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こんな方におすすめの記事
- 「調べればわかるのに、なぜ本を読まないといけないの?」と子どもに言われたことがある方
- 子どもに読書習慣をつけさせたいけれど、うまく理由を説明できない方
- AIやネット検索と読書の違いが、自分自身もよくわからなくなってきた方
- 「本を読む子」に育てたいけれど、何から始めればいいか迷っている方
- AI時代に本当に必要な力を、子どもに身につけてほしいと思っている方
「ネットで調べればわかるじゃん。なんで本を読まないといけないの?」
お子さんにこう言われたとき、すぐに答えられますか?
「いろんなことが学べるから」——かつてはよく使われた答えですが、今はほとんど通用しません。知識を得るだけなら、ネット検索の方がずっと手軽で速い。「本は楽しいよ」と伝えても、ゲームやアニメや動画が溢れている今、その言葉は子どもにはなかなか届きにくい。
では、本を読むことでしか得られないものとは、一体何なのでしょう。
この記事では、ネット・AI・読書それぞれの特徴を正直に整理しながら、それでも読書が子どもの力を育てる理由について、学校司書として本と子どもの両方と向き合ってきた視点からお伝えします。
結論から言うと、読書は今の時代でも、それどころかAI時代だからこそ必要です。 ただし、それは「ネットより優れているから」ではなく、「読書でしか育ちにくい力がある」からです。
ネット・AI・読書——それぞれの特徴を正直に整理する
まず、どれが「優れている」かではなく、それぞれが何が得意で、何が苦手かを正直に見ていきましょう。
ネット検索の特徴
| 得意なこと | 苦手なこと・注意点 |
|---|---|
| 最新の情報に即座にアクセスできる | 情報の正確さにばらつきがある(誰でも発信できるため) |
| 気になった言葉をすぐに調べられる | 「知りたいこと」しか出てこないため、知識に偏りが生まれやすい |
| 幅広いジャンルの情報を横断的に集められる | 断片的な情報が多く、物事の「背景」「文脈」がわかりにくい |
| 無料で大量の情報にアクセスできる | 目先の情報に流されやすく、深く考え続けにくい |
AIの特徴
| 得意なこと | 苦手なこと・注意点 |
|---|---|
| 自然な言葉で質問すると、丁寧な要約・説明を返してくれる | 内容が正しいかどうかは自分で確かめる必要がある |
| 大量の情報を処理して、まとめてくれる | 独自の視点や、深く考え抜いた意見を持てるわけではない |
| 文章を書いたり、翻訳したりするサポートが得意 | AIを使いこなすには、人間側の読解力・思考力が必要 |
| 決まった形の作業を速く・正確にこなせる | どう質問するか(プロンプト)によって結果が大きく変わる |
読書の特徴
| 得意なこと | 苦手なこと・注意点 |
|---|---|
| 一つのテーマを時間をかけて深く理解できる | 最新情報には弱い(出版までに時間がかかる) |
| 著者の思考プロセスごと、まとまった「考え方」が手に入る | 特定の知識をピンポイントに調べるには効率が悪い |
| 知らなかった世界・価値観・感情に出会える | 続けるには習慣と環境が必要 |
| 語彙・表現力・想像力・集中力が育ちやすい | |
| 穏やかに没頭でき、メンタルが安定しやすい |
3つを比べてみると……
| ネット検索 | AI | 読書 | |
|---|---|---|---|
| 情報の速さ | ◎ | ◎ | △ |
| 情報の正確さ | △〜○ | △(要確認) | ○ |
| 深さ・文脈 | △ | △〜○ | ◎ |
| 思考力を育てる | △ | △ | ◎ |
| 語彙・表現力 | △ | △ | ◎ |
| 最新情報への対応 | ◎ | ○ | △ |
| コスト | ◎ | ○ | △〜○ |
「速さ・手軽さ」ではネットやAIが圧倒的に優れています。 では、読書の「◎」はどこにあるか——それが「深さ」「思考力」「語彙・表現力」です。
ここに、今の時代でも読書が必要な理由があります。
「流し読み・拾い読み」と「精読」——ここに大きな違いがある

ネットにも文字情報はたくさんあります。スマートフォンで毎日大量の文章を読んでいるお子さんは多い。では、それと読書は何が違うのでしょうか。
その答えが、「読み方」の違いです。
ネットの読み方は「流し読み・拾い読み」
ネット上の文字情報の読み方は、もっぱら流し読みと拾い読みです。
