イライラ・不安が強い子に渡したい本7冊|学校司書が見ている「気持ちが戻ってこられる子」の読書

すぐイライラ、すぐ不安になる子に、気持ちが戻ってこられる本の渡し方と7冊を紹介する記事のアイキャッチ
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目次

こんな方におすすめの記事

  • 子どもがすぐイライラする、怒ると気持ちがなかなかおさまらない
  • 新しいことや失敗がこわくて、不安が強い
  • 気持ちが荒れたときに渡せる絵本を知りたい

イライラや不安をなくす本はありません。でも、気持ちから少し離れて「戻ってくる」手助けをしてくれる本はあります。強い気持ちは、そのままにしておくと、ずっとその中にいてしまうほど引力があります。

本を使うなら、コツは2つです。荒れているときは「すぐ面白い本」で気持ちをそらすこと。落ち着いているときに「落ち着くことば」を絵本で共有しておくこと。この記事では、学校司書として図書室で見てきたことと、イライラ・不安が強い子に渡したい本7冊を紹介します。


荒れているときは「すぐ面白い本」がいい

休み時間の図書室で、目のまわりが赤い男の子が、顔に見える木の模様の図鑑を指さして思わず笑っている

気持ちを落ち着けるのに、本を読むことは役に立ちます。読む本は、どんな本でもかまいません。大事なのは、その子が面白いと思えることです。

イライラや悲しい気持ちから離れるには、ほかのことに気持ちが向く必要があります。面白い気持ちとイライラした気持ちは、同時には味わえません。面白くなったら、それで成功です。

ただし、気持ちが荒れているときに、集中力が必要な本や、長く読まないと面白さがわからない本は読めません。気分転換に向いているのは、開いてすぐ面白い本です。図書室でよく手に取られているのは、トリックアートの本や、木目が顔に見える写真集、『大ピンチずかん』のような、ぱっと惹きつけられる本です。

5のイライラが3になれば、役に立っている

休み時間は10分ほどです。それでも、気持ちが荒れていた子が5分でも本の世界に入れると、切り替わることが多いです。子どもの気分は、一度切り替わってしまえば、あまり前には戻りません。

もちろん、嫌な気持ちが完全に消えないこともあります。本から現実に戻ったとき、「本当に嫌なんだよな」と不満に戻る子もいます。でも、5だったイライラが3になっていれば、その時間は役に立っています。ひとりでいたら、ずっと5のままだったかもしれないからです。

「イライラしたらこれ」というお守りを

嫌な気持ちを減らす方法は、子どもによってちがいます。本を読む子、友だちと話す子、外で遊ぶ子。お守りのように「イライラしているから、これをしよう」と思えるものがひとつあると、気持ちが戻ってきやすくなります。本は、そのお守りの候補のひとつです。


本をすすめないほうがいいときもある

図書室の窓ぎわの席で、ひざをかかえて外を見る女の子を、司書が少しはなれて見守っている

本を読むのは、エネルギーを使います。本は、動画のように勝手に進んではくれないからです。本を読むエネルギーが残っていないときは、本はいりません。

そういうときは、ただ話を聞きます。聞かれると余計にいらだつ子には、「この席、使っていいよ」と座らせて、ひとりになれる時間をつくります。まずは、その子の気持ちが落ち着ける場所を整えることが先です。


不安が強い子には「好き」に近い本から

図書室の本棚の前で、司書がしゃがんで、白い小さな犬の絵本を女の子に見せている

新しいことや失敗がこわい子に、無理に本をすすめることはしません。同じ本や同じシリーズばかり選ぶ子もいます。それは、その本が好きだからというより、ほかに行けないのかもしれません。

本の幅を広げたいときは、まずその子の好きなことを知ることから始めます。好きなことに近い本なら、安心できるし、興味もわきます。たとえば犬を飼っている子なら、犬の種類を聞いて、近い犬が出てくる絵本を紹介してみます。小型犬を飼っている子は、大型犬の絵本にはあまり惹かれなかったりするので、好みに合わせるのは簡単ではありません。

