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「子どもと一緒に笑える絵本、ないかな?」——そんなときは、読み手が上手に盛り上げなくても、ページをめくるだけで子どもが声を出したくなる絵本を選んでみてください。
学校司書として、たくさんの子どもたちと一緒に笑ってきた絵本の中から、おうちで親子で読んでも楽しい7冊を紹介します。
笑える絵本に、うまい読み方も、守らなければいけないルールもいりません。一緒に読んで、一緒に笑えたら、それで十分です。

笑える絵本の、ここがいい
「本って楽しい」が、いちばん最初に残る
笑える絵本は、何年生でも楽しめます。とくに低学年には効果抜群です。「本は難しいもの」という苦手意識が出てくる子もいるなかで、笑える絵本は理屈ぬきで楽しめます。この「本は楽しい」という経験が、本当に大切です。
うまく読めなくても、本が笑わせてくれる
物語をしっとり聞かせる絵本は、読み手の読み方で印象が変わることがあります。でも笑える絵本は、本そのものが面白いので、読み手ががんばらなくても子どもは笑ってくれます。声色を変えたり、上手に間をとったりしなくて大丈夫。「読み聞かせは苦手」という方にこそ、向いている絵本です。
大きくなっても、一緒に笑える時間になる
高学年になると、笑える絵本ばかりでは物足りないかもしれません。それでも、たまにはさんでみると意外と楽しんでくれます。大人っぽくなってきた子の、子どもらしい一面が見られてうれしいこともあります。
図書室で子どもたちが話してくれる内容も、学年で変わっていきます。低学年はパパやママ、きょうだい、ペットの話。学年が上がると、友だちの話が増えてきます。親子でいっしょに笑える時間は、低学年のうちにたくさん作っておきたいものです。

親子で声を出して笑える絵本7冊
どれも、読み手が盛り上げなくても、子どもが自分から声を出したり、絵の中を探したりしはじめる絵本です。たくさんの子どもたちと楽しんできた本ですが、もちろんおうちで1対1で読んでも楽しめます。
| 絵本 | 楽しみ方 |
|---|---|
| ウラパン・オコサ | ルールがわかると、声に出して数えたくなる |
| ねこいる! | ねこを探して「ここにもいる!」 |
| ねこいる!いる! | わかったつもりで、また驚く |
| へんしんトンネル | 同じ言葉を一緒に声に出す |
| おうさまがかえってくる100びょうまえ! | 間に合うかドキドキ、片付け残しを探す |
| ねえ、どれがいい? | 選ぶ。答えに性格が出る |
| もこ もこもこ | 音とリズムを体で味わう |
『ウラパン・オコサ』
谷川晃一 著 / 童心社
どんな絵本? 「1」をウラパン、「2」をオコサと呼び、この2つの言葉だけで数を数えていく、ちょっと不思議なかず遊び絵本です。「サルが1ぴきでウラパン、バナナが2ほんでオコサ」…数が増えるほど「オコサ・オコサ・ウラパン!」と呪文のようなリズムになっていきます。
子どもたちの反応 ルールがわかってくると、ページをめくるごとに声を出したくなります。後半はむずかしくなるのに、ちゃんと数えられると大喜び。読んだあとは、物を数えるときに「1、2…」ではなく、「ウラパン、オコサ」で数えだす子もいます。
おうちで読むなら 最初はゆっくり、ルールがわかるように読んでみてください。次のページをめくる前に少し間をとると、子どもが「次は…」と準備して待ってくれます。
『ねこいる!』
たなかひかる 著 / ポプラ社
どんな絵本? 「ねこいる?」と問いかけると、思いもよらない場所から「ババーン!」とねこが飛び出す、ただそれだけの絵本です。MOE絵本屋さん大賞2022で第5位。作者のたなかひかるさんが「頭がよくならない絵本」と呼ぶ、純粋に笑うための一冊です。
子どもたちの反応 いちばん盛り上がるのは、跳び箱からねこが飛び出す場面です。ぱっと見てわかるところ以外にもねこが隠れていて、何度も見返しては「ここにもいるよ!」「本当だ!」と盛り上がります。
おうちで読むなら 1ページごとに、じっくり探す時間をとってみてください。親子で「ここにもいた!」と見つけ合うと、何度読んでも楽しめます。一人で読んでも楽しい本です。

