こんな方におすすめの記事

- 「今日どうだった?」に「覚えてない」「別に」しか返ってこないご家庭
- 子どもが学校のことを話してくれなくて、少し不安な方
- きょうだいで話す子と話さない子がいて、違いが気になっている方
- 友だち関係やトラブルのサインを見逃したくない方
「今日、学校どうだった?」
返ってくるのは「覚えてない」「別に」「ふつう」。そのままテレビがついて、おしまい。毎日これだと、少し心配になります。
結論:話さないのは、聞き方のせいだけではありません
聞き方のコツを書いた記事はたくさんあります。この記事にも後半で書きます。
ただ、その前にお伝えしたいことがあります。自分から話さない子は、話したくないわけでも、聞き方が悪いわけでもなく、そういうタイプだというだけのこともあります。
わが家の2人が、まさにそうでした。
同じ育て方をして、正反対になりました

同じ家で、同じように育てて、同じように読み聞かせをしてきた2人です。それでも、学校の話をするかどうかは、まるで違いました。
| 長男 | 次男 | |
|---|---|---|
| 話すか | 聞けば話す | 聞かなくても話す |
| 帰宅直後 | 学校のことは頭にない | 朝の会から順に全部 |
| 話の中身 | 短い。「覚えてない」も多い | 整理されないまま次々 |
| 根っこ | 「聞いてほしい」が少ない | 「聞いてほしい」が多い |
長男の「覚えてない」は、本当に覚えていません
長男は、聞けば話します。でも自分からは、あまり言いません。
学校から帰ってくると、学校のことはもう頭にありません。頭の中は、家でどう遊ぶかでいっぱいです。早く遊びに入りたいので、学校のことを聞かれても「覚えてない」で終わることがよくあります。
隠しているわけでも、面倒がっているわけでもありません。本当に、もうそこにないのです。
次男は、朝の会から順番に話します
次男は、なんでも話すタイプです。朝の会、1時間目、2時間目——順番に全部話します。
文章はまとまっていません。頭に浮かんだことを、整理せずに次から次へと口に出していきます。聞いているほうは、正直なところ全部は追えません。
面白いのは、話す内容にはっきり偏りがあることです。
- 褒められた場面・よくやったと思う場面は、何度も繰り返し話します
- 怒られたことなど気まずい場面は、避けて話します
つまり、よく話す子でも、全部を話しているわけではありません。ここは覚えておいてよいところだと思います。話す子だから安心、とは言えないのです。
違うのは「聞いてほしい」の量です
2人を見ていて思うのは、差は能力ではないということです。
長男は「聞いてほしい」があまりありません。次男は「聞いてほしい」がたくさんあります。それだけの違いです。
もちろん、聞き方も影響します。それは確かです。でも聞き方をどれだけ工夫しても、「聞いてほしい」が少ない子は、少ないままです。
話さないお子さんをお持ちの方に、まずお伝えしたいのはここです。ご自身の聞き方を責める必要は、たぶんありません。
それでも「覚えてない」には理由があります

タイプの違いとは別に、答えにくくしている要因もあります。3つあります。
① 「どうだった?」は、実はとても難しい質問です
一日を振り返って、要点をまとめて、言葉にして伝える。これは大人でもそれなりに面倒な作業です。
小学生にとっては「何を答えればいいの?」という質問になります。範囲が広すぎて、どこから手をつけていいかわからないのです。
② 帰宅直後は、まだ切り替わっていません
大人でも、玄関を入った瞬間に「今日の仕事どうだった?」と聞かれたら、「ちょっと待って」となります。
子どもも同じです。しかも子どもの場合、切り替えが速すぎて学校が消えていることもあります。長男がそうです。
③ 言いにくいことは、なおさら出てきません
友だちとのトラブル、叱られたこと、恥ずかしかったこと。
「話したら怒られるかも」「心配させたくない」「うまく説明できる自信がない」。この3つがそろうと、口は閉じます。次男が気まずい場面を避けて話すのも、これです。
話の中身によって、出てくる場面が違います