手に取らなくてもかまいません。「そういう本もあるんだ」と知るだけでも十分です。その日の気分もあるので、無理に押さないようにしています。


落ち着いているときに「ことば」を共有しておく

夜のソファで、母親と男の子が一冊の絵本をひらいて、顔を見合わせて笑っている

わが家で役に立っているのは、自分が落ち着くための「ことば」を持っておくことです。「いいから いいから」「だいじょうぶ だいじょうぶ」。どちらも、絵本の中のことばです。

絵本で一度共有しておくと、何かあったときにそのことばを使うだけで、本のやさしい世界がふっと思い出されて、気持ちが落ち着く助けになります。荒れているときに新しい本を読むのは難しくても、知っていることばなら届きます。だから、ことばを共有する絵本は、落ち着いているときに読んでおくのがおすすめです。


イライラ・不安が強い子に渡したい本7冊

図書室の本棚の前で、女の子と男の子が気に入った絵本を胸にかかえて見せ合っている

学校司書として選んだ本です。書名・作者・出版社は、国立国会図書館の書誌と出版社の案内で確認しています。

こんなときに本目安
落ち着くことばを共有したい『いいからいいから』
『だいじょうぶ だいじょうぶ』
低学年〜
怒ったあとの戻り方を知りたい『ソフィーはとってもおこったの!』
『おこりたくなったら やってみて!』
低学年〜
こわがり・自信がない『ラチとらいおん』低学年〜
がまんしてさみしい『ちょっとだけ』低学年〜
荒れた気持ちをそらしたい『大ピンチずかん』低学年〜高学年

落ち着くことばをくれる絵本

『いいからいいから』(長谷川義史 作/絵本館)

ある日、かみなりの親子が家にやってきます。それでもおじいちゃんは「いいから いいから」。ごちそうをふるまい、おへそを取られそうになっても「いいから いいから」です。

何が起きても動じないおじいちゃんに、読んでいるほうも力が抜けて笑ってしまいます。「いいから いいから」は、イライラしたときに親子で言い合える合いことばになります。シリーズも続いています。

『だいじょうぶ だいじょうぶ』(いとうひろし 作・絵/講談社)

ぼくとおじいちゃんは、毎日お散歩をします。こわい犬、困ったこと、心配なこと。ぼくが何かに出会うたびに、おじいちゃんは「だいじょうぶ だいじょうぶ」と言ってくれます。

心配ごとが消えるわけではありません。でも、「だいじょうぶ」と言ってくれる人がいることで、前に進めることが伝わる一冊です。不安が強い子と、ぜひ一緒に読んでおいてください。


怒ったあとの「戻り方」がわかる絵本

『ソフィーはとってもおこったの!』(モリー・バング さく/おがわひとみ やく/評論社)

おもちゃを取られて、ソフィーは爆発します。外へ走り出し、走って、走って、木にのぼる。そこから景色を見ているうちに、気持ちが少しずつおさまっていきます。

怒ることを責める本ではありません。怒ったあと、どうやって戻ってくるかを描いた本です。怒りの強さが、絵の色でそのまま伝わってきます。

『おこりたくなったら やってみて!』(ガストンのきぶんをととのえるえほん/オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ 作/垣内磯子 訳/主婦の友社)

たてがみの色が気持ちで変わる、ユニコーンの子ども・ガストンが主人公です。怒りたくなったとき、呼吸で気持ちをととのえる方法を、絵本を読みながら一緒にやってみる形になっています。

気持ちをコントロールするのは難しくても、呼吸はコントロールできます。一度親子でやっておくと、「ガストンみたいに、ふーってしてみようか」と、いざというときに思い出せます。使い方は

子どもが「気持ちをことばにできない」のはなぜ?感情の言語化が育む自己調整力

でもくわしく書いています。


こわがり・自信がない子に

『ラチとらいおん』(マレーク・ベロニカ ぶん・え/とくながやすもと やく/福音館書店)