『ねこいる!いる!』
たなかひかる 著 / ポプラ社
どんな絵本? 『ねこいる!』の第2弾(2026年2月刊)。シリーズは累計20万部を超えています。今回も、どこからねこが出てくるのかまったく予想できません。
子どもたちの反応 2冊目なので、「もうどこにねこがいるかわかる」と自信たっぷりに読み始めます。でも思ってもいないことが起こって、やっぱり笑ってしまいます。読んだあと、「これおもしろかったよ」と友だちにすすめる子がたくさんいました。
『へんしんトンネル』
あきやまただし 著 / 金の星社
どんな絵本? ふしぎなトンネルをくぐると、言葉が変身してしまう!かっぱが「かっぱかっぱかっぱ…」とくぐると、出口から「ぱっかぱっかぱっか」と馬になって出てきます。とけいは毛糸に、ロボットはボロになって…。言葉の音が入れ替わって全く別のものに変身する、ことばあそびの絵本で、シリーズもたくさん出ています。
子どもたちの反応 1〜2年生は、どのページも一緒に声を出して読みだします。同じ言葉をくり返しているのに、いつのまにか違う言葉になる感覚は、何度味わっても楽しいようです。シリーズを全部読破する子もたくさんいます。
わが家では へんしんシリーズはよく読みました。一緒に読んで「そうなるの!」と笑って、読み終えたらすっきり。一緒に読んでも、子どもが一人で読んでも楽しめていました。
おうちで読むなら 読んであげるというより、子どもと一緒に声を合わせて読むのがおすすめです。

『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』
柏原佳世子 著 / えほんの杜
どんな絵本? 王様が出かけた隙に、家来たちは王様の部屋でやりたい放題。ところが窓から王様の馬車が!「かえってくるまであと100びょうだ!かたづけろーー!!」始まる怒涛の100秒カウントダウン。1秒ずつ刻まれる数字とともに、家来たちの大慌てのお片づけが描かれます。
子どもたちの反応 ゼロになったら王さまが戻ってきます。本当に間に合うのか、ドキドキしながら見ています。100秒で片付いたかと思いきや、片付いていない場所もあって、そういうところを楽しそうに探しています。
おうちで読むなら 最後のページは、片付いていないところを親子で探してみてください。
『ねえ、どれがいい?』
ジョン・バーニンガム 著 / 評論社
どんな絵本? 「ジャムだらけになるのと、泥んこになるのとどっちがいい?」など、ちょっと変わった質問が次々に続く絵本です。どれもあまり選びたくないような選択肢ばかり。正解はなく、選んで答えるだけの一冊です。
子どもたちの反応 すぐに答える子もいれば、じっくり考える子もいて、性格が出ます。選ぶときにちゃんと考えているんだなと感心します。答えはばらばらなのに、あるページの質問だけはみんな同じ答えになる。これがまた面白いところです。
おうちで読むなら 「どうしてそれにしたの?」と、選んだ理由を聞きながら読むのが面白いです。家族みんなで答えてみると、意外な答えが出てきます。
『もこ もこもこ』
谷川俊太郎 作 / 元永定正 絵 / 文研出版
どんな絵本? 「もこ」「もこもこ」「にょき」…意味よりも音とリズムを楽しむ、谷川俊太郎の名作絵本。シンプルな言葉と元永定正のダイナミックな絵が合わさった、読むたびに声を出したくなる一冊です。赤ちゃん絵本として知られていますが、小学生に読んでも楽しめます。
子どもたちの反応 低学年の子は、言葉や絵だけでなく、触ったときのような感覚まで体で味わっているように見えます。
おうちで読むなら ゆっくり、ひとつひとつを味わうように読んでみてください。
笑える絵本は「楽しければそれでいい」
笑える絵本は、子どもと笑えればそれでいい本です。堅苦しいルールは考えなくて大丈夫。うまく読もうとしなくても、ただ一緒に読めば、本が楽しい時間をつくってくれます。
質問をはさんでも、脱線しても大丈夫
読みながら「これ何?」と聞いても、「どっちがいいと思う?」と話しかけても大丈夫です。子どもが話し出したら、先を急がずに、ゆっくり聞いてあげてください。
本に戻って「あれ、どこまで読んだっけ」となっても、かまいません。笑いすぎてなかなか先に進まない日も、それで十分。楽しければそれでいい、そんな本です。
大きく笑わない日があっても、ちゃんと届いている
学校で読み聞かせをしていると、読んでいる間は静かだった子が、あとから「この本借りたい」「この本おもしろかった」と教えてくれることがよくあります。
大きなリアクションだけが返事ではありません。よそを向いているように見えても、ちゃんと聞いていることがあります。反応が薄い日があっても、気にしなくて大丈夫です。

