こんな方におすすめの記事
- 「今日どうだった?」に「覚えてない」「別に」しか返ってこないご家庭
- 子どもが学校のことを話してくれなくて、少し不安な方
- 友だち関係やトラブルのサインを見逃したくない方
- 子どもの「伝える力」を日常会話の中で育てたい方
「今日、学校どうだった?」
お子さんが帰宅して、つい口から出てしまうこの一言。 でも返ってくるのは、「覚えてない」「別に」「ふつう」……。
そのままテレビをつけて、もうお終い。
毎日繰り返されるこのやり取りに、「うちの子、なんで話してくれないんだろう」と感じている保護者の方は、とても多いと思います。
でも実は、お子さんが話してくれないのは、話したくないからではないことがほとんどです。
この記事では、子どもが「話せない」理由と、自然に話してくれるようになるためのヒントをお伝えします。
なぜ「覚えてない」と返ってくるのか
理由① 質問が漠然としすぎている
「どうだった?」という質問は、大人には普通に聞こえますが、子どもにとっては実はとても答えにくい質問です。
一日の出来事を振り返って、まとめて、それを言葉にして伝える——これは思ったより複雑な作業です。
まだことばの力が育ちきっていない小学生にとって、「どうだった?」は「何を答えればいいの?」と戸惑ってしまう質問でもあるのです。
理由② 疲れていて、言葉が出ない
学校から帰ってきた直後は、子どもも心身ともに疲れているタイミングです。
大人でも、仕事帰りにすぐ「今日の仕事どうだった?」と聞かれたら、「ちょっと待って……」となりますよね。
子どもも同じです。帰宅直後は、まず休ませてあげることが大切です。
理由③ 言いにくいことは、なおさら言葉にしづらい
友だちとのトラブル、先生に叱られたこと、恥ずかしかったこと——。
こういった「言いにくいこと」は、大人でもすぐには話せません。
子どもは特に「話したら怒られるかも」「心配させたくない」「うまく説明できるか不安」という気持ちから、口を閉じてしまいやすいのです。
【学年別】「話さない」の中身は違う
同じ「覚えてない」でも、学年によって背景が少し違います。
低学年(1〜2年生):「思い出して話す」がまだ難しい
低学年の子どもは、出来事を時間の順番に思い出して、言葉で再現する力がまだ発達の途中です。
「覚えてない」は本当に「(うまく思い出してまとめられないから)覚えてない」であることが多く、話したくないわけではありません。ヒントになる小さな質問(「給食は何だった?」)があれば、そこから芋づる式に思い出せることもよくあります。
中学年(3〜4年生):「話すことを選ぶ」ようになる
中学年になると、友だち関係が複雑になり、「これは言う・これは言わない」を自分で選ぶようになります。プライバシーの感覚が芽生えてきた証拠で、成長の一部です。
ただ、この時期は友だちとのトラブルも増える時期。「話さない」の中に、話せずに抱えている気持ちが隠れていることもあります。だからこそ、「聞き出す」のではなく「話しやすい状態を作っておく」ことが大切になります。
やってしまいがちなNG例
NG① 質問を重ねてしまう
「今日どうだった?」→「覚えてない」→「何があったの?」→「別に」→「誰かと遊んだの?」
こうなると、子どもは尋問されているように感じてしまいます。
質問が続くほど、子どもは「何か言わないといけない」というプレッシャーを感じ、かえって口を閉ざしてしまいます。
NG② すぐにアドバイスをしてしまう
「給食が嫌だった」と言ったとき、「じゃあ好き嫌いをなくさないと」とアドバイスをしていませんか?