これはネットを使う目的を考えると自然なことです。私たちがネット検索をするとき、「このことを知りたい」とおおよそわかっていて、いわば知識の欠落部分を埋める断片を求めているに過ぎません。目当ての情報が見つかれば、あとは読み飛ばす。SNSやコミュニケーションツールでも、端から丹念に読むという作業は普通必要とされません。
流し読み・拾い読みで事足りるのは、そういう使い方に最適化されているからです。
本の読み方は「精読」——一語一語をたどる読み方
それに対して、ある程度の長さのある本を読もうとしたら、一つ一つの言葉を丹念にたどって、情報を整理し、それをもとに想像力を働かせなければなりません。
これを「精読」と言います。
流し読み・拾い読みと精読とでは、頭の中で起こることがまるで違います。
精読では、言葉を一つひとつ受け取りながら、「どんな場所なのか」「どんな人物なのか」「なぜそうなったのか」を思考力で整理し、それを自分の中に映像として立ち上げていきます。この一連の作業が、思考力・想像力・記憶力を同時に鍛えるのです。
「映像」は想像力を必要としない
アニメや動画は主に映像の連なりです。映像は勝手に展開していってくれるので、思考力を駆使しなくてもおおよそのことはわかります。
一方、文字で書かれた本は違います。文字の情報を拾い集め、思考力で整理し、想像力を働かせるところまで進まないと、物語を楽しむことができません。
さし絵のある本でも、その絵を立体化させ、動かし、生命を吹き込み、描かれていない場面へも広げていくのは、読み手の想像力の働きです。
これが、読書が映像コンテンツとは根本的に違う理由です。
「読むのが大変」には理由がある——精読のプロセスを知っておこう
「うちの子、本を読もうとしない」「読み始めてもすぐやめてしまう」——そういうお悩みをよく聞きます。
でも実は、読み始めが辛いのは読書に慣れた大人でも同じです。なぜかというと、読み始めは情報整理に追われているからです。
新しい本を読み始めると、どんな場所なのか、どんな人物なのか、という情報がどんどん押し寄せてきます。想像力の土台がまだできていない段階では、情報整理だけで精一杯になってしまいます。
でも、情報整理がある程度進んで「どんな世界なのか」がつかめてくると、状況が変わります。
物語の出来事が、自分自身の体験の記憶に似たものになっていき、新しく加わってくる情報がずっと整理しやすくなる。読むのが面白くなってくれば、思考力を使う情報整理も不思議なくらい楽になって、どんどん読み進められるようになります。
大切なのは、「混乱したら立ち止まって考えたり、前に戻って確認したりしていい」と知っておくことです。映像と違って、本は自分のペースで向き合えます。
「調べる力」と「考える力」は、どう違うのか
ネット検索もAIも、「知りたいことを調べる力」を補ってくれます。でも「自分で考える力」は、自分で育てるしかない。
読書は、この「考える力」を育てるのにとても向いています。
読書では「著者の思考プロセス」ごと受け取れる
読書で得られるのは「結論」だけでなく、「なぜそうなるのか」というプロセスです。
ネットで「読書のメリット」と検索すると、箇条書きで10個くらいの答えが出てきます。でも本を読むと、なぜそう言えるのか、どんな経験や背景からそう考えるのか——そのプロセスごと受け取ることができます。
「なぜ?」を理解することが、本当の思考力の土台になります。
AIを使いこなすためにも、読書で育つ力が必要
少し驚くかもしれませんが、AIを上手に使いこなすためにも、人間側の読解力・語彙力・思考力が欠かせません。
- AIが返してくれた文章が正しいかどうかを判断する
- AIへの質問をうまく組み立てる
- AIが出した答えの「意味」を読み解いて活用する
これらはすべて、人間側の言葉の力があってこそできることです。
国立情報学研究所の研究でも、AI時代においてこそ人間の「読解力」が重要になることが指摘されています。AIが出してくれた答えを正しく評価し、活用するためには、まず人間が「何を求めているか」を言語化できなければなりません。
子どもにとって「読書でしか育ちにくい力」とは
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精読を重ねることで、具体的にどんな力が育つのでしょうか。
① 思考力・情報整理する力
本を読む経験は、「情報を受け取って、整理して、理解する」という一連の思考の流れを繰り返し鍛えます。