「お風呂・車の中・夕食後が話しやすい」とよく言われます。間違いではありませんが、もう少し細かく分かれます。
わが家で見ていると、はっきり使い分けています。
| 話の種類 | 出てくる場面 | なぜそこなのか |
|---|---|---|
| 楽しかったこと | 食事のとき | みんなに聞いてもらえて、リアクションがもらえる |
| ネガティブなこと | 車の中など、ほかにすることがないとき | 他の人に聞かれる心配がなく、じっくり聞ける |
楽しい話は、観客がいる場所で
楽しかった話は、食事のときに出てきます。
家族がそろっていて、みんなに聞いてもらえて、リアクションが返ってくる。自然とその場を選んでいるのだと思います。
だから食事のときは、話を止めないほうがいいです。「行儀が悪い」と言いたくなる場面もありますが、そこは目をつぶる価値があります。
ネガティブな話は、ほかにすることがないときに
嫌だったこと、うまくいかなかったことは、手持ちぶさたなときに出てきます。車の中が代表です。
理由は2つあると思っています。ほかの人に聞かれる心配がないこと。そしてこちらもじっくり聞けること。ほかにやることがないので、途中で立って行ったりしません。
ここから言えるのは、「話しやすい時間」は作れるということです。ネガティブな話を聞きたいなら、家族全員がそろっている場ではなく、2人きりで、ほかにやることがない時間を用意することです。
ドライブでなくても構いません。歩いて習い事に行く道でも、洗濯物をたたんでいる横でも同じです。
学年別・「話さない」の中身は違います
低学年(1〜2年生)|思い出してまとめるのが、まだ難しい
低学年の「覚えてない」は、本当に「うまく思い出してまとめられない」であることが多いです。
小さなとっかかりがあれば出てきます。「給食は何だった?」から芋づる式に思い出せることは、よくあります。
中学年(3〜4年生)|話すことを、自分で選ぶようになる
中学年になると、「これは言う・これは言わない」を自分で選び始めます。これはプライバシーの感覚が育った証拠で、成長です。
ただ、友だち関係が複雑になる時期でもあります。「話さない」の中に、抱えたままの気持ちが混じっていることもあります。
だからこの時期は、聞き出すのではなく話しやすい状態を用意しておくほうに切り替えてください。
わたしが失敗したこと

喧嘩をした話を聞いたときのことです。
ひととおり聞いて、すぐに「謝った方がいいよ」と結論づけて言ってしまいました。
喧嘩はお互いのことです。そして子ども自身、自分が全面的に悪かったとは思えていないことが多いです。謝ったほうがいいのはわかる。でも、相手だってこうだった。そう思っています。
そこへ親からも「謝りなさい」と言われた。親からも理解されないのだと、泣きそうな表情を見せました。やってしまった、と思いました。
いまは、順番を変えています。「子どもの側が悪いのでは」と思っても、まず言い分と状況をしっかり聞く。そのあとで、どうしようかとやんわり話していきます。
結論を先に言わない。それだけで、次も話してくれるかどうかが変わります。
読んだ本の感想を聞きすぎて反省した話は小学生が「自分から本を読む子」になる関わり方に書きました。聞きすぎるという失敗は、形を変えて何度もやっています。
つい、やってしまいがちなこと
- 質問を重ねる——「覚えてない」→「何があったの?」→「別に」→「誰かと遊んだの?」。ここまで来ると尋問です。何か言わないといけない空気ができて、かえって閉じます
- すぐアドバイスする——「給食が嫌だった」に「じゃあ好き嫌いをなくさないと」。聞いてほしかっただけなのに、これでは「言わなきゃよかった」になります
- 結論を先に出す——喧嘩の話に「謝った方がいいよ」。言い分を聞く前に判定しないでください
- 「それで?」と急かす——子どもは自分のペースでしか話せません。急かされると、まとまらないまま切り上げます
- 帰宅直後に聞く——まだ切り替わっていません。時間を置いてください
話してくれるようになる4つのコツ

① 場面を、話の種類に合わせる
楽しい話なら、家族がそろっている食事の場。言いにくい話なら、2人きりで、ほかにやることがない時間。この使い分けがいちばん効きます。
② 「どうだった?」ではなく「〇〇はどうだった?」
範囲を小さくします。
- 「今日の給食、何が出たの?」
- 「休み時間、誰と遊んだ?」
- 「体育、何やった?」
一日全部ではなく、ひとつだけ聞く。それだけで返事が変わります。
③ 親が先に話す
「今日ね、お母さんこんなことがあってさ」と、こちらから先に出します。
特に効くのは失敗した話、恥ずかしかった話です。うまくいった話より、ずっと効きます。「自分も話していいんだ」という空気ができるからです。
④ 話した内容で、怒らない
これが土台です。
言いにくいことを話したときに怒られると、次からは言わなくなります。言いにくいことを話せる関係は、話したあとの反応で決まります。聞き方ではありません。
「友だちとケンカした」と話してくれたときに、すぐ「あなたが悪い」「謝りなさい」と返してしまうと、次はもうありません。まずは「そうか、そんなことがあったんだね」と受け止めるだけにしてください。それで「また話してみようかな」になります。
そしてもうひとつ。言いにくいことを話してくれたときは、「話してくれてありがとう」と伝えてみてください。内容への評価ではなく、話したこと自体への返事です。この一言があるかないかで、次の一回が変わります。
話さないことが心配になったら
ここまで「話さなくても大丈夫」と書いてきましたが、もちろん心配な場合もあります。見分ける目安を書いておきます。
言葉ではなく、生活の様子を見てください
「話さない=問題」ではありません。判断材料は、話す量ではなく生活のほうにあります。
| 見るところ | いつもどおりなら | 変化があるなら |
|---|---|---|
| 食欲 | 様子を見て大丈夫 | 気にかけてください |
| 睡眠 | 様子を見て大丈夫 | 気にかけてください |
| 友だちと遊んでいるか | 様子を見て大丈夫 | 気にかけてください |
| 学校へ行きたがるか | 様子を見て大丈夫 | 学校に相談してください |
生活が普段どおりなら、「今は話さない時期」というだけのことが多いです。無理に聞き出すより、「話したくなったらいつでも聞くよ」という空気を保つほうが、長い目で見て効きます。
聞くなら、質問ではなく「見えていること」を言う
「何かあったの?」「いじめられてない?」と正面から聞かれると、子どもはかえって否定します。
そうではなく、見えている事実だけを穏やかに口に出してください。「最近、帰ってきたとき疲れた顔してるね」——これなら答えなくても済みます。
その場では何も返ってこないかもしれません。それでいいのです。「気づいてくれている」という事実が残ります。話す気になったときの入口は、それで開きます。
図書室では、意外なことを話していきます

