読み聞かせで子どもの語彙力が伸びる理由|低学年・中学年の声かけと絵本選びのコツ

目次

こんな方におすすめの記事

  • 小学校低学年〜中学年のお子さんに読み聞かせをしているご家庭
  • 「読み聞かせって、いつまで・何のために続けるの?」と感じている方
  • 子どもの語彙力・表現力を、勉強っぽくない形で伸ばしたい方
  • 読み聞かせ中の声かけ、何を言えばいいのか迷っている方

読み聞かせをしていると、子どもが急に「それって〇〇ってこと?」と言い出したり、普段使わないような言葉を口にしたりすることはありませんか?

実はそれ、語彙力が育っているサインです。

本や絵本には、日常会話にはなかなか登場しない言葉がたくさん詰まっています。毎日少しの読み聞かせが、子どもの「ことばの引き出し」をじわじわと増やしていくのです。

この記事は、読み聞かせを続けている小学校低学年〜中学年(1〜4年生)のご家庭に向けて、読み聞かせが語彙力・表現力にどう働きかけるのか、そして家庭でできる具体的な声かけをお伝えします。

すでにお子さんが一人で本を読むようになっているご家庭(中学年〜高学年)には、読書で語彙力が伸びる理由の記事のほうがぴったりです。あわせてご覧ください。


低学年〜中学年は「耳からの語彙」が先に育つ

まず、この時期ならではの大切な事実からお伝えします。

小学校低学年〜中学年の子どもは、「読んでわかる言葉」より「聞いてわかる言葉」のほうがずっと多い時期にあります。

自分で文字を読むときは、「文字を音にする」作業に頭の力の多くを使ってしまいます。だから、自分で読める本は、どうしても言葉のやさしい本にとどまりがちです。

ところが、耳から聞くのであれば話は別。文字を読む負担がないぶん、自分で読める本より2学年分くらい上の、豊かな言葉に触れることができるのです。

つまりこの時期の読み聞かせは、「まだ字が読めない子のためのもの」ではなく、一人読みでは出会えないレベルの言葉に出会わせてあげる、いちばんの近道なのです。

図書室で子どもたちを見ていても、これは実感します。読み聞かせをたくさんしてもらっている子は、初めて出会う本でも「あ、この言葉知ってる」という顔をします。耳でストックした言葉が、あとから文字と結びついて、読む力に変わっていくのです。


なぜ読み聞かせで語彙が増えるの?

日常会話より「ことばの密度」が高い

会話では、私たちはどうしてもシンプルな言葉を使いがちです。「おいしいね」「きれいだね」「すごいね」…。こうした言葉は伝わりやすい反面、表現の幅が広がりにくいという面もあります。

一方で、絵本や児童書には「きらめく」「ひんやり」「なめらか」「おごそか」といった、感覚や場面を豊かに描写する言葉がたくさん登場します。

子どもは耳から聞いた言葉を「ストックして」おき、絵や文脈とセットで意味を理解していきます。この積み重ねが、語彙力の土台になるのです。

「文脈のある言葉」は記憶に残りやすい

単語カードで言葉を覚えるよりも、物語の中で出会った言葉の方が記憶に残りやすい、という研究があります。

「おじいさんは険しい山道を、よろよろと歩いていました」という一文に出てくる「険しい」は、絵や場面のイメージとともに頭に刻まれます。あとで「険しい顔をしているね」と誰かに言われたとき、子どもはすっとその意味を理解できるのです。

物語の感情が「表現力」を育てる

語彙力は「知っている言葉の数」だけではありません。気持ちや状況を言葉で表現できる力も大切です。

読み聞かせでは、登場人物が嬉しい、悲しい、怖い、恥ずかしい…といった感情を経験します。親が「この子、今どんな気持ちだと思う?」と問いかけることで、子どもは感情を言語化する練習ができます。


【学年別】語彙が育つ読み聞かせのポイント

同じ読み聞かせでも、低学年と中学年では「効く言葉」が少し違います。

低学年(1〜2年生):感覚の言葉とオノマトペをたっぷり

低学年の子は、体で感じたことと言葉が結びつく時期です。

  • 「ざあざあ」「しんしん」「こっそり」などのオノマトペが豊かな絵本
  • 「ひんやり」「ふわふわ」「ちくちく」など感覚を表す言葉が出てくる絵本
  • 同じフレーズが繰り返される絵本(言葉のリズムごと覚えられます)

昔話や民話もおすすめです。「むかしむかし」「たいそう」「こしらえる」など、日常では聞けない言い回しに自然に触れられます。

中学年(3〜4年生):気持ちの言葉と「ちょっと大人の言葉」を

中学年になると、抽象的な言葉や複雑な気持ちを表す言葉を受け取れるようになります。

  • 「切ない」「誇らしい」「もどかしい」など、心情を細やかに表す言葉が出てくる物語
  • 絵本だけでなく、章立ての幼年童話や児童書の読み聞かせにステップアップ
  • 1章ずつ「続きはまた明日ね」と区切って読むと、長い物語も楽しめます

「もう自分で読めるのに、読んでもらうの?」と思うかもしれませんが、中学年こそ、耳なら難しい言葉入りの物語を丸ごと楽しめる時期。自分で読める本と、読んでもらって楽しめる本のレベル差がいちばん大きい学年なのです。

読み聞かせを何年生まで続けるかについては、読み聞かせはいつまで続ける?の記事で詳しくお伝えしています。


語彙力が育ちやすい声かけのコツ

読み聞かせ中・読み聞かせ後に、少し意識するだけで効果が変わります。

①知らない言葉が出てきたら、一緒に考える

読んでいて「あれ、この言葉わかる?」と気づいたとき、すぐに正解を教えなくて大丈夫。まず「どういう意味だと思う?」と問いかけてみましょう。

おすすめの声かけ 「『おごそかに』って出てきたね。どんな雰囲気か想像できる?」

正解でなくても、自分なりに考えることが大切。その後で「お寺や神社みたいな、しずかでちょっと特別な感じのことだよ」と伝えると、イメージとともに定着しやすくなります。