子どもはただ「聞いてほしかっただけ」なのに、アドバイスをされると「また言わなきゃよかった」と思ってしまいます。
NG③ 「それで?」「だから?」と続きを急かす
子どもは、ゆっくり自分のペースで話す必要があります。
話の途中で「それで?」と急かされると、まとまらないまま話を終わらせてしまいます。
子どもが話してくれるようになる4つのコツ
コツ① 聞くタイミングを変える
帰宅直後ではなく、夕食後やお風呂の中が話しやすいタイミングです。
体が温まってリラックスしているとき、横並びで向き合っていないとき——子どもは自然と言葉が出やすくなります。
特にお風呂や車の中など「目が合わない場面」は、照れや緊張がほぐれて、話しやすくなることが多いです。
コツ② 「どうだった?」より「〇〇はどうだった?」
漠然とした質問より、具体的な質問のほうが答えやすいです。
- 「今日の給食、何が出たの?」
- 「休み時間、誰と遊んだ?」
- 「算数のテスト、手ごたえどうだった?」
「今日のこと全部教えて」ではなく、ひとつの小さなことを聞く。それだけで、子どもの返事が変わってきます。
コツ③ 親が先に話す
「今日ね、お母さんこんなことがあってさ」と親のほうから先に話すと、子どもも自然と話してくれることがあります。
会話はキャッチボールです。親が投げれば、子どもも返したくなります。
また、親が「失敗した話」「恥ずかしかった話」を話してくれると、子どもは「自分も話していいんだ」と安心感を持ちやすくなります。
コツ④ 言いにくいことを話せる関係をつくる
「話してくれた内容に対して怒らない」という積み重ねが、子どもの信頼をつくります。
たとえば、「友だちとケンカした」と話してくれたとき、すぐに「あなたが悪い」「謝りなさい」と反応してしまうと、次からは話してくれなくなります。
まずは「そうか、そんなことがあったんだね」と受け止めること。それだけで、子どもは「また話してみようかな」と思えます。
言いにくいことを話してくれたとき、ぜひ「話してくれてありがとう」と伝えてみてください。その一言が、子どもの安心感をぐっと高めます。
本を挟むと、話せることがあります
図書室で子どもたちと接していて感じるのは、自分のことは話せなくても、物語のことなら話せる子が多いということです。
「この主人公、友だちとケンカしちゃったんだね。どう思う?」——本の登場人物の話をしているうちに、「〇〇もね、実はこの前……」と、自分の話がぽろっと出てくる。物語がクッションになって、直接は言いにくい気持ちを話せるのです。
寝る前の読み聞かせは、この「本を挟んだ会話」が自然に生まれる時間でもあります。学校の話を聞き出そうとしなくても、物語の感想を言い合ううちに、子どもの心の中が見えてくることがあります。
気持ちを表す言葉そのものを増やしたい場合は、感情語彙を豊かにする親の関わり方の記事も参考にしてください。
よくある質問
Q. コツを試しても、本当に何も話してくれません
「話さない=問題」とは限りません。様子とセットで見てください。
食欲がある、眠れている、友だちと遊んでいる、学校に行きたがらない様子がない——生活の様子が普段どおりなら、「今は話さない時期」というだけのことも多いです。無理に聞き出すより、「話したくなったらいつでも聞くよ」の空気を保つほうが、長い目で見て効果的です。
Q. いじめやトラブルが心配なとき、どう聞けばいい?
直球で聞くより、「変化」を口に出すのがおすすめです。
「いじめられてるの?」と正面から聞かれると、子どもはかえって否定しがちです。「最近、帰ってきたとき疲れてる顔してるね」と、見えている事実だけを穏やかに伝えると、子どもは「気づいてくれてるんだ」と感じます。すぐに話さなくても、その一言が「話してもいい」というサインとして残ります。ただし、体調不良が続く・学校を嫌がるなどのサインがあるときは、担任の先生への相談も並行してください。
Q. きょうだいで「話す子」と「話さない子」がいます
性格の差であって、優劣ではありません。
おしゃべりな子が言葉の力が高いとも限りませんし、無口な子が心を閉ざしているとも限りません。無口な子には無口な子のペースがあります。比べず、その子が話しやすい場面(お風呂・車・寝る前など)をその子用に見つけてあげてください。
「伝える力」は、聞いてもらえる経験から育つ
子どもが自分の気持ちや考えを言葉にする力は、突然身につくものではありません。
「話したら、ちゃんと聞いてもらえた」「受け止めてもらえた」という経験の積み重ねの中で、少しずつ育っていきます。
子どもが話しやすい環境をつくること——それが、ことばの力を育てる一番の土台になります。
急がなくて大丈夫です。毎日の小さなやり取りの中で、少しずつ積み重ねていきましょう。
まとめ
- 「覚えてない」は、話したくないわけではなく、答えにくいから
- 低学年は「思い出してまとめる」がまだ難しく、中学年は「話すことを選ぶ」ようになる時期
- 帰宅直後は避け、夕食後やお風呂など、リラックスできる場面を選ぶ
- 「どうだった?」より、具体的な質問のほうが答えやすい
- 親が先に話すと、子どもも話しやすくなる
- 話してくれたことを受け止めることが、信頼と「伝える力」の土台になる
- 本や物語を挟むと、直接は言いにくい気持ちが出てきやすい
気持ちを言葉にする力の育て方は、感情の言語化が育む自己調整力の記事でも詳しく解説しています。

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