本を借りに来た子は、けっこう話していきます。
- 本の感想、その年の読書の目標(今年は何冊読む、など)
- 授業で楽しかったこと、嫌だったこと(「次はテストだから嫌だ」など)
- 推しの話、好きな子の話
そして、「先生には言わないけど司書には言う」ことがあります。
友だちと喧嘩してすごく嫌だったこと。家族の状況で悩んでいること。担任の先生には言わないまま、図書室で出てくることがあるのです。
聞いたことを、そのまま共有はしません
学校司書は、学校の先生とは立場が違います。だから重要なことを除いて、話の内容を先生と共有することはしません。
安心して話してもらいたいからです。
家でも、先生にも、友だちにも話せないことはあります。誰にでもあります。そのはけ口を作るのも、図書室の役割のひとつだと思っています。
家庭でも、同じことが言えます
ここから、ご家庭に持ち帰れることがあります。
子どもが親に話さないことがあるのは、普通のことです。親には親の立場があり、言えば心配される、叱られるかもしれないと思えば、避けます。
だから、親以外に話せる相手がひとりでもいれば、それでいいのだと思います。祖父母、習い事の先生、図書室の司書。全部を親が受け取る必要はありません。
本を挟むと、話せることがあります

図書室で子どもたちと接していて感じるのは、自分のことは話せなくても、物語のことなら話せる子が多いということです。
「あなたはどう思うの?」と聞かれると答えられない子が、「この子はどうしてこうしたと思う?」なら答えられます。自分の話ではないので、安全だからです。
そして本の登場人物の話をしているうちに、「〇〇もね、実はこの前……」と、自分の話がぽろっと出てくることがあります。
狙って起こせるものではありません。でも、本の話をする時間があるかどうかで、その機会の数は変わります。
善悪や思いやりのように、直接聞くと答えにくいことも、物語を挟むと話せます。使える絵本は読み聞かせは「道徳の教科書」にまとめました。
気持ちを表す言葉が増えると、話せることも増えます。そのあたりは「気持ちの言葉」が子どもの共感力を育てると子どもが気持ちを言葉にできるようになる方法にまとめました。
よくある質問
「伝える力」は、聞いてもらえた経験から育ちます
最後に、この記事がなぜ「伝えるちから」の入口にあるのかを書いておきます。
自分の気持ちや考えを言葉にする力は、練習して身につくものではありません。「話したら、ちゃんと聞いてもらえた」という経験の数で決まります。
聞いてもらえなかった子は、話すのをやめます。やめれば、練習の機会もなくなります。逆に、まとまっていない話でも最後まで聞いてもらえた子は、また話します。そのうちに、うまくなります。
次男の話がまとまっていないのは、まだ整理する力が育っていないからです。でも、それでいいと思っています。整理できるようになるのは、整理せずに話し続けたあとです。
だから、聞くほうの仕事は引き出すことではありません。話が出てきたときに、ちゃんと受け取ることです。急がなくて大丈夫です。
まとめ
- 話さない子は、タイプが違うだけのこともあります。聞き方を責めなくて大丈夫です
- よく話す子も、全部は話していません。気まずい場面は避けて話します
- 楽しい話は食事のとき、言いにくい話は2人きりのとき。場面を使い分けてください
- 結論を先に言わないこと。「謝った方がいいよ」は、言い分を聞いたあとで
- 親以外に話せる相手がいれば十分です。全部を受け取る必要はありません
- 本を挟むと話せることがあります。「あなたは」ではなく「この子は」で
「今日どうだった?」に「覚えてない」と返ってきても、それは拒絶ではありません。
話したくなったときに話せる場所が用意されている。子どもにとって必要なのは、たぶんそれだけです。
あわせて読みたい
読み聞かせのあとは、話が出てきやすい時間でもあります。読み聞かせが「共感力」を育てる理由や寝る前の読み聞かせが子どもの睡眠の質を高める理由もあわせてどうぞ。わたしの経歴はプロフィールに、ブログ全体の案内はこのブログの歩き方にあります。





コメント