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こんな方におすすめの記事
- 子どもが友だちや外国の人のことを「へん」「おかしい」と言って、ドキッとしたことがある
- 「みんな違っていい」と伝えたいけれど、説教っぽくなってしまう
- 多様性をテーマにした絵本を、小学生と読みたい
子どもが「へん」と言ったとき、「みんな違っていいんだよ」と一般論で返しても、あまり届きません。届くのは、「あなたはこれが好きなんだね」「あの子はあれが好きなんだね」という、目の前の具体的なちがいです。
本は、そのちがいに前もって出会わせてくれます。深く理解できなくても、「そういうこともあるな」と知っているだけで、知らないのとは大きくちがいます。この記事では、学校司書として図書室で使っている声かけと、小学生と読みたい多様性の絵本9冊、高学年と大人に向けた3冊を紹介します。
子どもが「へん」と言ったとき、図書室でしていること

図書室で、男の子がかわいい絵の絵本を選んでいたときのことです。近くにいた子が「女みたいだ」と言いました。「男の子はかっこいい、女の子はかわいい」という感覚はだいぶ薄くなってきましたが、今でもこういうことは起こります。
こういうとき、私は「男」「女」という言葉を使わないようにしています。選んだ子には「あなたはこの本がいいんだね」と伝え、「好きな本を選んでいいんだよ」と言います。そして「女みたいだ」と言った子にも、「どの本が好きなの?」と聞きます。「この本」と答えたら、「あなたはこの本が好きなんだね」と返します。
「人それぞれでいいんだよ」と言うより、「あの子はあの本、自分はこの本」という具体的な経験のほうが、子どもには伝わると感じています。
一般論は、説教になってしまう
うまくいかないのは、一般論で説教のようになってしまうときです。「みんな違ってそれでいい」は、きれいな言葉です。でも子どもには、それが自分の生活のどこの話なのか、わかりにくいのです。
好きな本を選んでいい。好きな色で塗っていい。好きな遊びをしていい。子どもの生活になじんだところで経験するほうが、身についていきます。
わが家では、目玉焼きの話をします
わが家は4人家族ですが、意見が合わないことも、好みがちがうこともあります。たとえば、目玉焼きに何をかけるか。しょうゆの人もいれば、塩の人もいます。
「しょうゆのほうがおいしいのに、へんなの」と言ったときは、こう返します。
あなたはしょうゆがいいと思うんだね。相手は塩がいいと思うんだね。それだけのことだよ。
どちらがよいか、どちらが正しいかという判断になると、争いの種になります。自分の思いも、相手の思いも大切。それが原点であってほしいと思っています。世界にはいろいろな人がいて、今の日本のくらしが当たり前ではありません。日本の中だって、みんな同じではありません。「同じじゃない」という感覚を、家庭の小さな会話から大事にしています。
多様性の本は「わかる」より「知る」でいい
このテーマの本は、読んだあとに話し合うと理解が深まります。でも、子どもに自分の考えを言う準備がないときは、読むだけで大丈夫です。無理に感想を聞くと、それこそ説教になってしまいます。
子どもの中に「そういうこともあるな」と残れば十分です。全然知らないのと、「そういうこともあるな」と知っているのとの差は大きい。深く考えるのはもっと先でもかまいません。知ることが、理解するための大切な一歩です。
子どもが自分とちがう人から距離を置くのは、悪意からではなく、ただ知らないからということがほとんどです。はじめてのものに出会ったときに警戒するのは、当たり前のことです。本で出会っておくと、「こうしたらどうかな」という選択肢がひとつずつ増えていきます。
多様性を考える絵本9冊と、高学年・大人に3冊