②気持ちを表す言葉を広げる

「悲しい」「嬉しい」は知っていても、「切ない」「誇らしい」「もどかしい」はなかなか出てきません。

読み聞かせの場面で感情が動いたときに、少し豊かな言葉を添えてあげましょう。

おすすめの声かけ 「ここ、なんか切ない感じがするね。うまくいかなくて、でも悲しいともちょっと違う気持ちのこと、『切ない』って言うんだよ」

言葉に出会うタイミングを親が作ってあげることが、語彙の広がりにつながります。

気持ちの言葉の育て方は、感情語彙を豊かにする親の関わり方の記事でさらに詳しく紹介しています。

③日常の場面と結びつける

本で出会った言葉を、日常生活で使ってみましょう。

「今日のごはん、『芳ばしい』においがするね。お米が焼けるときみたいな、いい香りのことだよ」

本の言葉を生活の中に持ち出すことで、「ことばは使うもの」という感覚が育ちます。


読み聞かせで語彙力が伸びやすい本の選び方

すべての本が語彙力に同じように働くわけではありません。以下のポイントを意識して選ぶと、より効果的です。

ことばの豊かな本を選ぶポイント

  • 場面の描写がていねいで、感覚的な言葉が多い
  • 登場人物の気持ちが言葉で表現されている
  • 子どもがいつも使っているより、少し難しい言葉が含まれている

低学年なら昔話・民話・動物もの、中学年ならファンタジーや歴史絵本などが特におすすめです。日常会話にはなかなか登場しない言葉が自然な形で出てくるジャンルです。

読み聞かせにおすすめの、ことばの豊かな本

  • 『ちいさいおうち』バージニア・リー・バートン(低学年〜)── 情緒豊かな描写が多く、時間の流れを表す言葉にたくさん出会えます
  • 『ことばあそびうた』谷川俊太郎(低学年〜)── 音とことばへの感覚を楽しく育てる詩集
  • 『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』廣嶋玲子(中学年〜)── 短編連作で読み聞かせしやすく、少し大人びた言い回しが豊富です

語彙力を伸ばす本の選び方と、司書ママが厳選したおすすめ7冊は、小学生の語彙力を伸ばす本の記事で紹介しています。


よくある質問

Q. 中学年になっても、読み聞かせで語彙は増えますか?

増えます。むしろ中学年は、読み聞かせの語彙効果が大きい時期です。

中学年は、自分で読める本のレベルと、耳で理解できる物語のレベルの差がいちばん開く時期。読み聞かせでしか出会えない言葉がまだまだたくさんあります。「もう大きいから」とやめてしまうのは、もったいないタイミングです。

Q. 知らない言葉が出てくるたびに、説明したほうがいいですか?

毎回止まる必要はありません。物語の流れを楽しむことが最優先です。

言葉の意味をすべて説明しようとすると、お話がぶつ切りになって、子どもの「楽しい」が薄れてしまいます。子どもから「それどういう意味?」と聞かれたときと、親が「ここぞ」と思ったときだけで十分。わからない言葉があっても、文脈の中でなんとなく感じ取ること自体が、語彙を獲得する練習になっています。

Q. もう一人読みを始めています。読み聞かせは卒業でいい?

一人読みと読み聞かせの「並行期間」をぜひ作ってあげてください。

一人読みが始まった直後の子は、まだやさしい本しか読めません。読み聞かせを並行して続けることで、「耳から難しい言葉」と「目からやさしい文章」の両方に触れられます。一人読みへの移行期の関わり方は、読み聞かせから一人読みへの記事で詳しくお伝えしています。


「ことばの引き出し」は焦らずゆっくり増やせばいい

語彙力は、一朝一夕には育ちません。でも、毎日の読み聞かせの積み重ねが、確実に「ことばの引き出し」を増やしていきます。

特別なことをしなくても大丈夫。本を一緒に読んで、ときどき「これどんな意味かな?」と声をかけるだけで、子どものことばの世界は着実に広がっていきます。

まずは今夜の読み聞かせから、ぜひ試してみてください。

なお、語彙力は読解力を支える4つの力のひとつです。読解力全体をどう育てるかは、小学生の読解力のつけ方の記事をご覧ください。


まとめ

  • 低学年〜中学年は「聞いてわかる言葉」が「読んでわかる言葉」より多い時期。読み聞かせは一人読みでは出会えない言葉への近道
  • 読み聞かせは日常会話より語彙の密度が高く、文脈のある言葉は記憶に残りやすい
  • 低学年はオノマトペと感覚の言葉、中学年は心情語と章立ての本の読み聞かせが効果的
  • 知らない言葉は、すぐ答えを教えずまず考えさせるのがポイント
  • 本の言葉を日常生活で使い、定着させることが大切
  • 一人読みが始まっても、並行期間を作ることで語彙はさらに伸びる

お子さんが自分でどんどん本を読むようになったら、次は読書で語彙力が伸びる理由の記事へどうぞ。


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この記事を書いた人

小学校で学校司書をしています。毎日子どもたちと図書室で過ごす中で感じること——それは言葉を育てることの大切さです。
読み聞かせ・読書・親子の会話・AI時代との向き合い方など、ご家庭でできる「ことば育て」のヒントを発信しています。
難しいことは何もありません。毎日少しの積み重ねで、子どもの言葉はぐんぐん育ちます。

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