読み手が楽しむことが、いちばん大切
読み聞かせは、「毎日読まなきゃ」「ためになる本を読まなきゃ」と、つい頑張ってしまうことがあります。でも、いちばん大切なのは「楽しい」ことです。それは子どもにとっても、大人にとっても同じです。
「うまく読めなくていい」
読み聞かせをしていると、「もっとうまく読んであげたい」と思うことがあるかもしれません。声が変えられない、間が取れない、噛んでしまう…。
でも、子どもにとって大事なのは、上手に読んでもらうことではありません。
「お父さん(お母さん)と一緒に、楽しかった」
その記憶が残ることが、全てです。
噛んでしまったら一緒に笑えばいい。声がおかしくなったら「変だった?」と聞いてみればいい。失敗も全部ひっくるめて、楽しい時間にしてしまいましょう。
好きじゃない名作を、無理に読まなくていい
「わたしはこの本、あまり好きじゃないけど、名作だから…」と、後ろ向きな気持ちで読み聞かせをする必要はありません。
読み手が楽しんでいると、それは子どもにも伝わって、子どもも楽しめます。大人が読んで笑える本を選ぶのも、立派な選び方です。無理はしないでくださいね。

それに、この時間で得をしているのは子どもだけではありません。声を出して笑ったあとは、親のほうも肩の力が抜けています。読み聞かせは「してあげるもの」ではなく、ふたりで一緒に遊ぶもの——そう考えると、ずいぶん気が楽になります。

夜の読み聞かせは、いい関係のまま眠れる
わが家では読み聞かせを夜にしていたので、一緒に笑って、いい関係のまま眠れるのも、お互いにとってよかったことです。寝る前の読み聞かせについては、こちらの記事でくわしく書いています。

子どもが友だちと遊ぶようになっても、外の世界が広がっても、夜の読み聞かせの時間だけは、親子ふたりだけの遊び場です。
今夜も一緒に、声を出して笑いましょう。
笑っているだけなのに、親子の心にはプラスになっている
この記事では「育つ力」の話をわざと脇に置いてきました。楽しむことだけを考えたほうが、読み聞かせは続くからです。
一緒に笑うと、気持ちがほぐれて近くなる
一緒に笑うことには、気持ちをほぐして、人と人を近づけるはたらきがあるようです。フィンランドのトゥルク大学やイギリスのオックスフォード大学などの研究チームが2017年に発表した研究では、親しい人と一緒にコメディ動画を見て笑うと、脳の中で「気分をよくする物質」(エンドルフィンなどの脳内オピオイド)が出ていることがわかりました。研究チームは、これが「一緒に笑うと仲が深まる」理由のひとつではないかと考えています(Manninen ほか, Journal of Neuroscience, 2017)。
大人を対象にした研究ですが、親子で声を出して笑っている時間にも、同じことが起きていると考えると納得がいきます。子どもにとっては「おうちの人と笑った」という安心に、親にとっては、一日の疲れがふっとほぐれる時間になります。
あとから、ついてくるもの
ただ、最後にひとつだけ。親子で声を出して笑っている時間は、遊んでいるだけのようでいて、いろいろなものを置いていきます。
- 繰り返しのフレーズを一緒に言ううちに、耳が言葉のリズムを覚える
- 「次どうなる?」を考える時間が、話の先を想像する練習になる
- だじゃれやことばあそびで、ことばを「いじって遊ぶもの」だと知る
- 笑った本のタイトルを覚えて、自分から次の本を探すようになる
- 「本=楽しいもの」という感覚が、いちばん最初に身につく
どれも、狙って身につけさせられるものではありません。笑っていたら、あとからついてきていた——そのくらいの距離感がちょうどいいと思っています。
読み聞かせで育つ力を整理した記事と、想像力の話はこちらにまとめています。気になったときにだけ、のぞいてみてください。


よくある質問
まとめ|うまく読まなくていい、一緒に笑えたら十分
- 笑える絵本は、「本って楽しい」をいちばん最初にくれる。何年生でも、低学年にはとくに
- 読み手ががんばらなくても、本が笑わせてくれる
- 質問も脱線も、「どこまで読んだっけ」もOK。子どもが話し出したら、ゆっくり聞く
- 読み手が楽しめる本を選ぶ。好きじゃない名作を無理に読まなくていい
- 一緒に笑う時間は、親子の心とつながりにプラスになる
今夜は1冊、子どもと一緒に笑える絵本を開いてみてください。無理はせず、楽しめる日に。
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