学校司書として選んだ本です。書名・作者・出版社は、国立国会図書館の書誌と出版社の案内で確認しています。
| テーマ | 本 | 目安 |
|---|---|---|
| からだ・障がいのちがい | 『ねえ、きいてみて!』 『みえるとか みえないとか』 『みんなとおなじくできないよ』 | 低学年〜 |
| 家族のかたち | 『タンタンタンゴはパパふたり』 『いろいろ いろんな かぞくの ほん』 | 低学年〜 |
| 人とちがうこと | 『ぞうのエルマー』 | 低学年〜 |
| 世界の人・くらし | 『ともだち』 『ぼくがラーメンたべてるとき』 | 低学年〜 中学年〜 |
| 友だちとのちがい | 『ひとりひとりのやさしさ』 | 高学年 |
| 高学年・大人に | 『窓をひろげて考えよう』 『かがみの孤城』 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 | 高学年 高学年〜中学生 大人 |
からだ・障がいのちがいを知る絵本
『ねえ、きいてみて! みんな、それぞれちがうから』(ソニア・ソトマイヨール 文/ラファエル・ロペス 絵/すぎもとえみ 訳/汐文社)
1型糖尿病のソニアが、友だちと一緒に庭をつくるお話です。車いすの子、ぜんそくの子、吃音のある子、目の見えない子……それぞれが自分のやり方で庭づくりに加わります。
テーマは「気になったら、きいてみて」。「かわいそう」でも「すごい」でもなく、どんなことが好きで、何があれば助かるのかを知ろうとすることが出発点だと、自然に伝わります。
『みえるとか みえないとか』(ヨシタケシンスケ 作/伊藤亜紗 そうだん/アリス館)
宇宙飛行士の「ぼく」が降りた星は、目が3つある人たちの星でした。「うしろが見えないなんて!」とおどろかれたぼくは、目の見えない人と話してみて、見え方のちがいを考えます。
「見えないからかわいそう」ではなく、自分の当たり前は、だれかの当たり前とはかぎらないことを、笑いながら受け取れる一冊です。
『みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし』(湯浅正太 作/石井聖岳 絵/日本図書センター)
障がいのある弟をもつ「ボク」の気持ちを、きょうだいの立場から描いた絵本です。作者は小児科医。
障がいのある本人ではなく、そばにいる家族の目線で描かれているのがこの本の特徴です。クラスに障がいのある友だちがいる子にも、きょうだいがいる子にも、入りやすい入口になります。
家族のかたちを知る絵本
『タンタンタンゴはパパふたり』(ジャスティン・リチャードソン、ピーター・パーネル 文/ヘンリー・コール 絵/尾辻かな子、前田和男 訳/ポット出版)
ニューヨークの動物園で、いつも一緒にいるオスのペンギン、ロイとシロ。ほかのペンギンが卵をあたためるのを見て、ふたりも石をあたため始めます。そこへ飼育員が本物の卵を渡して、タンゴが生まれます。実話がもとになった絵本です。
「家族のかたちはひとつじゃない」ことを、ペンギンの姿で、説明なしに受け取れます。
『いろいろ いろんな かぞくの ほん』(メアリ・ホフマン 文/ロス・アスクィス 絵/杉本詠美 訳/少年写真新聞社)
家、仕事、食べもの、休みの日の過ごし方……。いろいろな家族のくらしを、見開きごとにたくさんの絵で並べた本です。
お話ではなく、「こんな家族もある」を眺めて知る本です。どのページにも自分の家に近い絵と、まったくちがう絵があるので、「うちはこれかな」と指さしながら読めます。
「人とちがう」ことを考える絵本
『ぞうのエルマー』(デビッド・マッキー 文・絵/きたむらさとし 訳/BL出版)
ほかのぞうはみんな灰色なのに、エルマーだけはパッチワークのようなカラフルな柄。みんなと同じになりたくて、エルマーはある工夫をしますが……。
「みんなと同じでなくていい」を、明るく楽しく伝えてくれる一冊です。低学年から読めて、シリーズもたくさんあります。
世界の人・くらしを知る絵本
『ともだち』(谷川俊太郎 文/和田誠 絵/玉川大学出版部)
「ともだちって、どんな人?」を、短い言葉で重ねていく絵本です。けんかしたとき、ひとりぼっちのとき、ともだちならどうするか。
最後は、会ったことのない、世界のどこかの子どものことへ広がっていきます。身近な友だちから、遠くの知らない子までを一冊でつないでくれます。