ラチは、世界でいちばん弱虫の男の子。犬もこわい、暗い部屋もこわい。そんなラチのところに、小さな赤いらいおんがやってきて、一緒に強くなる練習を始めます。

らいおんがそばにいると思うと、ラチは少しずつこわいことに向かっていけるようになります。「自分にもお守りがある」と思えることの大切さが伝わる、長く読み継がれてきた絵本です。


がまんして、さみしい子に

『ちょっとだけ』(瀧村有子 作/鈴木永子 絵/福音館書店)

赤ちゃんが生まれて、お姉ちゃんになったなっちゃん。ママは赤ちゃんのお世話でいそがしく、なっちゃんは「ちょっとだけ」がまんを重ねていきます。

がまんしている子の気持ちに、そっと寄りそう絵本です。下の子が生まれた子や、言えない気持ちをためこんでいる子に。甘えたい気持ちとの付き合い方は

小学生の甘えん坊は愛情不足?|甘えは「充電」。寝る前の絵本で満たす方法

にも書いています。


荒れた気持ちをそらす「すぐ面白い本」

『大ピンチずかん』(鈴木のりたけ 作/小学館)

コップに注いだ牛乳が、あふれそう――表紙からもう大ピンチです。子どもの毎日に起こる「大ピンチ」を集めた図鑑です。どこを開いても、すぐに「あるある!」と笑えます。

最初から順番に読まなくていいので、気持ちが荒れているときの気分転換にぴったりです。図書室でも、よく手に取られています。続編もあります。

ほかにも、トリックアートの本や、ものが顔に見える写真の本など、ぱっと見てすぐ面白い本は、気分転換の強い味方です。図書館の図鑑や写真集の棚をのぞいてみてください。


本選びに迷ったら:ヨンデミーという方法

気分転換の本も、ことばを共有する絵本も、その子が面白いと思えることがいちばん大事です。ヨンデミーは、AIがその子の読書記録をもとに本を提案してくれるオンラインの読書習い事で、好みに合う本を探す手間を減らせます。わが家で兄弟で使った感想は【小5・小3の兄弟で1年】ヨンデミーの口コミ・評判|本が苦手な次男の変化と、一度やめた長男が戻った理由にまとめています。

よくある質問

イライラしているときに「本でも読んだら?」と言ってもいいですか?

すすめるなら、開いてすぐ面白い本にしてください。長い物語や、集中しないと面白さがわからない本は、荒れているときには読めません。本を読むエネルギーもなさそうなら、本はいりません。話を聞くか、ひとりになれる場所をつくってあげてください。

本を読んでも、イライラが消えません。

消えなくても大丈夫です。5だったイライラが3になっていれば、その時間は役に立っています。一度切り替わった気分は、あまり前には戻りません。

同じ本ばかり読んでいます。ほかの本もすすめたほうがいいですか?

無理にすすめなくて大丈夫です。不安が強い子は、安心できる本から離れにくいことがあります。広げたいときは、その子の好きなことに近い本をそっと置いてみてください。手に取らなくても、「そういう本もある」と知るだけで十分です。


まとめ

  • イライラや不安をなくす本はない。でも、気持ちから離れて戻ってくる手助けはしてくれる
  • 荒れているときは「すぐ面白い本」。5のイライラが3になれば成功
  • 本を読むエネルギーがないときは、本はいらない。話を聞くか、ひとりの時間を
  • 不安が強い子には、好きなことに近い本を。無理に押さない
  • 落ち着いているときに「いいから いいから」「だいじょうぶ だいじょうぶ」のようなことばを絵本で共有しておく

今夜、『いいからいいから』か『だいじょうぶ だいじょうぶ』を一緒に読んで、わが家の合いことばをひとつ作ってみてください。

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この記事を書いた人

小学校で学校司書をしています。毎日子どもたちと図書室で過ごす中で感じること——それは言葉を育てることの大切さです。
読み聞かせ・読書・親子の会話・AI時代との向き合い方など、ご家庭でできる「ことば育て」のヒントを発信しています。
難しいことは何もありません。毎日少しの積み重ねで、子どもの言葉はぐんぐん育ちます。

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