ネット上の短い断片情報を拾い集めるのとは違い、まとまった文章を精読することで、論理の流れを追う力・複数の情報を結びつける力が育ちます。これは学校の全教科の土台になる力です。
② 想像力・共感力
物語を精読する経験が、自分とは違う誰かの気持ちや感覚を「内側から」想像する力を育てます。
描写が深くなるにつれて、物音が聞こえ、匂いが感じられ、空気感まで味わえるようになっていきます。主人公の複雑な心情が、まるで自分自身の思いのように心にのしかかる——そういう体験を重ねることが、共感力の土台をつくります。
これは映像コンテンツでは受け取れるものの、自分で想像力を使って作り出す体験ではありません。
③ 語彙力・表現力
語彙が豊かになると、自分の気持ちを正確に言葉にする力が育ちます。
日常の会話やネットの文章で使われる語彙には限りがあります。本の中には、日常ではなかなか出会えない言葉や表現が豊富に含まれています。
「なんかイヤ」「むかつく」だけでなく、「悔しい」「情けない」「やるせない」——感情を細かく言語化できるようになると、自分を理解する力、相手に伝える力、そして感情を整える力も育っていきます。
④ 記憶力
読み進めながら「それまでのお話」を記憶していられるのは、想像力が情報を自分の体験記憶のようなものに変換してくれているからです。
自分自身の印象的な体験は、努力しなくても覚えていられます。物語の出来事も、想像力が働き出せばそれと似た記憶として残ります。精読を重ねることで、記憶力そのものが鍛えられていきます。
⑤ 矛盾や不自然さに「気づく力」
これは見落とされやすいのですが、とても大切な力です。
よく鍛えられた想像力は、矛盾があるとつまずきます。 そしてそのつまずきが、「おかしいぞ」というサインになります。
映像はその映像が存在しているだけで現実感を与えるため、矛盾や不自然さを含んでいてもそのまま受け入れてしまいやすい。でも精読で鍛えられた想像力と思考力があれば、情報の矛盾やごまかしに気づける。
AI時代に必要な「情報を見極める力」の根っこには、この力があります。
⑥ 穏やかな没頭——気持ちが荒れずに日常に戻れる
これは、読書ならではの大切な特徴です。
ゲームも動画も読書も、没頭するという点では同じです。ハラハラして、ドキドキして、怖くなって、笑って。続きが気になって、時間を忘れてしまう。その感覚はどれも変わりません。
でも、没頭の「質」が違います。
ゲームや動画は、興奮させるように設計されています。対戦ゲームでうまくいかないとき、本気で怒りを感じることがある。ボスが倒せない、ミスが続く——そんなとき、思わず乱暴な言葉が出てしまう。他のことは二の次になって、「やめなさい」の声かけがケンカのきっかけになることも、多くのご家庭で経験されていると思います。
これはお子さんの性格の問題ではありません。ゲームや動画には、脳の興奮を高める仕組みが組み込まれているからです。
読書は違います。
冒険のようなスリリングな場面でも、手に汗を握るような緊張感があっても——本を読んでいるとき、気持ちが荒れることはありません。穏やかに集中し、本を閉じたあと、穏やかに日常に戻れる。 これが、読書という没頭の特徴です。
さらに、読書にはメンタルを安定させる効果があることも、多くの研究で示されています。読書中は副交感神経が優位になりやすく、ストレスが和らぎ、気持ちが落ち着いていきます。就寝前の読書が睡眠の質を高めるとも言われるのは、この穏やかな集中状態のためです。
興奮したままで終わるゲームや動画と違い、読書は心を整えながら楽しめる時間になります。思考力や語彙力を育てながら、同時に心も穏やかにしてくれる——これは、読書だけが持っているとても大きな利点です。

「本じゃなくてネットで読んでもいいじゃん」という問いに答えるなら
ネット上にも、質の高い文章はたくさんあります。本当のことを言えば、「本か、ネットか」という二択ではなく、どちらも上手に使い分けることが大切です。
ただ、ネットの文章と本の文章には「向かい方の違い」があります。
ネットで何かを読むとき、私たちは無意識のうちに「パパッと次へ」という向き合い方をしています。より面白そうなものへ、視線が流れていく。これは「流し読み・拾い読み」という読み方です。
一方、本を読むときは、始まりから終わりまで、ひとりの著者の言葉を一語一語たどっていきます。この精読という経験こそが、思考力・想像力・語彙力を育てるのです。
AI時代だからこそ「ことばの力」が子どもの武器になる
少し未来のことを考えてみましょう。
今、AIはどんどん進化しています。単純な作業はAIが代わりにやってくれる時代です。では、AIには何ができないのでしょうか。
