をしています。毎日子どもたちと図書室で過ごす中で感じること——それは言葉を育てることの大切さです。
読み聞かせ・読書・親子の会話・AI時代との向き合い方など、ご家庭でできる「ことば育て」のヒントを発信しています。
難しいことは何もありません。毎日少しの積み重ねで、子どもの言葉はぐんぐん育ちます。

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