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史 作・絵/教育画劇)
ぼくがラーメンを食べているとき、となりの家の子は何をしている? となりの国の子は? そのまたとなりの国の子は? 同じ時間の世界を、となりへ、となりへとたどっていく絵本です。
最初はゆかいに読めますが、ページが進むにつれて空気が変わります。自分のくらしが当たり前ではないことに、言葉で説明されなくても気づける本です。中学年くらいから。
高学年に読んでほしい絵本
『ひとりひとりのやさしさ』(ジャクリーン・ウッドソン 文/E・B・ルイス 絵/さくまゆみこ 訳/BL出版)
転校生のマヤは、古い服を着ていて、クラスになじめません。クロエはマヤに話しかけられても、無視し続けます。やがてマヤが学校を去ったあと、クロエの中に残ったものは――。
ハッピーエンドではありません。だからこそ、「自分ならどうしたか」を考えずにはいられない本です。絵本ですが、高学年にこそ読んでほしい一冊です。
高学年と大人に、もう3冊
『窓をひろげて考えよう 体験!メディアリテラシー』(下村健一 著/艸場よしみ 企画・構成/かもがわ出版)
ページに穴があいていて、めくると見えていたものの印象ががらりと変わる――。同じ絵でも、一部分だけ見るのと全体を見るのとでは、ちがって見えることを体験しながら、情報を受け取るときのコツを学べる本です。
わが家でこの本を読んだあと、子どもの見方が変わったと感じたことがあります。
ニュースで、外国籍の人の犯罪が報じられたとき、子どもが「またこの国の人の犯罪だ」と言ったことがありました。数でいえば、日本人の犯罪のほうがずっと多いはずです。でも、日本人の場合はわざわざ「日本人の」とは報じません。外国籍の場合は「〇〇人の」と報じられます。子どもは、その報じ方に引っぱられていたのです。
この本を読んでから、「本当にそうなのかな」と考えられるようになりました。じゃあ、なんで犯罪が起こるんだろう。困っている人がいるのかもしれない。仕組みを変えたら助かる人もいるのかもしれない。報道の言葉だけでなく、そのまわりにあることまで想像が届くようになりました。多様性を理解するには、目の前の情報をそのまま受け取らない力も必要なのだと思います。
『かがみの孤城』(辻村深月 著/ポプラ社)
学校に行けなくなった7人の中学生が、鏡の向こうのお城に招かれる物語です。それぞれの事情を抱えた7人が、一緒に過ごすうちに、おたがいの見えていなかった部分を知っていきます。
「あの人はこういう人だ」と決めつける前に、見えていない事情を想像する。その感覚が、読み終わったあとに残ります。長い物語なので、高学年〜中学生向けです。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ 著/新潮社)
イギリスで暮らす著者と、中学生の息子の日常をつづったノンフィクションです。人種、貧困、ジェンダー。息子が学校で出会うさまざまな問題に、親子で向き合っていきます。
子ども向けではなく、親が読む本として紹介します。子どもに何をどう伝えるか、親自身が考えるきっかけになります。読んで心に残ったところを、お子さんに話してみてください。
本選びに迷ったら:ヨンデミーという方法

多様性の本は、親が選ぶとどうしても「読ませたい本」になりがちです。ヨンデミーは、AIがその子の読書記録をもとに本を提案してくれるオンラインの読書習い事で、自分では手に取らないジャンルの本にも自然に出会えます。

わが家で兄弟で使った感想は【小5・小3の兄弟で1年】ヨンデミーの口コミ・評判|本が苦手な次男の変化と、一度やめた長男が戻った理由にまとめています。
よくある質問
まとめ

- 「みんな違っていい」の一般論より、「あなたはこれ、あの子はあれ」の具体的なちがいのほうが届く
- どちらが正しいかを決めない。自分の思いも相手の思いも大切
- 多様性の本は「わかる」より「知る」でいい。「そういうこともあるな」が大切な一歩
- 話せそうなときだけ話す。準備がないときは読むだけで十分
- 目の前の情報をそのまま受け取らない力も、多様性を理解する力の一部
次に子どもが「へん」と言ったら、「あなたはそう思うんだね」から始めてみてください。
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