- 自分の経験をもとに、独自の視点で考えること
- 複雑な感情を言語化して、相手に伝えること
- 文脈を読んで、場の空気に合った言葉を選ぶこと
- 情報の矛盾や不自然さに気づき、正しく見極めること
- 正解のない問いに、自分なりの答えを出し続けること
これらはすべて、「ことばの力」「考える力」「想像力」が根っこにあります。そしてこの力は、子ども時代の読書——とりわけ精読の経験が大きく育てます。
「どうせAIがやってくれる」ではなく、「AIと一緒に考え、AIを使いこなす人間になる」——そのための基礎体力が、読書で育つのです。
「難しい本じゃなくていい」——まず読む楽しさから

ここで、一つ大切なことをお伝えします。
読書の力を育てるために、「難しい本」や「教育的な本」を読ませる必要はありません。
大好きなキャラクターが出てくるマンガ原作の小説でも、図鑑でも——「一語一語たどって、想像する」という経験そのものが力になります。
読み始めは大変に感じても、少しずつ想像力の土台ができてくれば、読むのが楽しくなってきます。まずは「読む楽しさ」を知ること。好きな本に出会うこと。それが読書習慣の、すべての出発点です。
読書は「勉強」ではなく、「楽しみ」として体験させてあげることが、長い目で見てもっとも大切なことだと私は思っています。
「好きな本」を見つけるサポートに——ヨンデミー
とはいえ、「好きな本がわからない」「何を選べばいいか迷う」というお子さんも多いですよね。
そんなときに役立つのが、AIが一人ひとりの好みに合った本をすすめてくれるオンライン読書教室「ヨンデミー」です。
ヨンデミーでは、お子さんの興味・読書レベルに合わせて本を紹介してくれるので、「読み始めの一冊」をなかなか選べないお子さんにもぴったり。読んだ本の感想を伝えると、次の本をすすめてくれる仕組みで、自然と読書の習慣が育っていきます。
「本は好きだけど何を読めばいいかわからない」「もっとたくさん本を読んでほしい」と思っているご家庭に、特におすすめです。
まとめ:ネット・AIと読書は「どちらが優れているか」ではない
今日お伝えしたことを振り返りましょう。
- ネットとAIは「速く・手軽に情報を得る」のが得意。読書は「深く考える力・ことばの力」を育てるのが得意
- ネット上の読み方は「流し読み・拾い読み」。読書の読み方は「精読」——頭の中で起こることがまるで違う
- 精読が鍛えるのは思考力・想像力・語彙力・記憶力、そして矛盾に気づく力
- 読書の没頭はゲーム・動画と違い「穏やか」——気持ちが荒れず、心を整えながら楽しめる
- 読書にはメンタルを安定させる効果もある
- AIを使いこなすためにも、人間側の読解力・語彙力が必要
- AI時代こそ、「ことばの力」が子どもの武器になる
- まず「読む楽しさ」から始めることが、すべての出発点
「なんで本を読まないといけないの?」という問いへの答えは、「ネットより本のほうがえらいから」ではありません。
「本を精読する経験が、あなたの中に育てるものがあるから」——それが答えです。
ネットもAIも、上手に使えばとても便利なツールです。それと同時に、読書が育ててくれる力は、どんな時代になっても子どもの中で生き続けます。
まずは一冊、お子さんと一緒に手に取ってみてください。
読書の力を深く知りたい方へ:おすすめの本
読書が育てる力や、AI時代の子どもの学びについてもっと知りたい方に、おすすめの本をご紹介します。
AI時代の読書・読解力について考えたい方に
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子 著(東洋経済新報社)
国立情報学研究所の研究者が、AIの限界と人間の読解力の重要性を説いた一冊。「なぜ今、読解力なのか」を親自身が腑に落とすための本として、多くの教育関係者にも読まれています。「AI時代に子どもに何を育てるべきか」を考えるうえで、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン 著(新潮新書)
スウェーデンの精神科医が、スマートフォンが子どもの脳・集中力・読書力に与える影響を科学的に解説した世界的ベストセラー。「なぜ本を読む習慣が大切なのか」の背景を、脳科学の視点から理解できます。
子どものことば・読書・コミュニケーションの力を育てるヒントを発信しています。
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